お待たせしました!
蓮キョ☆メロキュン推進!「ラブコラボ研究所」がお送りする自由研究リレー!!
マックちゃん、月華さん、風月で作り上げた完全パラレルです♪
CROSSING 4の前編は昨日公開しております!
今までのお話を楽しみたい方は昨日のCROSSING 4*前編を開いてお楽しみ下さいませ♪
ではでは、後編お待たせしました!!どうぞお楽しみ下さいませ☆
*****
CROSSING 4*後編
~『憧れ…?それともーー』~
「もう!嫌だって言ってるじゃないですか!私は今から予定があるんです!!離してください!!」
「ちょっとくらい いいじゃん。良いとこ連れてってやるから付き合ってよ。」
カフェに向かう蓮の目に飛び込んで来たのは昨日の光景を思い起こさせるものだった。
昨日と違うのは絡んでる男達の人数が5人に増えてることと、発見した場所だった。
昨日のカフェに向かう途中にあるコンビニの前でキョーコは男たちに囲まれていたのだ。
「ちょっと大人しくしてようか?」
「大丈夫だよ?俺たちが順番に可愛がってあげるからさ…。」
虚勢を張ってはいても、大の男5人に囲まれ、腕を掴まれて、耳元に意味のわからない言葉を囁かれては、流石のキョーコも身の危険を感じて、恐怖で顔を引き攣らせてギュッと目を閉じた。
「いや!!離して!!」
“ゆきちゃん!ゆきちゃん助けて!!”
心の中で叫んだキョーコの側で、グエッという男の声が聞こえたかと思うと、キョーコの腕は今まで掴まれていた人物とは違う別の人物に捉えられていた。
グイッと引かれるまま、キョーコの身体は一瞬にして、倒れこむように、男の胸に寄りかかった。
「きゃっ!」
その胸板を感じた瞬間、キョーコの心臓が大きく跳ねた。
“この人って…もしかして…”
ドキドキと激しく鳴る胸を押さえて、そろりと自分を守ろうとする人物を伺った。
そこで見たのは男達を睨む奏江の兄である蓮の綺麗な顔で、キョーコは一気に頬を染めた。
蓮の大きな手が、キョーコを守るように頭に添えられた。
「俺の彼女に何か用?」
“か、彼女?!?!?!”
キョーコは、蓮の言葉に動揺しつつも、男達を諦めさせる為に言った言葉だという事は百も承知な為、動揺した言葉を込み込み、代わりに蓮の服をギュっと握り込んだ。
「ちっ。なんだよ。いいだろ?少
しくらいさ。」
「良くないね。大事な彼女を君たちになんて渡せない。それとも…俺を倒して彼女を奪ってみせる?」
すぅっと、蓮の纏う空気が変わる。
「ひっ!」
「お、お前ら!何かヤバそうだ!いくぞ!!」
男の短い悲鳴と共に、慌てて駆け出す気配がする。
気配がなくなったのを見計らって、蓮はポンポンとキョーコの頭を叩いた。
「最上さん、もう大丈夫だよ?」
「はっ!!あ、あり、ありがとうございました!」
慌てて離れたキョーコは蓮にベッコンと音がなりそうなくらい勢い良く頭を下げて、距離をとった。
顔が真っ赤になっているのがわかり、まともに目線を合わせる事が出来ない。
「昨日に続いて今日もなんて…最上さん可愛いんだから気を付けないと…。」
「へ?!か、かわっ?!」
キョーコは頭がボンっと爆発した。
蓮に可愛いと言われた事で一気に頭が沸騰する。
「最上さんさえよかったら、危ないから送っていくよ。これから家に帰るの?」
「え?!いえ、そんなっ!!悪いです!!」
「いいから。大事な妹の友達が途中で事件に巻き込まれたら大変だ。俺にお供させてよ。ね?」
そう言って、キョーコから鞄を取り上げた蓮に、キョーコはドキドキしながら申し訳なさそうに頷いた。
「…はい。ありがとうございます。よろしくお願いします。」
「で?どこに行くの?駅?」
「いえ、あの、ゆきちゃんのお家に…。」
そう聞いた瞬間、蓮の浮き足立ってた心が一気に冷えた。
「そう…社さんの家に行くんだ…。」
蓮の纏う空気が少し変わった事に、キョーコは戸惑いを見せた。
「え?あ…はい。あの…?」
「じゃあ、行こうか?俺も社さんの家なら知ってるから。」
あきらかに不機嫌な顔を見せる蓮に、キョーコはビクビクしながら声をかけた。
「は、はい…。あの、モー子さんのお兄さん…」
