腎不全と悪性腫瘍で二匹の猫を見送っているが、とくに悪性腫瘍だった仔の闘病は、これで良かったのかと今でも思う。
口腔内に出来た腫瘍は、肺、眼、脳へと転移した。
生きた証しにと、毎日のその仔の闘病生活をビデオに撮っていたが、今もって一度も再生できずにいる。
最期の1ヶ月は5kgあった体重も1kg以下になり、鼻も腫瘍で塞がり水も飲み込むことが出来なくなった。
首もぐらぐらになり、頭を起こすことも出来なかった。
呼吸もやっと。
それでも自力でトイレに行こうとするので、抱いて支えてトイレをさせた。
寝床に敷いたペットシートには、絶対にしなかった。
自宅で脱水予防の補液をしていたが、トイレが近くなるだけだったから、しない方が良かったと今さら思う。
高齢のため手術を選択しなかったのだから、あそこまで頑張らせたのは酷だった。
自分が長く一緒にいたいがために、そういう選択をしたのだと思う。
あの仔はどうしたかっただろうか。
腫瘍が大きくなり、自分でお皿から食べられなくなっても、最期の1ヶ月までは指で一口ごとあげると指に穴を開けるほどの勢いで食べた。
食べ物を落とすものか、と言う気力がまだあった。
あの仔は、ほんとうはどうしたかったのだろうか。
母の抜去は週明けに決まった。
筋緊張でだんだん変形していく手足。
愚痴も恨み言も、何も言えず、
母は、ほんとうはどうしたいのだろうか。