脳内恋の季節はが占拠し出しました(笑)

とりあえず出来たとこまでUPしますね♪



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恋の季節は 14
《雲の切れ間から太陽が顔を出すでしょう。》


唖然としながら、出て行く女将を見送ったキョーコは、テキパキと散らかった服を集めている蓮を見つけて、慌てて起き上がった。

「つ、敦賀君!後は私がやるから!!」

「いや、最上さんは具合悪いんだろ?だったら…」

言いかけた蓮がキョーコを見て、ぼとりと集めていた服を落として固まった。

「え?あ、わ、私は大丈夫!!あの、行けなかったのは…その…。」

キョーコは言い淀んでモゴモゴと言うのだが、蓮は顔を真っ赤にして、キョーコに突然背を向けた。

「ご、ごめん!最上さん!!あ、あの、その前に、服を…着た方がいいと思うよ?」

蓮が言いにくそうに言うと、キョーコはようやく自分の今の姿に気付いた。

昨日そのまま布団に入ってしまったキョーコは、さも当然の如く下着姿で布団から起き上がっていたのだ。

「きゃーーーー!!」

キョーコは悲鳴を上げて、布団にもぐりこんだ。



「最上さん…本当にごめんね?お願いだから出て来て。」

それからしばらく布団の中に引きこもってしまったキョーコに、蓮は申し訳なさそうに、声をかけた。

一方その頃キョーコは、布団のなかで一人百面相をしていた。

ーーー敦賀君に見られた!!敦賀君に見られた!!恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!!どうしようー!!!!

人生が巻き戻しできるなら巻き戻したい!!
そう思ったキョーコだが、時間を戻せることが出来るはずはなく、真っ赤になって縮こまっていた。

しかし、そこにふと、松太郎の言葉が過る。

ーーお前みたいな奴の裸見たって誰も何も感じねぇっての!

ーー色気付いたって誰もお前なんてみねぇよ!

キュッと締まる胸が苦しい。
キョーコはまた泣きそうになってしまったのだが、そこに蓮から声が掛かったのだ。

蓮の気配が布団の端に感じて、キョーコの心臓が跳ね上がる。

ーーー今の姿見て、敦賀君はどう思ったんだろう?

キョーコは、複雑な気持ちでおずおずと布団から顔を出した。


布団の端に腰を下ろした蓮は、キョーコがいるであろう布団の膨らみを優しく叩いた。

おずおずと布団から顔を出したキョーコと目が合う。

泣いていたのか、目の周りは真っ赤に腫れて瞳は涙で潤んでいた。

「も…がみさん…。」

蓮の胸がドクドクと不自然に脈打つ。
目を逸らすと、キョーコの身体が横たわっている膨らみが目に入り、思わず布団を剥ぎ取りたい衝動に駆られてしまう。
無理矢理その思いを追いやると、蓮はキョーコの目をまた覗き込んだ。

