11月3日の文化の日に楽園氏の発案で切ろう会通信課が当店で開催されました。
http://blogs.yahoo.co.jp/miasumamomo/28334962.html
今回参加人数も多く、いろいろな研ぎ方を見せていただき勉強になりました。
またこの度は光栄にも審査委員長の大役を任せていただいたので、真剣に選ばせていただきました<m(__)m>
まじめに審査しすぎて結構時間がかかってしまいましたが(笑)
とりあえず皆さんが気になっているかもしれない審査基準をお知らせさせていただきます。
私の審査のポイントは、私が考える「包丁研ぎに求められるもの」としました。
審査は減点方式を採用し、最大-3点、一番良い状態で0点で、持ち点の10点から4項目において減点していき、残った点数で順位を付けました。
まずは➀見た目の美しさです。
見た目と言ってもブレードが光っているだけではなく、きちんと研げているかという部分もしっかり評価対象としました。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、新品の包丁は良い形状にないものも多々あります。
刃線が歪んでいたり、道具として使いにくい形状のものは修正が必要です。
また刃先も機械研磨されているため、その研がれた部分が使用する範囲内できちんと研がれているのは研ぎにおいて当然と言えます。
さらには刃先の角度に着目し、切れ味の持続や耐久性を考えているかもこの美しさの審査基準に入れました。
時間内での検査は難しいため、私の独断と偏見審査させていただきましたm(_ _ )m
これらの点は包丁の個体差が出てしまうこと、またそれぞれの研ぎ手の主義趣向があるため、項目として独立させずに見た目の美しさという総合的な判断のもと審査させていただきました。
そのため美しく磨き上げている、形がきれいに研げている、また研ぎムラが少なく研げている場合0点で減点無しなのですが、どれかの項目が突出していれば他の部分で少々問題があっても相殺で0点にしたものもあります。
➁の切れ味は新聞紙を用いました。
ここでの評価は、欠けがないか、きちんとかえりが除去できているか、使用の際に必要とされる刃線内の切れ味が均一であるかと共に、きちんと切れ味が出ているかを判断しました。
大抵の場合、この新聞紙が切れなければ食材が良く切れるという評価にはなりにくいですね。
③の切れ味は実際に食材を切りました。
包丁は新聞紙を切るものではないですから、実際の切れ味を食材で試さなければわかりません。
今回人参と玉ねぎを切り、硬い食材に対しての抵抗を少なく研げているか、繊維をきちんと切断できているかを判断しました。
予想以上に➁で評価が出ても、食材を切る切れ味が出ていないものが多くありました。
最後の④は仕上げの手早さです。
包丁研ぎだけに限らず、作業は短時間でパフォーマンスを最大限にすることを求められます。
上記の3つのポイントを押さえながら、いかに早く研ぐことができるかです。
砥石の数、砥石の選択を見ながら、いかに減らさず研げたかを私の想像で評価のポイントにしました。
また一般的に研ぎのイメージからかけ離れた研ぎ方や道具の使用、裏技などは申し訳ないのですが減点対象にしました。
確かにオリジナリティにあふれ、今までの研鑽で生まれた手法だということはよくわかるのですが、今回は砥石を使い研ぎあげるというシンプルさを主にさせていただきました。
私としては道具がたくさんなければ切れるようにできないわけではないと、皆さんに証明してほしいという思いがあるからです(^-^)
そして現段階では参加者の保持している道具の数に差があるのも不公平かなと考え、導入した項目でもありました。
以上が私の審査基準でした<m(__)m>
結果的には、私の思惑通り?にただただシンプルに研いで良い切れ味を出した方が上位に食い込んだのではないかと思います(^-^)
まず今回審査して感じたのは、とにかく100均包丁は難しい!!
上手く研げていても鋼材が軟らかいということが原因で切れ味が出ないというケースがありました。
例えば片刃に挑戦していただいた方もいらっしゃったのですが、100均包丁のブレードの硬さが柔らかすぎて、片刃特有の内側に食い込む切れ味が力を外側に向けても包丁が曲がって緩和されないため、まともに切れないという問題も起きました(;^ω^)
今回100均包丁であるということがこの企画の面白いところでしたが、参加者様の気合の入れ具合と刃物の品質が合っていないのかもしれませんね(;^_^A
100均包丁はある意味運の要素も含んでいますから、技術だけでカバーできないところもあるということです。
実際私の包丁はひどく曲がっていて、歪取から始めました(笑)
ですが歪取ができなければ表裏きれいに仕上げることも困難だったと思います。
ということで研がれた方の工程の開示は、楽園氏と話し合ってしないこととにさせていただきました。
書かせていたいておりますように、研鑽を積んで得たノウハウや口外できない道具や研ぎ方もあること、そして何より自身で考えたものと聞いた技術では身に付くものが違うと思うからです。
もし工程を教えても良い方や知りたい方はブログなどを通じてコメント欄にてやり取りをしてみてください(^-^)
また次回がありましたら是非宜しくお願いいたしますm(_ _ )m