中村雅俊と大竹しのぶのカップルの応援から、

スタートした今回は、

ヒロインの登場の前に、

振られたと思った中村雅俊が、

とらやの2階で「自殺未遂事件」をするという、

いつも以上の大騒動が発生する。

これがガス爆発になって、

一つ間違えばとらや全壊という事態にもなりかねず、

話の様子では保険もおりないような話で、

相当な一大事なはずなのだが、

とらやの面々は実に穏やかで、

多少のボヤキはあるものの、

誰一人として、アタマを抱えたり、

ふさぎ込んだりしていない。

 

この大らかさこそが、

とらやであり、

寅さんのふるさとである。

 

旅先で宿賃が無くなってしまい、

さくらにお金を持って来てもらうなんてことも、

一度や二度ではなかったはずだが、

それでも寅さんは、

とらやに帰ってくれば大威張りで、

そんなみっともないことがあったなんてことは、

微塵も感じさせることがない。

とらやの面々も、

何かの折にもそんなことを持ち出す者はいない。

 

当然、普通そんな風にはいかないものだが、

もしもそんな風に生きることが出来たならば、

それは素晴らしいことだと思う。

 

結果として、とらやは全壊を免れ、

商売にも影響は出ていないようだった。

その運とか、その誉のようなものは、

きっと、そんな風に生きているとらやの面々が、

招いている福に違いあるまい。

 

 

今回のヒロインは、

長崎・平戸に住む中村雅俊のお姉さん役の藤村志保。

綺麗ではあるが、かなり地味だ。

 

最近見た作品では、

(派手な美人の)ヒロインが、

寅さんに恋をしていることが多かったが、

今回のヒロインは寅さんに好意はあるものの恋心には至っていない。

 

だからだろうか。

寅さんの方もいつもの引く場面がなく、

あっさりと突き放されてしまうのである。

ま、これはこれ。

中村雅俊と大竹しのぶのカップルの方が、

最初から最後まで相思相愛だっただけに、

もしも、

寅さんとお姉さんの恋の方も燃えていたとしたら、

きっと見ている方がゲンナリしてしまったかも知れない。

 

恋の物語は、

バッドな出会いや、険しい困難があるからこそ、

見られるのであって、

明るく楽しいラブラブ模様を見せられても、

それはちっとも面白くないのものである。

 

こんなバランスの良さも、

男はつらいよの妙味だろう。

 

個人的にあまり好みではないが。

 

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