朝日新聞 2012.1.3


インタビュー2012

文明崩壊への警告 ジャレド・ダイヤモンド


ルワンダにおける虐殺は

人口が増える中、森林を切りすぎて土が流され、

農地の奪い合いで人々が深刻に対立していたことが

背景にあります。

ソマリアの国家が崩壊したのも

森林破壊と過剰な放牧で国土が砂漠化したのが

大きな原因です。

現代の世界で、重大な環境や人口の問題を

問題を抱えている国と、政治的に不安定な国は

ほぼ一致しています。



今の文明の環境・人口問題は12に分類できます。

自然破壊、漁業資源の枯渇

種の多様性喪失、土壌浸食、化石燃料の枯渇

水不足、光合成で得られるエネルギーの限界

化学物質汚染、外来種の被害、地球温暖化

人口増、1人あたり消費エネルギーの増加。

そのひとつでも対策に失敗すれば、

50年以内に現代の文明全体が崩壊の危機に

陥るでしょう。

火のついた導火線付き爆弾を12個抱えているようなものです。



社会を存続させる秘訣は、結婚生活を続ける秘訣と同じ。

「現実的であれ」ということ。

結婚生活を続けるには、夫婦の間のあらゆる問題で

合意や妥協が必要です。

それと同じく、水、森林、治安、人口、外交など

次々と生じる社会問題のひとつからでも

目をそらし、対策を怠れば、そこから社会は崩壊してしまう。