どうしてHermes(エルメス)は一目置かれてるのかな?

キーワードは、

フランス、職人、伝統、こだわり、品質。

だよね?


昨日の仕事、技術提携とパテント使用に絡んだ話です。
エルメス、というブランドを想像すると分かりやすいかも。


アメリカに来る前、本社で何度も議論されたことがある。
約20年間も拒否し続けて来た「夢の技術」と向き合うこと。


まずこの「夢の技術」を導入するメリット三つ。

1.製造工程を大幅短縮!
製造時間が1/3短くなり、生産量が増える。

2.熟練技術が必要なくなる
→人件費削減、熟練者退職後の対策にも。

3.製品スペックが向上
→好き嫌い分かれるけど。。製品使用感の変化。
エルメスで言うと、革素材や持ち手の形状の変化とかね。



んで、デメリットも三つ。

1.プライドを失う
→他社が開発し、複数社はとっくに起用してる技術だから。


2.ブランドイメージ低下
→顧客にとっては、時間短縮、即ち手抜き。


3.パイオニアじゃないじゃん
→何でも一番乗り!でやってきたかったのに痛い



うちの会社は先端技術開発という側面とともに、
時代に逆行するこだわりの姿勢が評価されてる。
卓越の技術力を、伝統を。手作業の温もり、繊細さを。


「夢の技術」にアレルギー反応を示す社員が多い。
自分たちの技術に自信を持つ「職人」「熟練工」は、
外部から流れてくる技術を退けたがる。
それってつまり、進歩を望んでない。
会社全体の目的である利益追求を考えてない。


私はそんな職人、嫌いだー。未来がないじゃん!
年収もボーナスも上がらんですよ。


ブランドイメージに傷を負う可能性のある技術導入、
それで悶々と20年拒否してきたんだよね。

じゃあなんで今さらこの技術導入の話が再浮上したのか。
オーダーが増えて間に合わない。多くの熟練工が定年間近。

アメリカのメーカーが特許を持つこの技術。
今回はその保有者と会合を持った。
20年アプローチしては振られてきた会社からの突然の告白。

やっぱり好きだったのねー!

って、そうなるよねえ。

会合はとんとん拍子に進んだ。
うちが技術を使用するのは宣伝にすらなるからね。

市場から好感触の反応が期待できる確率は50%。
つまり、分からないってこと。

見切り発車だねー
終着点は絶対、「全員に臨時ボーナス支給」駅だー!
お小遣い増やして美味しいもの食べようよ、職人さんたち。

決断は本社に持ち帰ってから。