倖一と喧嘩でもしたのかと声をかけようとしたキョーコだが、それは次の蓮の言葉で吹き飛んでしまった。
「蓮…。」
「え?」
「俺の名前は敦賀蓮。お兄さんじゃなくて、蓮って呼んで。」
「ええぇ?!そ、そんなっ!!」
「何?社さんは呼べるのに、俺はダメなの?」
「いえ、あの、そうじゃないんですけど…。」
「じゃあいいよね?蓮って呼んで、キョーコちゃん。」
初めて蓮から名前を呼ばれてキョーコの心臓がまた大きく跳ねた。
「えあ…は、はい!あ、あの。じゃあ、あの…蓮、さん…でいいですか?」
「…うん。まぁ、合格…かな?」
真っ赤な顔で、おずおずと蓮を上目遣いに見つめてキョーコは遠慮気味に名前を呼んだ。
蓮は自分から言っておきながら、いざキョーコから呼ばれると顔に朱が走った。
赤くなった顔をごまかす様に顔を逸らす。
「蓮さん。ありがとうございます。」
名前を呼ぶだけでキョーコの心がポワンと暖かくなる。
蓮は蓮で、キョーコに名前を呼ばれて、また心が浮き足立つ自分の単純さに呆れながらも、キョーコとの会話に一時の幸せを感じながら倖一の家に向かって歩き出したのだった。
「あれ?キョーコ…と、蓮?!」
倖一の家のインターフォンを押すと、倖一が二人を驚いた表情で出迎えた。
「あ、あのね!ゆきちゃん!さっき男の人に絡まれてるところを蓮さんに助けてもらったのよ!」
「また絡まれてたのか…。」
やれやれというように、ため息を吐いた倖一がキョーコの頭をポンポンと叩きながら、蓮にチラリと視線を送った。
その視線の中にいつもの優しい倖一の色はなく、逆に棘があるのを蓮は感じた。
「悪いな。蓮、ありがとう。キョーコを助けてもらった上に、送ってくれて…。」
「…いえ、当然のことをしただけですから…。」
キョーコを自分の物のように言う倖一に、蓮の胸がチリチリと焦げる。
ぶっきらぼうに答える蓮と、いつもと違うピリピリとした空気を醸し出す倖一を見て、キョーコは 倖一と蓮が喧嘩でもしたのだろうかと、倖一を不思議そうに仰ぎ見た。
蓮はキョーコに向き直ると、倖一を見上げるキョーコを見つけて、淋しそうな表情を浮かべて言った。
「どうやら俺の役目はここまでのようだね。じゃあ、キョーコちゃん。一緒に帰れて楽しかったよ。また…。」
そう言って背を向けた蓮に、キョーコは意を決して呼び掛けた。
「あ、あの!蓮さん!!良かったらお食事…食べていかれませんか?!」
キョーコは蓮と倖一がもし喧嘩をしているのなら仲直りして欲しいと思って声を掛けた。
キョーコの言葉に目を丸くして立ち止まる蓮は、振り返って戸惑った表情を見せる。
「え…あ、でも…」
倖一はキョーコが声を掛けて蓮を呼び止めたことにやれやれと大きく息を吐きながら、蓮に向かって言った。
「キョーコの飯は美味いぞ!食べてく価値はあると思うけど?」
その言葉を受けて蓮は、倖一とキョーコを二人っきりにしたくないという思いから、倖一の言うまま倖一の家へと足を踏み入れるのだった。
ーートントントトトントン
キッチンからリズミカルな料理の音が響く。
リビングに残された男二人の間には重苦しい沈黙が流れていた。
滅多に上がったことがない倖一の家のキッチンで勝手知ったるというように動き回るキョーコをみて、蓮の胸はまたジリジリと焼かれるような感覚を覚えていた。
二人きりになんてさせたくなくて、こうなることがわかっていながら乗り込んだのは自分だ。
帰らなかったことを少しだけ後悔し始めていたそんな蓮に、倖一が徐に口を開いた。
「…キョーコはやらないからな…。」
キョーコがいるキッチンを見つめながら、倖一が真剣な顔でポツリと呟いた。
「んなっ?!な、何言って…」
蓮の顔に動揺が走る。
「あいつは誰にもやらない。」
「………。」
蓮は何も答えられずに、下を向いてテーブルの下に隠れた手をグッと握り締めた。
爪が掌に食い込むのがわかる。
倖一の言葉や口調からどれ程深くキョーコの事を想っているかを突き付けられた気がした。
苦しくて堪らない胸にやはり食べずに帰るべきだったと思っていたところで倖一が呟いた。
「まだ、あいつに男女交際は早い…。」
「………は?」
“今なんて…?男女交際が早い??”
