ブログ一ヶ月記念 リクエスト第二弾。


☆はるりんさんからリクエスト☆


《「蓮からの強引なキス。役者の法則に従ってファーストキスの2回目を奪おうとする直前に2人して言い合いのように想いを伝えあって今度こそ幸せなファーストキス」が読みたいです。
『鶏への告白』でコメした通り、切羽詰まって理性をとばす蓮が大好きなので。
できたらよろしくお願いします。》
とのことです!!
よーし、それでは行ってみよう!!
お楽しみ下さい。




ファーストキスは瞳を閉じて




蓮とキョーコはドラマの番宣の為にトーク番組に出演していた。しかし、そこにはCDのシングルの発売を控えた尚も宣伝の為に出演しており、運悪くも三人は本番でようやく顔を合わせて共演を気付く事となる。


トーク番組収録中、蓮はキュラキュラと怒りを隠した笑顔で、二人のやり取りをみているのだが、白熱したやり取りを繰り広げているキョーコにはその蓮の怒りに気付く余裕などなかった。

尚はキョーコを面白がっておちょくり、キョーコはそれに噛み付く様に答える。息の合いすぎたやり取りに、コントのような面白さがあり、番組的には受けてるようだが、面白くないのは蓮である。

自分の想い人の目には、憎き幼馴染しか見えていないのだ。

どうにかキョーコを宥めて辞めさせようと、会話に入り込んでみても、「敦賀さんは黙ってて下さい。」だの、「あんたにはカンケーないだろ?!」だのと言われ、キョーコはそんな尚との言葉を受けて蓮の弁護の為に、「あんた!敦賀さんに失礼でしょ?!敦賀さんは事務所の先輩として言ってくれてるだけで、それ以下でも以上でもないんだから!謝りなさいよ!」
等と言われ、もう蓮の心はボロボロである。

そんな蓮を他所に、一見仲が良すぎる二人へ共演者達から冷やかしの声が発せられるが、それをも気にせずトークを繰り広げる。

蓮はイライラとした気持ちを抱えたまま、キョーコは言いたい事が全部言えスッキリとした気分になったところで、表面上番組は無事に終わった。
だから、尚が蓮を見て、勝ち誇った顔をした事も、キョーコは知らない。

番組も無事に終わったことで、キョーコはウキウキと蓮の楽屋を尋ねるが、尋ねた瞬間後悔した。

腕をガッチリと掴まれて、大魔王に捕獲されてしまったのだ。

社はと言うと、泣きながら「キョーコちゃんごめんね~」
と言いながら、楽屋から出ていってしまった。
蓮の“出てけオーラ”に耐えられなかったのだ。

「つつつ、つるがさぁん!申し訳ありませんでしたぁぁぁ!」

キョーコは、蓮の怒りの原因がトーク番組を尚とのやり取りで無茶苦茶にしてしまったことだと思っていた。

しかし、蓮はそんなことはどうでも良く、二人の世界を見せ付けられた事への嫉妬や苦しみ、怒りと言ったドロドロとした感情だけに支配しされていた。

誠心誠意謝っても許してくれない蓮にキョーコはとうとう泣きべそをかいた。

蓮が低い声を響かせてキョーコに問いかける。
「君は、あいつが今でも好きなの?!」
蓮の殺気だった鋭い眼光がギンとキョーコを捉える。

キョーコはそんな蓮の姿に震え上がった。
カタカタと震えながら青褪め、涙を流した。
「あ…。ご、めんなさ…。」

「何で謝る?好きって認めるの?…許さない!そんなの絶対に、認めない!」
蓮はそう言い切ると、キョーコの唇に強引に口付けた。

「ーーー!!!!」
キョーコは驚きに目を見開いた。口を開けると入ってくる舌を懸命に押し返すが、その舌をも絡みとられ、キョーコの身体が強張る。


ただただ乱暴なキスに、キョーコの心は掻き乱れた。

離された唇を、呆然と見つめるキョーコ。
何が何だかわからない。キョーコの頭の中は真っ白になっていた。
「つ…つるが…さん…?」
キョーコは恐怖でカタカタと震えた。

