昨日は仕事納めでした。
最近は社団法人研ぎ文化振興協会の集まりや切れ‘味’研究会月の会、研ぎ講習に商工会議所など忙しくさせていただいていました。
年末は研ぎの依頼が増えたため砥石と触れ合う時間が長くなり、新しい砥石のチェックをしながら楽しい日を過ごさせていただきました。
そんな年末、月山義高刃物店久保店の改装を行いました。
こだわって研ぎをする中で、私が自信を持って提案できる刃物を揃えたいと考えたからです。
約一年かけ、和包丁を打つ6名の鍛冶屋から3名、和牛刀を打つ4名の鍛冶屋から3名を選びました。
まだすべて揃っていませんが、順次商品を並べていく予定です。
よく来店いただくお客様から聞かれるのは、「何を基準に商品を選んだのか?」です。
いろいろ悩みましたが道具としての使いやすさを基準にしました。
良く切れることはもちろんですが、長く切れ味が続き、研ぎやすい、これが大切ではないかと思います。
それぞれの鍛冶屋に包丁を作ってもらい、それを研ぎ、検査してから料理人に使ってもらい判断しました。
しかしおもしろいもので、ご存じいただいている方も多いかと思いますが、それぞれの鍛冶屋の特徴があるのです。
今回勉強になったのは硬いデメリットです。
この写真は和庖丁を打つ鍛冶屋の一人の包丁の研いだ刃先です。
非常に硬く、ザラザラとした食いつく切れ味が出るため不思議に思っていましたが、顕微鏡でみると刃先が欠けています。
上記は多少刃先が揃うように調整したのですが真っ直ぐ刃が揃わないのです。
そこで小刃を付け、角度を3回研ぎ変えてたのですがそれでも刃が揃わず、最後にはかなり鈍角にしても欠けてくるため、肉眼ではっきりわかる大きさになるまで小刃を作りました。
しかしそれを料理人に使っていただくと案の定すぐ欠けたとの報告をいただきました。
この包丁は柳刃でまな板に強く接地することのない包丁ですので、大きな刃欠けはあまり起きないはずですから、やはり硬過ぎたのではないかと考えています。
硬いことで欠けが出れば当然その部分は切れませんし、欠けが多くなれば使えなくなります。
また硬いことで研ぐのに時間がかかると思います。
時間をかけて研げば最高の性能を引き出すことはできるかもしれません。
しかし今回試しに研いで使えるようにするまで非常に時間がかかり、また多くの砥石と技術が必要だったことを考えると研ぎマニア向けの商品になってしまいます。
そのためこの包丁を販売することを断念しました。
父いわく、「昔の包丁は新品のうちはよく欠けた。クレームも多かったわ。けど減ってくると誠に良いんや。」と言われましたが、この包丁はそれに該当するタイプなのでしょう。
この庖丁のことから刃物にできる限り粘りがあるものを選ぼうと考えました。
同じ硬さの包丁でも粘りがあることで欠けにくく、そのため切れ味が続くのだと思うからです。
先日刀匠の方と粘りの話をさせていただきました。
この方の白紙一号の牛刀を図面からオーダーさせていただいたのですが、とても切れ、しかも粘りがあるのです。
正直白紙一号での牛刀は挑戦に感じました。
というのは今までの白紙一号の包丁はよく切れるのですが、欠けのリスクも感じていたからです。
しかしこの牛刀は研いだ感じではとても硬いのですが、しかし粘りがあるのです。
詳しくは書けませんが鍛接の温度がとても大切だとのことでした。
この方の白紙一号の牛刀を図面からオーダーさせていただいたのですが、とても切れ、しかも粘りがあるのです。
正直白紙一号での牛刀は挑戦に感じました。
というのは今までの白紙一号の包丁はよく切れるのですが、欠けのリスクも感じていたからです。
しかしこの牛刀は研いだ感じではとても硬いのですが、しかし粘りがあるのです。
詳しくは書けませんが鍛接の温度がとても大切だとのことでした。
粘りを出す、もしくは粘りを損なわない作業が鍛冶屋の腕となるのだと思います。
しかし硬くて粘りがある庖丁を打てる鍛冶屋はそうないのが現実のようで、「これだ!!」と思い選んだ鍛冶屋の話を聞いたら非常に高齢でした。
しかし硬くて粘りがある庖丁を打てる鍛冶屋はそうないのが現実のようで、「これだ!!」と思い選んだ鍛冶屋の話を聞いたら非常に高齢でした。
結局和庖丁で選んだ鍛冶屋は全員60歳オーバーで、商品ができてもあと数年と言われました(^▽^;)
若いからダメだというつもりは全くなく、できれば若い方と永くお付き合いさせていただけた方が商売としてはいいのですが、結果的に年配の鍛冶屋の物ばかりになってしまいました。
言葉では表せないのですが、やはり選んだ鍛冶屋のものの方が小さな硬さや粘り以外にも違いがありました。
若いからダメだというつもりは全くなく、できれば若い方と永くお付き合いさせていただけた方が商売としてはいいのですが、結果的に年配の鍛冶屋の物ばかりになってしまいました。
言葉では表せないのですが、やはり選んだ鍛冶屋のものの方が小さな硬さや粘り以外にも違いがありました。
粘りがある硬い包丁はとても良いのではないかと感じます。
しかし粘りがあったとしても硬い包丁は研ぐ技術が必要だと感じます。
粘りがある方が刃先の形成が楽ではありますが、硬い刃物の方が刃先の限界角度は鈍角になるからです。
刃物の中でもかなり鋭角な庖丁は刃先の限界角度を見つけてあげることがポイントになり、それが技術とも言えます。
名工の打った刃物は基本硬いものが多く、それをベタ刃(切り刃を平らに研いだ状態)で小刃なしで仕上げた場合、すぐ切れなくなったりすぐ欠けてしまいます。
攻めて作った包丁だからこそ天然の仕上げ砥石で研いで最高の状態にしたいところですが、硬い包丁であるほど形や刃先の角度など、研ぎに対する条件が厳しいのです。
ですが研ぎあげられたとき、最高の切れ味になるのではないかと思います。
私が目指す研ぎは「美味しく切れる研ぎ」です。
切れ‘味’研究会「月の会」で毎週料理人と切れ味の良い包丁で味の研究をしており、それを元にした研ぎをしています。
この改装を機に研ぎ場も作ったので、新しい研ぎの形、切れ味の良い新しい包丁の形を研究できると思っています。
よい刃物を知り、よい刃物を研ぎ、それらを使って料理人と切れ味の研究をし、さらによい仕事ができるようになりたいと思います。
また研ぎ講習で多くの方に研ぎ楽しさを知っていただけるようにがんばっていきたいと思います。
最後になりましたが、本年も多くの方に支えられた一年でした。
天然砥石を使い始めてまだ日は浅いですが、早く理解が得られたのもご協力いただいた方々のおかげです。
ありがとうございましたm(_ _)m
本当に感謝ばかりの一年でした。
来年もまたお付き合いいただければと思います。
来年はブログもしっかり更新しますのでよろしくお願いしますm(_ _)m