今日は、エイプリルフールですね!!

ということで、以前に一度UPしたエイプリルフールのお話でもどうぞお楽しみ下さい♪

前回は季節外れ感満載な感じでのUPだったので、エイプリルフールになったら、もう一度UPしようと思ってたんです(笑)

見たことあるからもういいやっ。って方もいるかもしれませんが、良かったらお楽しみ下さいませ♪
ところどころ手直ししてみました♪


*****


鶏への告白。

某テレビ局の中の人通りの少ない薄暗い廊下の隅で、暗い影を背負った長身の男が今にもブラックホールに吸い込まれるのではないかというほど落ち込んでいた。
この世の終わりのような顏で落ち込んでる姿は痛々しく、とても心配になってしまったが、二週間前の彼の言動を思い出し、なるべく会いたくないと思っていたキョーコはどうすればいいのかわからずしばらく柱の影で固まってしまった。



そう、二週間前から私は尊敬する大先輩を避け続けている。

電話も取れず、メールも返信どころか、開くことさえしていない。

いくら相手が私だからって、あんなこと言ってからかうなんて…。
キョーコは怒りよりも悲しみとショックが強く、とても落ち込んでいたのだが、かの先輩はそれ以上に落ち込んでいるようだ。

何で貴方がそんなに落ち込んでるんですか!
一体何があったんですか?

聞きに行きたいけど、行きたくない。
それは二週間前のエイプリルフールでの出来事だった。



TV局の収録を終えたところで、スタッフに声をかけられ告白された。凄い顔で固まった私に、スタッフは「今日が何の日か知ってる?」と、聞いてきた。考えていると、ふと思い当たった。
その日は一年の内で唯一嘘を許されてる日、エイプリルフールだった。

じっと睨み付けると、ごめんごめんと軽く笑われ、お詫びにご飯にと誘われたが、丁重にお断りして、その場を後にした。

その後も同じような告白が続き、イライラしていたところで、きまぐれの収録を終えた光さんから声をかけられた。

食事に誘われたがいつものように断ったら、とても神妙な顏をされた。
不思議そうに見つめていると、彼から意を決したように見つめられ突然告白された。
今日になって、さすがに5人目の同じ手口に怒りが爆発寸前のところで、にっこりと微笑んで、嘘で返すことにした。

「本当ですか?!光さんにそういって頂けて、とても嬉しいです!私も、光さんの…」

と言いかけたところで、背後からあの人の怒りの波動を瞬時に感じ取った。

ピキんと固まっていると、キュラキュラの笑顔をまとった嘘吐きスマイルで大先輩の敦賀さんが靴音響かせて近づいてきた。

「やぁ、最上さん。お待たせしたね。帰ろうか!」

有無を言わせぬ勢いで拉致をされ、人気のない非常階段に連れ込まれ、壁に押し付けられた。

「あ、あのー。…つ、敦賀さん?何をそんなに怒って…???」

壁に両腕を押し付けられたまま沈黙を守る蓮を見つめて数十秒。耐えられなくなったキョーコが口を開いた。

「君は…誰にも恋をしないんじゃなかったのか?!」

低く地を這うような声が階段に響いた。

「は??」

「君はさっきの奴になんて返事をしようとした?」

「え?…いや、あのだから…」

「あいつが好きなの?!」

「いやあの…ですね…今日はエイ…」

「許さない!!」

「は??」

エイプリルフールだと教えようとしてるのに、先輩はそれを遮りどんどん話し出した。

「他の奴に心許すなんて許さない!!」

「…つ、敦賀さん??」

ただならぬ雰囲気に何事?!と思ってると、急に抱きしめられて、心臓が止まるかと思った。

ドクドクとかなり速くなる心臓。壊れてしまいそうなほど苦しくて堪らない。

「俺以外の奴のところに行くなんて許せない!」

何が起きてるかわからない私はただ口をパクパクするしかなく、頭の中はぐるぐるしていた。

「君は誰にも渡さない!!」

「は、離してください!!」

し、心臓が壊れてしまいそうですーーーー!!

