アメンバー限定記事が続いているのでちょっと休憩です。
11月初めの記事は、先日とあるところから手に入れました名品の紹介をしたいと思います。
それがこちら↓
使用目的はわからないのですが、非常に作りの良い刃物です。
手作業で作られたのがわかる丁寧な作りは見ていて飽きません。
おそらく細長い何かの中を繰り抜くような作業に用いられたのではないかと推測します。
表側には製作された日付が書かれています↓
昭和五十二二年晩秋と書かれていますね。
おそらく「二二」の部分はネットで調べたところ言葉遊びのようで、「四」なのだと思います。
粋な書き方ですね。
ですから製作年度は昭和五十四年晩秋です。
西暦ですと1979年ですから、今から34年前に作られたものになります。
私はまだ生まれていないくらい前の刃物。
5年も先輩です(笑)
作者はこの方↓
これは岩崎重義氏の作品です。
作品名は「風」とあります。
シンプルな作りですが持つととても持ちやすいのです。
手にしっかりフィットするように丸められ、また表面も凹凸を付けることで力が入るように考えられた作りは長時間の使用しても疲れにくいと思います。
良く切れ、長く切れ味が続き、そして使っても疲れにくい。
使い手を考えた仕事を見せていただきました。
最近よく考えるのは「誰のための研ぎか」です。
先日から持ち込まれる庖丁たちは機械で削られたためか切先とアゴ元の刃線が崩れ、手で研ぐとさらに壊されているのがわかるものばかりです。
初見ではバフで研がれているとグラインダーの跡も浅く見えるため、削られて凹んだ部分の凹み具合は研がないとわからないケースも多々あります。
良い形、使いやすい形にしようと研ぎ始めますが、その形にしようにも削って減ってしまったところは戻すことができないため、良い形、使いやすい形に直すには多く削られてしまった部分まで他を削らないといけません。
しかしそうなると刃物の寿命が短くなります。
もちろん研ぎ内容をお客様と相談しますが、減らすとなると刃物がもったいなく思えてしまいます。
ただ切れるようにする研ぎではなく、お客様が心地よく、また長く使える研ぎを心がけたいですね。
いい仕事とは難しいです。