本当に釜山映画祭で映画を観るのは難しい。

チケットの入手が困難なのはもとより、開始時間を少しでも過ぎてしまうと会場に入れなくなってしまう。
お腹が空いていたのでCGVシネマの下のデパートでパンを買ってから会場に上がった。
5分遅刻。入ろうとするとスタッフに止められてしまった。

「まだ予告編だよ、本篇は始まってないよ」と主張したのだが、彼の意志は強かった。

まあ、自分が中にいるときの途中入場されると嫌だし、席までたどり着くまでに浴びる冷たい視線を考えたら、まあいいか。


で、結局買った4枚のチケットのうち見ることができたのは2本。といってもそのうちの1本は5本のショートフィルムが収められたのショーケース。



『Castaway on the moon』

映画祭の中でのジャンルわけでは《Korean Cinema Today》というものに分けられている2009年の韓国映画だ。監督はリーヘイジュン。
自殺しようと川に飛び込んだら、その川のにある島に流れ着いてしまい、そこで自給自足生活をする男と、その男を高層マンションの部屋から観察する引きこもりの女の子の話。
結構好きな映画だった。最初のシーンが男の川への飛び込みのシーンだった。それが自殺しようとしているのか、現代社会の狭苦しさからの解放の比喩の表現なのかがよくわからなくて、しっくりこなかったけど、だいぶ早い段階で男が全く泳げないって過去の部分を見せてくれたので、その気持ち悪さをあまり引きずらずに済んだ。
良くあることだけど、映画が進むうちに主演の女優はきれいになっていった。で顔がどんどんオダギリジョーに似ていった。男の方は雨上がりの宮迫に似ていった。
男は川に浮かぶ島の上で生きていくためにいろいろな工夫をする。その工夫の中のひとつ、塩分をとるため、汗収集がある。最初それに気づいたときに汗だくの腕をべろべろなめたりして、その部分はキモ面白い。その日から、少しでも汗をかくと目薬の瓶に集めるようになる。しかし中サビのところで流す感動の涙は流しっぱなしだった。そこを拾わないのは塩分と笑いが多少もったいない気がした。



宿からMEGAboxという映画館まで行く道には、食堂や居酒屋が並んでいる。
グッパ食堂の前には決まっておばちゃんが立っていて呼び込みをしている。
今日もそのうちの一人に捕まって食堂に入る。
僕とほぼ同時に店に入って隣のテーブルに座った同世代の男の子は英語が話せた。
僕の前のテーブルにいたカップルの彼女の方が日本語が話せた。
そして僕の斜め前、English-speakerの男の子の前には、韓国語しかしゃべれないおっさんが座っていた。
おっさんがしきりに僕に話しかけるので、通訳ができる二人が忙しそうだった。

おっさんと男の子が出て行ったあと、日本語ができる彼女に韓国語を少し教えてもらった。

アニョハセヨ
こんにちは/さようなら

カムサハムニダ
ありがとう

オルマイムニッカ
いくらですか?

イールンイムモミッカ
What’s your name?

いのうえわたるイムニダ
井上航です

バシータ
おいしい

オディン
どこ?

イルポン
日本

イル、イ、サム、サ、ウォ、ユ、チル、パル、グ、シッ
1,2,3,4,5,6,7,8,9,10


店の勘定のとき、さっそくオルマイムニッカで値段を聞くと店のみんなに拍手をいただく。
でもおばちゃんが答えた数字は聞き取れず、だめだわかんない、と言うとみんなに笑われた。

彼女にまた助けてもらって、勘定を済ませる。みんながにやにやしながらこっちを見ている。このままじゃ終われない。

「グッパ、バシータ!!!」
最後の一言は決まったみたいで、また拍手。

気持ち良く店を出て、モーテルに向かう。

0910112345

釜山映画祭のチケットエクスチェンジブース。
余ったチケットを預けると、ボードにインフォメーションされる。
買い手が見つかったら、返金されるシステムらしい。
Sold Outのチケットが手に入る、かも。
僕もここで明日の分のチケット1枚購入しました。
とてもアナログなマーケット。



Michina(ミチナ) 世界一周旅行の記録
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