「嫌だ!俺は、君が、好きなんだ!!」

ーーーは??
ーーー誰が?誰を??



『好きなんだ』




ーーーあぁ、そっか、この人も私を騙そうとしてるんだ。

さっきまでドコドコうるさかった心臓が一気に冷えた気がした。

ーーー1人で勝手に舞い上がって緊張して…私馬鹿みたい…。

暴れるのを辞めて急に大人しくなったのに気付いたのか、私を抱き締めている腕の拘束が緩むのを感じた。

ーーー心臓が、今度は締め付けられるように苦しい。痛い。こんな冗談いう人じゃないって思ってたのに…。

「も、がみ…さん?」
彼の手が頬に伸びて涙を拭う感触を感じた。

ーーーあぁ、何て残酷な人…。私は何でこんなに、こんな人を好きになってしまったの?

「ごめんね…最上さん…。苦しかった?」

ーーー酷い…。謝るくらいなら告白なんてしないで…。何で?他の人の告白はただ、不快でしかなかったのに…この人の告白はこんなにも辛いの…??


「触らないで下さい…」

自分でもびっくりするくらい感情のない声が出た。

敦賀さんの手がピクリと反応した。

「もう、近寄らないで下さい。」

「最上さ…」

「私は、貴方なんて大っ嫌いです!!」

涙を貯めた目で思いっきり敦賀さんを睨みつけて、突き飛ばして駆け出した!!

ーーーこれは私の嘘!!本当は大好き!!壊れそうなくらい大好き!!エイプリルフールなんて大っ嫌い!
もう、誰も私に構わないで!


私は涙をいっぱい流しながら一度も振り返ることなく、その場を走り去った。

ーーーもう、二度と近付かないから!!


そう誓ったのに、目の前にどんより闇に引き込まれそうな彼をみて胸が苦しくなる。

ーーーどうしてそんな辛そうな顔してるんですか?

ーーー貴方になにがあったんですか??


気になるから動けない。
会いたくないのに、会いたい。
矛盾する気持ちでいっぱいで。

この姿のままなら、貴方に近付いても自分を裏切ることにはならないかな?

貴方に私だとばれないようにすれば…貴方の力になれる??


足は自然と彼へと向かっていた。
二週間ぶりに見る彼は少しやつれた気がした。
もしかして、ご飯食べてないのかしら?

「よう!久しぶり!また酷い顔してるな!今度は一体どうしたんだ??」

いつもは足音で気付くのに今日は一向に気付く気配がないので、いつもより明るく声かける。

「君…か…」

さみしそうな目…。声をかけたことを後悔した。今にもここから逃げ出したい。心臓が痛くて苦しい。

「どうしたんだよ。君らしくないぞ!」

「俺らしい…?」

そういった敦賀さんは自嘲気味に鼻で笑った。
そしてますます沈んで行く。

「お、おいおい、敦賀くん!大丈夫かい?!何か悩みがあるなら話くらい聞くよ!」

何だか自分のことなんてどうでも良くて、凄く心配になってしまった。ご飯だけじゃなくて、ろくに寝てないんじゃないかしら…。

「話…」

この世の終わりのような声で呟いて黙ってしまったので、話を拾う。

「誰かに話した方が楽になることもあるだろう?見えなかったことが見えてくるようになるかもしれないじゃないか!」

「……」

「何だよ?想い人に振られでもしたのかい??」

一番あり得なそうなことを鼻で笑いながら言ってみた。すぐに否定の言葉が返って来ると思ったのに、ズーーンと、更に闇に引きづりこまれているのに気づいた。

ーーーえ?!もしかして図星?!

「……君はエスパーか?」

ーーーええぇええ?!

