朝日新聞 2011.8.1.



福島原発を調べだすと、まるで戦後日本の鏡。
一時的な生活安定と引き換えに
エネルギーを供給した地方が
都市に服従していく歴史を浮かび上がらせた。



師の一人、上野千鶴子さんは
「単なる事例研究でなく原発を戦後史に位置付けた。
詰めは甘いが射程が大きくのびしろがある」

原発はどうするのか。
「やめられたら、いいんですけどね」
簡単に答えは出せない。
事故まで見向きもされなかった地方は
やがてまた忘れられることはないか。
行方を見届けたいと、走り続ける。

文:高重治香