アメンバー様 100人到達記念リクエスト



☆シオルさんよりリクエスト頂きました☆

<*キョーコちゃんと蓮様は、お互い無自覚の両思い。
*後一歩が踏み出せない二人に社さんを始め、周囲がヤキモキしている。
*そんな中、二人を指名した恋愛物ドラマ出演のオファー。
*蓮様とキョーコちゃんはドラマ制作記発表の為に、松太郎は音楽番組収録の為同じテレビ局にいる。
*同じ局内にキョーコちゃんが居ると分かり楽屋に乱入する松太郎。
*そこで敦賀セラピーで色々な緊張を癒されているキョーコちゃんを見て、愕然とする。
*松太郎の『オレ以外の男に余所見してるな!』と焦った台詞。
*キョーコちゃんの『敦賀さんの腕の中は良い香りがしてドキドキするけど落ち着くんだもん!』との咄嗟に口から出た台詞。
*ここから蓮様の怒濤の口説き文句が炸裂!!
*オチとしては、松太郎がきっかけで思いが通じる蓮様とキョーコちゃん。
*目の前で起きた事が理解出来ず愕然としている松太郎。
*最後に社さんから松太郎に『何時も君の行動は褒められた物では無いけれど、今回だけはお礼を言わせて貰うよ。あの二人が結ばれるきっかけをわざわざ(←強調)作りに来てくれてありがとう』と、トドメを刺して欲しいです。>

お待たせしました!!最終話です♪
最後までごゆっくりお楽しみください♪( ´▽`)


*****


無自覚な両想い 4《完》



尚の叫び声にキョーコは弾かれたように身体を跳ねさせ、発信源の方に顔を向ける。
蓮も迷惑そうな顔を隠しもせずに、尚を睨みつけた。

社は、尚の出現になんとなくホッと胸を撫で下ろした。
もう蓮とキョーコがセラピーなるものを始めて10分くらい経っていたのだ。
社から吐き出される砂も既に尽きかけ、社にはたった10分が永遠の時の様に感じていた。

怒りに震える尚をみて、キョーコが興味なさそうにそっとため息を吐く。

「なんだ…あんたなの?」

そう言ってもう一度蓮の胸の中に顔を戻そうとするキョーコをみて、尚が怒りを顕にしながらキョーコに向かって怒鳴った。

「ちょっと待て!!!!キョーコのクセに!!俺以外の男に余所見してんじゃねぇよ!!とっとと、そいつから離れろ!!」

「嫌よ!!何であんたに命令されなきゃいけないわけ?!敦賀さんの腕の中は良い香りがしてドキドキしちゃうけど、とっても落ち着くんだもん!!」

尚の言葉に、キョーコはうっかり本音を暴露してしまった。
しかし、それにキョーコだけが気付いておらず、他の男達は皆それぞれ三者三様の表情になった。

尚はショックを受けピシリと固まり、社はげっそりしつつもようやく聞けたキョーコの本音に安堵の息を吐き、蓮は抱きしめる腕に力を込めながら無表情になってしまった。

楽屋の周りには騒ぎを聞きつけたスタッフや芸能人がちらほらと集まり始めていた。


「最上さん、それ本当?」

「ふぇ?!何がですか?」

蓮のポツリと呟く問いにキョーコは蓮に顔を向けて尋ねる。

「俺の腕の中にいて、ドキドキしちゃうの?」

その言葉を聞いて、自分の失言に気付いたキョーコは耳まで真っ赤にして慌てて蓮から視線を逸らす。

「あ、いえ、あの…。ぅぅ……はい。」

言い淀むキョーコだったが、とうとう誤魔化しきれずに、肯定した。
頬を染めておずおずと頷く姿が初々しく、蓮は感動して抱きしめる腕に力を込める。

そんな二人をみて、更に慌てた尚が喚いた。

「くそ!!とにかく離れろよ!!キョーコ!!お前、また前の恋愛しか脳のないバカ女に成り下がる気かよ!!お前は俺だけを追いかけてれば良いんだよ!!」

「んなっ!!あんた何言って…」

「最上さん…あんな奴のことはほっといて、俺のことだけ見て?」

尚に向いてしまったキョーコの意識を引き戻す為に蓮は、今度はキョーコにもわかるように、キョーコの髪にリップ音を乗せて何度もキスを贈る。

「へ?!つ、つつつつつつつつつるがさぁぁん?!」

カァァと全身を真っ赤にしたキョーコが驚きながら蓮をみると、蓮のキスはキョーコのおでこや頬にも降ってきて、キョーコはくすぐったさに身をよじり恥ずかしさで顔から火が出るほど真っ赤になる。