「あの、ごめんね?怒ってる?」

キョーコがフルフルと首を振って否定すると、蓮がホッと息を吐いた。

中々晴れないキョーコの顔を見て、蓮はキョーコの頭を優しく撫でた。

大きな蓮の手に撫でられて、キョーコの心の霧が少しずつ晴れていき、暖かな気持ちになる。

「敦賀君…ごめんね?」

ようやくキョーコは口を開いた。

「ん?どうして最上さんが謝るの?」

優しく蓮がキョーコの顔を覗き込むと、キョーコは申し訳なさそうに、眉尻を下げた。

「いろいろ…今日お出掛けする約束だったのに…行けなくて…。」

「体調悪かったんだろ?しょうがないよ。」

なでなでと頭を撫でられて、キョーコは段々と素直になって行った。

「違うの。体調は悪くないの…。気付いたらこんな時間で…」

「そっか、疲れてたんだね?」

蓮はどこまでも優しい。キョーコはそんな蓮にポロリと涙が溢れた。

「最上さん?どうしたの?」

涙を流したキョーコに蓮が狼狽える。

「うっ…うぅ…敦賀君…。」

「うん?大丈夫だよ。」

「本当は…今日のこと、凄く楽しみにしてたの…。お弁当作って、可愛い服着てお出掛けしたかったんだけど、全然昨日服が決まらなくて…。」

「うん。」

蓮は柔らかい笑顔をキョーコに向ける。

「そしたら、服着てない時に、ショーちゃんが入って来て…。」

蓮の笑顔がピキリと固まった。

「ふぅん?それで…?」

少しだけ室温が下がった気がするのはキョーコの気のせいかもしれない。

「それで、服で身体を隠してたら言われたの…。お前みたいな幼児体型の裸を見たって、誰も何も感じない。めかし込んでも誰もお前なんて見ねぇ…って…」

キョーコの目には言いながらみるみるうちに涙が浮かんだ。
次々と頬を流れる涙に蓮は、そっと口付けると、キョーコを布団ごと抱き締めた。

蓮に頬に口付けられたキョーコは真っ赤な顔で固まってしまった。
涙もびっくりしたのか一瞬のうちに止まっていた。

「つ、るが…くん?」

蓮はキョーコの顔を見て、もう一度反対側の頬に口付けると、ギュッと更に強くキョーコを抱き締めて安堵の息を吐いた。

「良かったよ…。あいつが本当に見る目なくて…。」

パクパクと顔を真っ赤にして蓮を見つめるキョーコに、蓮はふんわりと微笑んだ。

「最上さんは、こんなに可愛いのにね?」

「???!!!!」

キョーコは蓮に言われた言葉が信じられず、赤面してピキリと固まってしまった。

「それで、あいつに言われたのがショックで、今日は来れなかったの?」

蓮の少し拗ねたような声に、キョーコはうっと言葉につまり、申し訳なさそうに蓮を見つめた。

「つ、敦賀君…」

「ねぇ、もうそんなひどい事言う奴なんて辞めたらいいのに…。」

蓮はキョーコを抱きしめる腕に更に力を込める。

キョーコは、蓮の言葉と行動にドキドキと胸を打ち鳴らす。

「そんな奴やめて…俺と付き合わない?」

蓮の言葉に、キョーコの時が止まりひゅっと息を呑む。

キョーコは、大きな目を丸々と見開いて、蓮を見つめた。

蓮も蓮でキョーコを抱き締めたまま、自分の言葉に固まった。

ーーーお、俺…!!一体何を?!?!

慌ててキョーコから身を離して今言った事の言い訳を考える。

「いや、ほら!あのさ、あいつを見返す為にもさ、俺と付き合えばあいつも勿体無いことした!って、最上さんの大切さに気付くかもしれないし…」

アタフタと思い浮かんだ事を必死に並べ立てる蓮を最初はぽかんと見つめていたキョーコだが、その蓮のあまりの動揺ぶりにクスクスと可笑しそうに笑い出した。

「ふふふ。敦賀君…そんなに必死になって考えてくれなくても…。」

キョーコの可愛らしい笑顔をみて、蓮はホッと息を吐く。

「最上さんは、笑ってる方がいいよ。」

優しい笑みに見つめられて、キョーコはトキントキンと胸を熱くする。

「本当に…付き合ってくれるの?」

キョーコが目を彷徨わせながらごにょごにょと顔を赤くして言うと、蓮はビックリした顔の後に、途端に嬉しそうに微笑んだ。

「うん。最上さんさえ良ければ…付き合おう。」

キョーコは顔を真っ赤にして布団に潜る。

「うん。」

布団の中から返事をしたキョーコは、布団の中で、幸せそうに頬を染めてえへへと、ハニカムのだった。


キョーコの返事を聞いた蓮も、キョーコと付き合える事になって浮かれていた。

でも、何でこんなに自分が浮かれてるのかわからない。

今までも多くの女性と付き合って来たが、こんな気持ちになることはなかった。

ーーー多分、頼られてることが嬉しいんだな。きっと…。

蓮は少々検討違いな答えを導き出しながらも、キョーコを優しい目でみつめるのだった。


(続く)


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お互いに自覚してないまま、カップル成立です!!(笑)
ここからどうなるかお楽しみください☆