ひとり | 月のベンチ

月のベンチ

両親の闘病記

こうやって
ひとりになって行くんだなぁ、って思った。

自分の新しい家族を作ることをしなかった私たちは、新しい家族を持つ人たちより早く、ひとりになるんだな‥って ね

母が倒れて、使わなくなった食器が増え、
父親がほとんど食べなくなって、使わなくなった食器が、また増え、
父親が入院したら、また使わない食器が増える

家は小さくて狭いのに
だんだん広くなって

主のいない、使わなくなった物たちに囲まれて
過ごすようになるんだねぇ‥


8年くらい前だったか、ドラマで『風のガーデン』というものがあった
倉本聰の脚本だったかな
癌に冒された中井貴一扮する麻酔科医が、離婚して長い間離れて暮らしていた娘と息子の様子をこっそり見に訪れる。
父親を許せない娘。

最後は娘たちのもとに帰り、そこで死を迎える。


主人公の父親役だった緒形拳は、そのとき癌を患っていたそうだ。
それが遺作になった。





病院で母と同室だった方(故人)の娘さんが、父と母が入院したら、またすぐお見舞いに来てくれるそうだ。