尚は、社によって二人に近付けないように後ろから抑え込まれていた。

「おい!!バカ女!!!!くそ!離せよ!眼鏡のおっさん!!」

尚が浴びせる罵声すらも聞こえずに、蓮の腕の中でアワアワとしているキョーコに、蓮は破顔して、抱き締め直すと最後につむじにキスを落とした。

『10年前に出会った君との思い出だけが俺の生きる支えだった。君の存在が俺を救ってくれたんだ。10年前も、そして今も。』

「…え?」

蓮の突然の台本の台詞に、キョーコが首を傾げる。

「今度の台本。まるで俺たちのようだと思ったんだ。」

「…俺たちって?」

「俺と、君。そして、コーンとキョーコちゃん。」

「え?どうして…キョーコちゃんなんて…?」

「俺は、あの時10年後に君に再会出来るなんて夢にも思ってなかったから、台本の二人のようにまた会う約束は出来なかったけど、こうしてまた出会うことが出来て、俺はこれを運命だと思いたいんだ。」

「敦賀…さん?」

「うん。それは俺の芸名。ねぇ、キョーコちゃん。当ててみて?君だけが知ってる俺の名前で、俺を呼んで?」

「敦賀さんの…名前?」

蓮の言葉に、キョーコは暫し考える。


ーーーさっき…敦賀さんはなんて言ってた??


ーーーあの時?10年後??こうしてまた出会うことが出来た??




ーー『敦賀さんが、コーンだったら良いのに…』



初めて台本を読んだ時に、ポツリと呟いた言葉が、脳裏に蘇ると、キョーコの身体に電流が走ったように、一気に全身にまさかという思いが広がった。

弾かれたように顔を上げたキョーコが、大きな目を更に大きく見開いて、優しく微笑む蓮の顔をまじまじと見つめる。

ーーー知ってる!!私、この笑顔でキョーコちゃんって呼ぶ人を一人だけ知ってる!!!!


ーー君だけが知ってる俺の名前で、俺を呼んで?