「嘘だろー!!敦賀くんが振られるなんてことあるわけないじゃないか!!何かの間違いだろ?!」

「……間違いだったらどんなにいいか…」

「ちょっ!ちょっと待ってよ!!何で敦賀くんが振られるんだ?!もしかして…人妻?!」

「…君は前に俺の想い人が高校生だって聞いてるはずだよね?」

「あぁ…そういえば…」

「………」

「じゃあ尚更ありえないと思んだけど…敦賀くんに告白されたら普通の女の子なら、狂喜乱舞して喜びまくるはずじゃない?」

「あの子は、普通の子とは違うからね。」

ふっと淋しそうに笑う姿を見て胸が締め付けられる。


ーーーそっか…ちゃんと本命にも告白したんだ…。なのに…その本命が敦賀さんをこんなに落ち込ませるなんて、ムカムカしてくるわ。敦賀さんを振るなんて一体何様のつもりなのよ!!

「だよねー!敦賀くんを振るなんて馬鹿としか言いようがないよ。そんな間抜け女なんて忘れ…」

ブラックアンテナがMAXで立ち上がった!隣を見ると目だけで人が殺せそうだ!

ーーーひーー!BJ!!!

「いくら相手が君だろうと、彼女を侮辱するのは許さない!!」

声もさっきより低くなりドスを聞かせた声になってるー!

「た、た、た、たいへん、申し訳ございませんでした!!!!」

ペコペコと土下座を繰り返す。


「次に言ったら、その首とってやるからな!」

だまってコクコクと何度も頷いた。
その様子をみて、怒りの波動が消えるのがわかった。

「……で?どうやって振られたんだい?」

「…告白した後、突き飛ばされて走り去って、その後はどんなにメールしても電話しても返事がないんだ。」

「何か彼女にも事情があるんじゃないのかい?どのくらい連絡ないの?」

「告白したのが二週間前だから、二週間連絡ないよ…。」

「二週間前⁇そんなにないのか…。それからもしかして食事も喉を通ってないのか?」

「…え?」

「いや、だって大分痩せたように見えるからさ。」

「…そ、そうかな?誰にも見抜かれなかったのに…よくわかったね。」

「ま、近くにいる人は毎日会ってると変化もわかりにくいだろうからね。」

「あぁ…そうだろうね…」

そこで、ふとある言葉が頭の中で引っかかった。

「ん??…そういえば、二週間前って言った?」

「うん。そうだけど…」

「二週間前のいつ??」

「えっと…月の始めだったから1日かな?」

「それだよ!!!!」

私は思わず叫んでしまった!エイプリルフールに告白されて本気にする人いないじゃない!本命の子もきっと勘違いしちゃったんだわ!そうに違いない!!

「今月の1日って言ったら、敦賀くん何の日か知ってる??」

「……え?今月の1日…??4月1日…??!!!…ま、まさか…」

敦賀さんは思いっきり物凄い顔で固まってしまった。

「ほらな!可笑しいと思ったんだよー。敦賀くんが振られるなんて!彼女敦賀くんが騙してると思ったんじゃないの?」

「…俺は…なんて事を……!!」

「ほらほら、そんなこの世の終わりなんて顔してないでさ、良かったじゃないか!」

心のうちに感じる胸を締め付ける感じを隠して明るく蓮に呼びかける。

「…良くない…」

「どうして?」

「電話も、メールも返事ないんだよ?留守電にもなってないからメッセージも残せないし、メールも読む前に消去してるかも…。最近事務所にも顔出さなくなったみたいだし…」

「…え?敦賀くんの想い人ってもしかして同じ事務所の人なの?芸能人?!」

「…そうだよ…。大事な後輩。」


ーーーそうよね。大事な後輩の
一人や二人いるわよね。なのに、自分だけ特別みたいな気がしてたなんて…私、馬鹿みたい。幸せになってほしいけど、凄く悔しいかな。
相手は…私も知ってる人なのかな?