「何であいつばかり見るんだ!!!!周りには君を想う奴もいるのに!!俺は君が好きなのに!!」
蓮は苦しげに吐き出すと、切ない目で、キョーコを見つめた。
「俺を見て…」
キョーコのファーストキスを自分に塗り替える為、もう一度唇を寄せようとする蓮…。

しかし、キョーコはそんな蓮を思いっきり突き飛ばすと、涙をいっぱい瞳に溜めた目で蓮を睨み付けた。
「…そんな、冗談言うなんて…酷い!!!!」
キョーコは唇を抑えて、ポロポロと涙を零しながら、蓮の楽屋を飛び出した。




同時刻、同じテレビ局の廊下を尚は一人、キョーコの楽屋を探して歩いていた。
「ったく、同じ番組なんだから、挨拶ぐらい来いってんだよ。」
ブツブツと呟きつつ廊下の角を曲がると、正面からいきなり誰かが走って来た。

ーーードン!
「うわっ!」
「あ…ごめんなさ…。」
尚の肩にぶつかったのは、涙を目からいっぱい流したキョーコだった。
「キョー…コ…。」
「…あ…。ショー…タロ…。」
ボロボロと涙を流すキョーコを見て固まる尚。

「おまっ!何泣いて…。」

キョーコは、ハッとして顔を隠すと、すぐに駆け出した。

「おい!!」
ーーー何が、どうなってんだ?!

「最上さん!!」
「な?!敦賀…蓮?!」

血相を変えて飛び出して来た男に驚いて目を見開く。

蓮も尚がいた事に驚いたのか、一瞬立ち止まったが、すぐに顔色を変えてキョーコが走り去った方向を追いかけるように走り出す。

「おい!お前!キョーコに何しやがった!!」
「お前には関係ない!」

怒鳴りつける尚に、蓮も応えるように怒鳴り返し走り去った。

「おい!!待てよ!!」
只事じゃない様子に、尚も慌てて追いかけるが、足の長さの違いか、一向に追いつけない。
それどころか、どんどんと背中は遠ざかる。

ーーーちっ!どこまでも嫌味な奴だ!
尚が腹立たしげに追いかけていると、廊下を抜けた前方から男女の言い争う声が聞こえてきた。人が次々と立ち止まり、既に人集りが出来ている。

「最上さん!話を聞いて!」
「嫌です!!もう、敦賀さんなんて知りません!!」

男が女の腕を掴み、二人は周りの目も気にせず、ギャーギャーと怒鳴りあっている。

「大体、敦賀さんがいけないんです!!思わせぶりなことばっかりいつもするから!」
「だから、今日のは違うんだ!」
「違くありません!!」
「俺が違うと言ってんだから違うんだ!!」
「そんなの屁理屈です!!」
「強情だな!君も!!」
蓮がイライラと語気を荒らげる。

何だなんだ?痴話喧嘩か?とどんどん人が立ち止まり、二人の様子をみるが、怒鳴ってる男を見て皆が固まる。

春の陽射しのような人と例えられるくらい、温和で紳士な敦賀蓮が、女性の腕を取り言い争っている。
一体相手の女性は誰だ?!と皆の視線は少女に向かうが、こちらも蓮の剣幕に負けじと、蓮を睨んで言い返している。

ーーー人目も憚らねぇで恥ずかしい奴ら…。

尚は二人の様子を呆れたように眺める。

ーーーしかし…。ふっ。これであの野郎の人気も地に堕ちたな…。やるじゃねーか、キョーコ!!