キョーコはドクドクとなる心臓をうるさく感じながら、彼の名前を呼んだ。

「コーン…??」

それを聞いた蓮は今までにないくらい破顔した。

「当たりだよ。キョーコちゃん!」

蓮の今までに見たことがないくらいの嬉しそうな顔と、懐かしい呼び名でキョーコを呼ぶ優しい声に、キョーコの見開いた瞳がうるうると潤む。

「コーン!!」

二人はギュッとお互いの存在を確かめるように抱き締めあった。
キョーコは感動のあまりボロボロと涙を流している。

「は…?何だよ…。誰だよコーンって!おい!!キョーコ!!キョーコ!!」

尚が取り乱して叫ぶがキョーコの耳には届かない。

「ずっとずっと君が好きだった!!俺にとってもキョーコちゃんは俺の心の支えになってたんだ。」

蓮はキョーコにここぞとばかりにありったけの想いを伝える。

「最上キョーコは俺にとって誰よりも必要で、誰よりも大切な
存在なんだよ。誰よりも、俺が君の特別な存在になりたいんだ。」

「敦…賀さん?」
蓮の言葉にキョーコが蓮を涙の溜まった目で見上げる。

「俺は君のことが…好きだ!」

キョーコの目を真っすぐに見つめて言う蓮の言葉に、室内の空気が一気にシンとなった。

キョーコがひゅっと息を飲み、蓮を大きな目で見つめ返す。

社も尚も、緊張した面持ちでゴクリと息を飲み、二人の様子を伺う。
楽屋の前にも人だかりが出来ているのだが、誰もが蓮の渾身の告白に息を呑んでいた。


キョーコの涙で濡れた瞳の奥には、不安と困惑と僅かな期待が入り混じっているのを蓮は感じた。

涙で濡れたキョーコの頬を、蓮が大きな手で包み込み、涙を拭う。

優しい蓮の手の感触にキョーコは無意識に身を委ねる。

すりっと手に擦り寄るキョーコに、蓮は愛しくてたまらないと言う様に目を細める。

「キョーコ…愛してる。俺は君だけを心の底から愛してるんだ。ずっと俺の隣にいてくれないか?」

「わ、たしでいいんですか?」

「うん。君がいいんだ。俺には君しかいらない。」

「でも、私よりももっと素敵な人が現れるかも…」

「そんなことはこれから先もあり得ない。君以上に誰かを好きになんてなれないよ。」

「信じて…いいの?」

「うん。信じて欲しい。俺は、絶対に君の手を離さないから。もう住む世界が違うなんて言わない。君を世界一幸せなお姫様にするって約束するよ。」

蓮の言葉に嘘や偽りがないことを、優しくも真剣な蓮の目から確信できたキョーコは、ふわりと幸せそうに微笑んだ。

ーーー天使の笑み。
蓮は本気でそう思った。

キョーコはまた涙が溢れそうになるのを抑えようとするのだが、幸せの涙が止まることはない。

「コーン!!嬉しい!!私も…貴方が好きです。ずっとずっと叶わない想いだって諦めてたの!」

「キョーコ!!夢見たいだ!!君が俺にそんな言葉をくれるなんて!!」

蓮とキョーコはそれはもう心の底から溢れる喜びに包まれて抱き締め合った。

様子を伺っていた野次馬から安堵の息が流れる。
二人の空気がここにいる全員の心を一つにしたのだ。

社もキョーコの涙にもらい泣きしていた。

「良かったぁ!!良かったなぁ!蓮!!キョーコちゃん!!幸せになぁー!!」

エグエグと涙ぐむ社。

誰もが蓮の渾身の告白から結ばれた幸せそうな二人を見つめて和やかな気分になり、それぞれの仕事場へと足を進める。

そんな中、一人納得いかないのは尚である。
周りのそんな雰囲気や空気にもイライラとし、キョーコは自分のものなのに…という思いがどうしても消えない。

野次馬が半分ほど減った所で、尚は八つ当たりするかのように、二人の振りまく空気をぶち壊し言い放った。

「っざけんな!!ってか、敦賀さんよぉ!!そんな地味で色気のない女のどこが良いんだよ?!キョーコもキョーコだぜ!お前みたいな女が本当にそんな奴に相手にされると思ってんのかよ!!家政婦として便利だから、好きだとかなんだとか言われてるんじゃねぇの?!調子に乗ってんじゃねぇよ!!」


尚の言葉にキョーコの肩がピクンと揺れる。蓮の目に怒りの色が浮かび、その目で尚を睨み付けた。

野次馬からはそんな尚の発言に、批難の視線が向けられる。


「君は…わかってないようだね。俺の彼女に対する想いの深さを…。」

「なっ…なんだよ?」

蓮の大魔王の怒りに若干怯みつつ尚も、蓮を睨み返す。

「君の様な見る目のない人間に言わせれば、彼女は地味で色気のない女なんだろうが、俺にとってキョーコは、世界中の誰よりも魅力的で輝いてる女性だ。君の中では家事が出来る女の子は皆家政婦なのか?それはキョーコだけじゃなく全国にいる家事が好きな女性たちに対しても失礼じゃないか?俺は、料理上手で家事も出来る家庭的なキョーコを今すぐにでもお嫁さんにしたいと思ってるんだよ。」

蓮はそう言うと、キョーコに柔らかくも甘やかな視線を向けた。

「キョーコ。君はあんな奴の言葉に振り回されなくていいからね。君が気付いてない君の素敵な所を俺はいっぱい知ってるよ。君が俺の言葉を信じられないというのなら、一つ一つ言葉にして教えてあげる。君のいいところを上げ出したら、一日では語りきれないくらいだよ。」

蓮の優しい微笑みで言われた言葉に、不安気に揺れていたキョーコの瞳に光が灯ると、恥ずかしそうにはにかんだ。

それをモロに見てしまった蓮。


ーーーああ、ここに人がいなければっ!!