「相手は…どんな人なの?」

「…え?」

「敦賀くんをそこまで夢中にさせるのはどんな子なのかなぁって…」


ーーー敦賀さんにそこまで思われてるその子が羨ましいなんて…


「そうだね。…優しくて思いやりがあって、明るく元気で、馬鹿正直で真っ直ぐで、天真爛漫で、何に対しても一生懸命で、料理や裁縫も一流で、勉強熱心で頑張り屋で、泣き虫なくせに一人で強がって立ち上がって、一緒にいると気持ちが暖かくなるんだ。彼女の笑顔をみてるだけで心が和んで、彼女の涙を見る度に守りたいって思う。」

ーーー敦賀さん…とっても優しい顔してる。本当にその人のこと好きなんだなぁ~…。叶うはずなんて、なかったんだ…そんな完璧な相手…敦賀さんに相応しいのはその人の他にいないわ…。料理の腕なら負けない自信…あったのに、な…。

「そっか…本当に好きなんだね。その子のことが…」

「あぁ、ほっとけないんだ。いつも目が離せない。無防備で危機感がないからいつか変な男に襲われるんじゃないか、心配になる。誰にも触れられないところに閉じ込めたいところだよ。」

完璧過ぎる彼女のことを聞いて叶うはずがないと思ったキョーコは、諦めるしかないと思うしかなくて、蓮の言葉に少しだけ笑うことが出来た。

「おいおい、それは犯罪だろう…」

「くす。わかってるよ。そういう気持ちってこと。」

「そっか…でも、そんなに危なっかしい子なら、心配が耐えないだろう?今頃誰かに言い寄られてるんじゃないのか?」

「まぁ、ちょっとやそっとじゃなびかないと思けどね。彼女、ラブミー部員だし。」

そんなキョーコの耳にあり得ない響きが届いた。

「……は???」

ーーーえ?今、空耳かしら?ラブミー部員って聞こえたような?

「あぁ、ラブミー部員って言うのはね、うちの社長が作った新しいセクションでね。愛の欠落が入れられるセクションなんだ。」

ーーーはい。もちろん知ってますとも!!
じゃあ、敦賀さんの想い人ってもしかして…モー子さん?!

「そ、そんなのがあるんだ。へー愛の欠落か…大変だね。」

ーーーまぁ、確かに、モー子さんならお似合いよね。正に美男美女カップル…あれ?でも、モー子さんって天真爛漫??料理も…あんまり得意そうじゃなかったような…?

「うん。実は彼女とは事務所での出会いが最初ではないんだ。昔10年くらい前に数日間だけ一緒に過ごしたことがある。」

「そ、そうなんだ…彼女も、その時のこと覚えてるの?」

ーーー私、モー子さんから敦賀さんと昔の知り合いだなんて聞いてない…。知ってたら好きになんてならなかったのに…。

「うん。彼女も覚えてくれてたよ。」

そう言った敦賀さんは神々スマイルを浮かべていた。

「それはもう、運命じゃないか。」

「うん。俺もそう思いたいよ。でも、彼女は俺がその時の相手だとは気付いてないんだ。」

「え?!なんでだよ?何で話してやんないの?」

「お互いに変わってしまったからね。俺はまだ全てを話せる状態じゃないから、話せない。それに彼女は未だにあの時の俺が妖精だったって信じてるんだ。」

「…は??妖精??君が…??」

敦賀さんはクスクスと笑だした。

「そうだよ。初めて出会った時に、『貴方、妖精さん?』って聞かれてね。」

ーーーえ??それって…

「答えなかったら、彼女の中では妖精ってことになってて、そのまま別れたんだ。そしたら、再会した時に、俺があげた石をまだ大事に持っててくれてて、凄く嬉しかったな。石に俺の名前を付けてくれていつも持ち歩いてくれてたんだ。」

ーーーそれって、まさか…私のこと…?

「……コーン…?」

「え?!!」

思わず呟いた私の言葉に敦賀さんがびっくりして振り返った。

「…今なんて?!」

私は慌てて口をふさいだ。

「え?!…あ、や、あの…」

「あ!おったおった!京子ちゃん!!」

狼狽えてるところに、ブリッジロックのメンバーがやってきた!

「あ!!敦賀さんやん!こないだはどーも!ブリッジロックの石橋光です!」

敦賀さんは凄い顔で鶏の私を凝視していたが、すぐに笑顔の仮面を貼り付けて、対応した。

「やぁ、久しぶりだね。」

「京子ちゃん!まだ着ぐるみ着てたん?早く着替えてきたら??ご飯行こうよ。」

「あ、や、えっと…」

強引にこの場所から連れ出そうとする光さんの手を敦賀さんが遮った。

「ごめんね…。彼女とは俺が先約なんだ。ね?最上さん…??」

「う、わ、はははい!」

「じゃあ、そういうことで、失礼するよ石橋くん。さぁ行こうか?最上さん…??」

ーーーうう、笑顔の光線が突き刺さる!!