尚はコッソリとほくそ笑むと、ニヤニヤと二人の様子を眺めた。


「言っていい冗談と、悪い冗談があるんですよ!!敦賀さんが私のことを好きだなんて、天地がひっくり返ったってあり得ませんから!!そんなあり得ないことを簡単に言わないでください!!」
「何であり得ないって勝手に決めつけるんだ!俺が誰を好きになろうと、俺の自由だろ?!君に否定される謂れはないはずだ!!それに、冗談なんかでこんなこと言わない!!」
「だから!そんな冗談、誰も信じませんから!!何でそんなこと言うんですか!そんな思わせぶりなこと行って騙そうとするなんて酷すぎます!!!!からかうのも程々にしてください!!」
「だから!からかってもないし、騙すつもりもない!!俺は君が好きなんだ!!どうしようもないくらいに!!みっともなく喚いても平気なくらいに!!」
「そんなのなんだって言うんですか!!なんの証明にもなりません!!そんなこと言ったら私の方がずぅっと敦賀さんのことを好きですよ!!!!」
「んな!!そんな訳ないだろう?!君こそそんな冗談言うべきじゃない!!!!俺がどれだけ君を想ってるか知らないくせに!!!!」
「敦賀さんこそ!!!!私がいつもどんな想いで貴方と接していたかなんて分かるはずありません!!」
「分からないから知りたいんじゃないか!!!!」
「私は知りたくありません!!大体、敦賀さんから告白されるなんて、ドッキリかなんかぐらいでしかあり得ませんよ!!抱かれたい男ナンバー1なんて言われてる人が、なんだって私みたいな地味で色気のない女を好き好んで本気で好きになったりするんですか?!」
「君には君の魅力があるだろう!!!!色気のあるなしなんて、関係ない!!それに君には色気なんて必要ない!!困るんだ!無駄に色気なんてつけて馬の骨を増やされるのは御免だよ!!そのままの君が誰よりも好きなんだ!!」
「だから、それがあり得ないって言ってるんです!!」
「色気なんてどうでもいい!!どう言ったら信じてくれるんだ!!君じゃなきゃダメなんだ!!」
「そんなこと言って、どうせ使えなくなったら私のことなんてポイッて捨てるわよ!!男なんて皆同じよ!!」
「俺を君の最悪の幼馴染と
同類にしないでくれないか?!」
「んな!!敦賀さんがあんな奴と同類だなんて思ってません!!」

「じゃあ、俺を信じて!!絶対に君の手を離したりしないから!!ずっと好きなんだ!!君だけが!!愛してるんだ!!!!愛しくて愛しくて堪らない!!」
「私だって敦賀さんを愛してます!!!!…愚かなことだって!叶わない想いだって、うっ…一生懸命、封印、しようとするのに!!なのに貴方は!!!私の封印を、いとも容易く…どんどん解いて…。うっく…。」

キョーコは言葉と共にポロポロと涙を流した。
蓮はそんなキョーコをそっと抱きしめる。
泣きじゃくるキョーコを苦しげに見つめ、唇を噛むと、更に強く抱き締めた。
「ごめんね…。でも信じて…。本当に好きなんだよ。」
「私、敦賀さんが好きで、好きだから苦しかったんです!叶わないって、諦めようとしてるのに!貴方は!!もう、捨てられるのなんて耐えられないのに!!」
キョーコは蓮の胸にしがみついた。
「大丈夫だよ。俺は絶対に君を離したりしないから。安心して、俺のそばにいていい。君の隣は誰にも譲らないから…。」

「…本当ですか…?嘘…ついてないですか?後で、冗談なんて言わないですか??」
キョーコが蓮の目を涙をいっぱい溜めた目で見つめた。

蓮はそんなキョーコを見て、愛おしそうに蕩けそうな微笑みを浮かべた。

「うん。本気だよ。最上キョーコが好きなんだ。何にでも一生懸命なとことか、素直で真っ直ぐなとことか、笑顔も涙も全部。君の全てが大好きだよ。ただの後輩だなんて思ってない。君が誰よりも愛しくて、大切なんだ。」
「敦賀さん…。」
「信じて?俺を…。俺を、君の瞳に映して…?」
「もう、とっくに…貴方しか見えてません…。ずっと貴方だけ…。」
キョーコの言葉を聞いて、蓮は破顔して、キョーコの唇に自分の唇を近づけた。