蓮は途端に無表情になる。
今すぐキョーコの唇を奪いたい!!
蓮は無意識にキョーコの唇を親指でなぞっていた。

キョーコがそんな蓮の仕草に口をパクパクそわそわとしだしたのを見て、蓮は台本の台詞に自分の気持ちを乗せた。

『君の想い出の中の俺と、今の俺は全然違うかもしれないが、君自身の内に秘める輝きは変わらない。そんな君へのこの俺の気持ちは君を見るたびに育つばかりだ。』

『貴方だけじゃない。私も変わったわ。だけど、私に言わせれば、貴方もあの頃の優しい心と笑顔は変わらない。貴方は貴方以外にはあり得ないの。』

キョーコも、蓮の台詞に台詞で気持ちを伝える。

微笑み合う二人の心は一つになった。

「やっと、やっと君を手に入れた!!ずっとこの日を夢見てたんだ。」

「敦賀さん…!!貴方にこんな風に思われる日がくるなんて、私こそ夢見たいです!!」

「うん。確かあの台本の事故も、君へ想いを寄せる幼馴染が引き起こすんだよね?」

「え?あ、そうでしたね。」

「今回も、君の幼馴染がきっかけで君の想いが知れたわけだ。」

蓮がキョーコを見つめて嬉しさそうに言った。キョーコもそれに恥ずかしそうに顔を染めながらも、嬉しそうに頷いた。

「そうですね!本当に私たち…台本通りですね!!」

「この物語の結末はハッピーエンドだ。物語に語られない話も、俺たちで作って行こう。」

「はい!!そうですね。」

「まずは、このきっかけを作ってくれた不破君に感謝かな?」

「えぇ、そうですね。」

二人は抱き合ったまま、尚に顔だけを向けた。

「ありがとう。不破君。君のお陰で、キョーコを手に入れることが出来たよ。」

「ショータローありがとう。あんたに利用されて捨てられたこと、結果的には感謝することになったわ。」

蓮もキョーコも幸せ絶頂というにやけきった顔で強く抱きしめあったまま尚に感謝の言葉を述べた。

尚はその言葉と二人の表情に、頬と、眉がピクリと痙攣する。

一生懸命目の前の事態を理解しようとするのだが、何に感謝をされたのか、意味がわからず混乱しているようだ。

認めたくない事実に、口角がピクピクと引き攣る。

そんな尚の肩をポンと叩いた社が、目に喜びの涙を拭いながら、にこやかに…しかし冷たく言い放った。

「いつも君の行動は褒められた物では無いけれど、今回だけはお礼を言わせて貰うよ。あの二人が結ばれるきっかけを、わざわざ(←強調)作りに来てくれて本当にありがとう!!なかなかまとまらない二人に、ずっとヤキモキさせられてたんだ!しかし、君が現れてくれたお陰で、
ようやく二人の心が結ばれたようだよ。」

社に肩を叩かれて言われた言葉に、尚は風でも吹けばどこかに飛ばされそうなくらい真っ白になっていた。頭の中まで真っ白になった尚は最早生ける屍状態だ。

「あ!!尚!!こんな所にいた!!」

そこへ尚のマネージャーの祥子がやってきた。

「あなたまたキョーコちゃんにちょっかい出しに来たんじゃないでしょうね?!お願いだから問題起こさないで…って!!尚?!どうしたの?!」

尚の顔を覗き込んだ祥子はようやく尚が魂の抜けた状態になってることに気づいた。

尚の視線の先を追う。
そこには甘い雰囲気で抱き合いキスを交わしている二人の人物。

「え?!キョーコちゃん…と、敦賀蓮?!?!」

祥子も、二人の醸し出すラブラブな雰囲気に、尚同様真っ青になってしまった。

慌てて尚を振り返る。

「尚!!しっかりしなさい!!まだこれから歌番組の収録があるのよ!!尚!!」

尚の意識を取り戻させようと必死になって声を張り上げて呼び掛ける祥子。

そんな尚と祥子とは対象的に、仕事モードになった社がキリッと顔を引き締めて担当俳優の蓮に声を掛ける。

「さぁ、蓮、キョーコちゃん!そろそろ行こう!制作発表の時間だよ。蓮!!その緩みきった顔をなんとかしろ!!」

「社さん、もうそんな時間ですか?わかりました。キョーコ、名残惜しいけど、緊張は解けたかな?敦賀セラピーはキョーコの為ならまたいつでもしてあげるからね。」

「は、はい!ありがとうございます敦賀さん!お陰でさっきまでの緊張はなくなりました。行きましょう。」

社の言葉で、お互いに名残惜しさを感じつつも、仕事モードに切り替えた二人は、お互いの手をとって楽屋を後にした。


残された尚と祥子は、そんな三人の姿を某然と見つめることしか出来なかったのだった。



その後、二人の出演したドラマは二人の素の表情が垣間見えることで見事ブレイクし、放送終了後、キョーコのラブミー部卒業と共に、蓮との交際記者会見も行われた。

その記者会見の中で、このドラマが実は偶然にも自分達の実体験に近いものだったということも世間に知らされ、そのドラマのDVDが飛ぶように売れ、シリーズ化までされてしまった。

シリーズ化された続編は、結ばれた後の二人の幸せな生活。それを壊そうとする様々なトラブルや事件などが起こるのだが、二人はそれを乗り越える度に絆を深めて行くという物語になっていた。


尚は事務所から謹慎処分を言い渡され、一年間の活動停止に追いやられ、半分以上減ってしまったファンを取り戻すのに尚は大変な苦労を負うことになってしまったのだった。



END



*****


なんとか終わらせましたぁ!!!!シオル様ー!!大変お待たせいたしましたぁ!!

ラストはこんなことになってしまいましたが、最後までご希望に添うことは出来ましたでしょうか?!

いやぁ!凄く楽しいリクエストありがとうございました!!

あ!今回のお話も、リクエストなのでフリー作品に致します♪
もしお気に召した方がいらっしゃれば、一声かけてお持ち帰り下さいませ♪

今回のお話はシオル様とアメンバーの皆様に捧げます♪

最後までお付き合い頂きありがとうございました!!


これにて、100人達成リクエストは終わりましたぁ♪

しかし、いつの間にかアメンバー様が150人をとうに超え、気付けば178人に?!?!

何事ですか?!?!
ってくらい驚いております。

皆様、本当にありがとうございます!!沢山の方に共感しながらお楽しみ頂けてるようで凄く嬉しいです♪
皆さん、今後ともよろしくお願いしますね☆