心臓だけでなく、彼を生かした『心』そのものとも言える友・ベートーヴェンまでも失ったルイ。彼はその空虚を埋めるべく「Rose Croix=薔薇十字帝国」を設立した。


 その国の住人はルイが世界中から選び抜いた芸術家達。もちろん全員がヴァンパイアだ。彼らは自らの事を"死者"としているが、正確には死に切れない"不死者"(アンデッド)である。逆に人間から見れば動いているヴァンパイアは"死者"ではない。どちらかといえば不老不死で永遠の命をもつ"生者"である。

 彼らはその常人を超越した力で、絵画や彫刻、そして音楽といった芸術をもって人々の心を支配する。言わば"心を領土とする帝国"だった。