てっきり倖一と付き合ってるものと思っていたのに、そんな言葉が倖一の口から出て来て、蓮は頭が混乱した。
倖一は倖一で、昨日のキョーコとの話の中で、無自覚の内にキョーコが蓮に惹かれ始めてることに気付いたばかりで、一緒に家にきた蓮を見てこれ以上キョーコの心を惑わさせないように釘を刺しておこうとしたのだ。
「え?や、社さん?キョーコちゃんとは…その…付き合ってるんですよね?」
蓮の言葉に、今度は倖一が「は?」と言って固まり、一瞬 間が空いた後に、驚愕の表情で叫んだ。
「はぁぁぁぁ?!な、ななな何てこと言うんだよ、蓮!!!」
「…違うんですか?」
「違うよ!!そんなわけないだろ?!第一、俺が好きなのは奏江ちゃんだって、お前が一番知ってるだろ?!散々妨害してるくせにさっ!」
「でも…じゃあ…彼女をやらないっていうのは?」
「それはお前が奏江ちゃんを誰にも渡したくないっていうのと一緒だよ。」
「…どういう…ことですか?」
「だから、大事な妹をそんな簡単にやれるわけないだろ?いくらお前でもさ…。」
「…妹?」
「そうだよ。俺とキョーコは血が繋がった兄妹なんだ。」
「で…も、苗字が…。」
「あぁ、俺たちの両親は離婚したんだよ。もう何年も前にな。」
「離婚…?」
「それで、俺とキョーコは引き離されたってわけ。俺が大学入って一人暮らしし出してからは、良くキョーコも家に遊びにくるようになったんだ。キョーコは母さんに引きとられたから、母方の苗字を名乗ってる。」
「そういう…ことだったんですか…。」
蓮はグッタリと身体から力が抜けて行くのがわかり、机に突っ伏した。
はぁぁぁー。と大きく息を吐いた蓮が顔を上げる。
「なんだ………良かった……。」
心底安堵して嬉しそうに破顔した蓮を、社は目を剥き驚愕の表情で見つめた。
「れ、蓮?お前…。」
「あ、そうだ!!彼女一人に任せっぱなしじゃ悪いですよね!何か手伝えることないかな?俺…行って来ますね!」
目をキラキラと輝かせた大きなワンコが尻尾を振り回すようにブンブンと動かす様が何故か蓮の背後に見えた。
あっという間にキッチンへと姿を消した蓮を見て、倖一は唖然とした。
「嘘だろ…あんな蓮…初めて見たぞ…。」
倖一は複雑な表情で呟く。
釘を刺してこれ以上下手に近付けさせないようにするつもりが、何故か蓮に希望を与えたような形になってしまった。
今までの蓮の恋愛と言えば、『来る者拒まず、去る者追わず』だ。
蓮自身はいい奴なのだが、モテるあまり女の子を影で泣かせてしまう奴だと知っているために、応援など簡単には出来ない。
今、キョーコに興味を持っているのだって、もしかしたらキョーコの天然記念物並みの純情乙女という今まで蓮の周りにいないタイプだという物珍しさからからの一時的な興味なのかもしれない。
「俺はキョーコを簡単にくれてやる気はないぞ…。蓮、覚悟しろよ?」
キッチンから漏れ聞こえる楽しげな二人の声に、倖一はさてどうするかな…と、思考を巡らすのだった。
「これ、運べばいいの?」
「蓮さん、お客様なんですから座ってていいんですよ?」
キッチンに顔を出した蓮は、先ほどまでの不機嫌さが掻き消えていて、キョーコはゆきちゃんと仲直りが出来たのかしら?とホッと安堵の息を吐いていた。
「いいからいいから。ね。次は何をしたらいい?」
「あ、じゃあ冷蔵庫からコンソメ出して頂けますか?」
「わかった。…えっと…。コンソメってこれ、かな?」
「はい。それです!ありがとうございます。」
「どういたしまして。今使うの?」
「…っ!あ、はい。」