「は、はい!!で、では、光さん、失礼しますね!」


光さんへの挨拶もそこそこに敦賀さんから手を引かれて、楽屋へ連れ込まれた。
ソファに座らされ、目の前に跪いた敦賀さんからゆっくりと頭が外された。

鶏の顔が外された為に真っ赤な顔を隠すものはなくなった。
敦賀さんは私の顔を見ると、がくぅとその場に崩れ落ちた。

「あ、あの、つ、敦賀さ…」
よく見ると敦賀さんの首や耳が真っ赤だ。
パッと見上げられた時にやはりこれ以上ないくらい真っ赤な顔で私を見つめてきてすぐに視線をズラして、また顔を伏せた。

つられて私も真っ赤になる。

しばらく緊迫した無言状態が続いたあと、敦賀さんが一年分のため息を吐いてソファに突っ伏したまま呟いた。

「俺…かっこわるい…」

ぼそりと呟いたその一言が可愛くて、キュンとなった。

「つる…がさん…」

「それで…?」

「え??」

「俺の告白を全部聞いてたんだよね?俺の本気の気持ちは伝わったのかな?」

「は、はわわわわ!も、ももちろんでございます!!」

「それで??俺はもう君以外は考えられないし、君から離れるつもりもない。ずっと君は俺にとって特別な存在だったんだ。『最上キョーコ』も、『キョーコちゃん』も…。」

「ほ、本当にコーンなの?」

「うん。京都の河原で過ごしたあの数日間の思い出だけが、俺の生きる心の支えだった。再会してからの君の存在は俺を闇から救い出してくれたんだ。」

「私なんかで…いいんですか?」

「俺の中では、君なんかじゃない。君じゃなきゃ駄目なんだ。君以外はいらない。君以外は必要ない。君さえいれば、それでいいんだ。俺にとっての唯一の君なんだよ。」

神々スマイルで見つめられて嬉しくなった。

この人なら大丈夫。そう思えた。

「君が好きだよ?最上キョーコさん。」

ふわっと微笑みかけてくれるので、私も自然と笑顔になった。

「私も…敦賀さんが好きです。」

敦賀さんが一瞬驚いた顔をした。

「本当に??」

私はニコッと笑うと「本当です。」とだけ答えた。

敦賀さんは今までで一番嬉しそうにとろけそうな笑顔を向けてくれた。

しばらく見つめあっていると、敦賀さんが膝で立ち上がり、右手で頬を包まれた。

大きな手に顔を委ね、ゆっくりと目を閉じた。
敦賀さんの柔らかい唇が私に被さる。
幸せ過ぎるキスに私は何時の間にか涙を流していた。
涙の味がするキスを何度も何度も味わって、目を開けると敦賀さんも涙を流していた。

敦賀さんは微笑んで、私の涙を唇で受け止めた。

私もお返しで敦賀さんの涙を受け止めた。
そして、もう一度幸せなキスを交わす。

私と敦賀さんの大切なファーストキス。

「キョーコ。愛してる」

「私も…愛しています。」

見つめあったあと、敦賀さんが笑だした。

「くすくす。いつまでも着ぐるみ暑くない??」

「あ、そういえば…」

「早く着替えておいで。あ、手伝おうか?」

「いえ、結構です!!」

私は真っ赤になって答えると、部屋を出ようとした。

「キョーコちゃん」

甘い声に振り返ると、優しい笑顔が見つめていた。

「これからは、ずっと一緒にいようね。」

「はい。」

優しいキスがおでこに振ってきた。

いつまでも、貴方と一緒に…


END


*****


今日から二週間限定でフリーにしてみます♪
こんな文で荷物にならなければどうぞご自由にお持ち帰り下さいませ♪