「じゃあとりあえず、証明の為に、君のファーストキスを俺に頂戴?」
「何ですか。それは……」
キョーコがジトっと蓮を睨むが、蓮はジッと真摯な目でキョーコを見つめた。

「返品…不可ですよ?」
キョーコは頬を染めながら蓮を見つめ返した。
「勿論。」

蓮の言葉を合図に、キョーコは瞳を閉じた。
2人の唇がゆっくりと重なる。
ようやく2人は本当の幸せと愛を手に入れた。

ーーー優しいキス。

先ほどとは全然違うキスに、2人の心が溶け合う。

唇を離すと、二人は互いを抱き締めた。
強く…。強く…。もう離さないと、相手に伝えるために。

「ようやく捕まえた。もう絶対に離さないよ。」
「私も、離れません。」

二人はうっとりと目を閉じる。
感じるのは互いの温もり…。ただそれだけでいい。

キョーコと蓮が完璧に2人の世界に浸っているのを尚は離れたところから茫然自失状態で見ていた。

ーーーは????何だよ…これ…???

未だに目の前の光景が受け入れられず、ただ呆然としている。

すると、尚の斜め後ろの男が、
パチパチと拍手をし出した。
それにつられるように、どんどんと拍手が広がり、あっと言う間にテレビ局のロビーが拍手喝采につつまれた。
各方面から、「おめでとー!」と言う声や、「お幸せに~!」と2人を祝福する声が上がる。
しまいには口笛まで聞こえて来た。

渦中の2人はその拍手を浴びて、
ようやく自分達がどこで言い争いをしていたのか気付いたようだ。

2人とも顔を真っ赤にして、辺りをキョロキョロと見回している。

蓮は恥ずかしがるキョーコを隠すように抱き締めたが、中々お祝いムードが収まらない。
困ったように、キョーコを覗き込むと、キョーコも困った顔で蓮を見上げていた。

2人は顔を見合せて苦笑しつつ微笑むと、蓮が腕をキョーコの腰に回し身体を引き寄せ、周りにいる人達に「お騒がせしました。」と頭を下げて回った。祝福の言葉を沢山もらう間も、2人は照れながら微笑み合う。

皆がお祝いムードな中、尚は静かに踵を返した。


尚の憶測は見事に外れた。
蓮とキョーコの言い争う姿を撮影していた輩がいたらしく、瞬く間にお茶の間に広がったのだが、蓮が普段見せない必死な表情にキュンとする女性が続出し、蓮は今まで以上に世間から求められるようになった。
それと同時に、蓮の新たな表情を引き出す爆弾として、京子も引っ張り出され、2人の人気はうなぎ登りになっていったのだった。

キョーコと蓮の仲はあの時の映像が流れたことで、世間からもすんなり認められたのだった。


END



*****

今回のリクエスト、ど、どうでしたでしょうか?!はるりん様!!
ご期待に添えれてますでしょうか?!

む、難しかったです!!いや、自分で自分の首を締めた感が若干ありますが…(笑)
はるりんさんと、アメンバーの皆様に捧げます。気に入ってくださる方がいたら、ご自由にお持ち帰り下さい。

いやしかし、ケロちゃんさんのブログで紹介して頂いて、一気にアメンバーが増えちゃって、びっくりしました!!沢山の方に気に入って頂けてるようで嬉しい限りです。

まだまだリクエスト頂いたのが残ってるので、時間見つけては書いていきますので、今しばらくおまちください。
今回も楽しいリクエストはるりんさんありがとうございました!!



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