冷蔵庫から取り出したコンソメを持ってキョーコのすぐ後ろから鍋の中を覗き込むように屈んだ蓮に、キョーコの心臓が激しく脈打ち出す。
それでもなんとか平静を装うが、蓮には真っ赤になったキョーコの耳がはっきりと見えていた。
「可愛いなぁ。」
思わずというようにポツリと漏れた蓮の呟きが聞こえ、キョーコは自分のこととは気付かず、「え?何がですか?」と、キョロキョロと辺りを見回した。
そんなキョーコに苦笑を漏らして、蓮はキョーコの頭をポンポンと叩く。
キョーコの頬にカァッと血が集まった。
ドキドキという心臓の音が蓮には聞こえるのではないかと心配になるほど大きく動き出す。
キョーコは蓮をなるべく意識しないように務めながら、鍋の中を必要位上に掻き回すのだった。
“この壊れそうな想いは、憧れ…?それともーー”
《マックちゃんへ続く》
☆メロキュンしたら拍手お願いします!
*****
いやぁー。久しぶりにお話書いて楽しかったです!
調子に乗って書き過ぎて長くなってしまったという…(笑)
前後編に分けてしまってすみません~!!(汗)
はらはらドキドキして頂けたら嬉しいです☆
実はこんな展開でした♪
倖一はキョーコのお兄ちゃんでしたとさっ☆
メロキュンメンバーの中にはここまでが風月の書いてた設定が芯になってたのでこの展開を予想してた方もいたかもですが、ここから先は完全に風月、マックちゃん、月華さん話し合いから生まれてますので、どうぞお楽しみ下さいませ(o^^o)
主な内容を話し合っていても、中身はそれぞれにお任せにしてるので毎回とっても楽しいです!あの話し合いがこんな展開に?!と風月もどうなっていくのかドキドキしてます♪
次のマックちゃんのお話もどうぞお楽しみに~(=´∀`)人(´∀`=)
それでは!風月はまたしばらく穴に潜ります!!(笑)
P.S.アメーバの新しくなったアプリで記事を書くのが相当手こずってかなりストレスになってます。
もしかしたらアメーバ使うの辞めるかも?
多分もう一回同じことあったら流石に辞めますね。
その時はお知らせ出来たらなるべくしますね。
お話UPするのにいいサイトあったら教えて下さ~い!
蓮キョ☆メロキュン推進!「ラブコラボ研究所」がお送りする自由研究リレー!!
マックちゃん、月華さん、風月で作り上げた完全パラレルです♪
CROSSING 4の前編は昨日公開しております!
今までのお話を楽しみたい方は昨日のCROSSING 4*前編を開いてお楽しみ下さいませ♪
ではでは、後編お待たせしました!!どうぞお楽しみ下さいませ☆
*****
CROSSING 4*後編
~『憧れ…?それともーー』~
「もう!嫌だって言ってるじゃないですか!私は今から予定があるんです!!離してください!!」
「ちょっとくらい いいじゃん。良いとこ連れてってやるから付き合ってよ。」
カフェに向かう蓮の目に飛び込んで来たのは昨日の光景を思い起こさせるものだった。
昨日と違うのは絡んでる男達の人数が5人に増えてることと、発見した場所だった。
昨日のカフェに向かう途中にあるコンビニの前でキョーコは男たちに囲まれていたのだ。
「ちょっと大人しくしてようか?」
「大丈夫だよ?俺たちが順番に可愛がってあげるからさ…。」
虚勢を張ってはいても、大の男5人に囲まれ、腕を掴まれて、耳元に意味のわからない言葉を囁かれては、流石のキョーコも身の危険を感じて、恐怖で顔を引き攣らせてギュッと目を閉じた。
「いや!!離して!!」
“ゆきちゃん!ゆきちゃん助けて!!”
心の中で叫んだキョーコの側で、グエッという男の声が聞こえたかと思うと、キョーコの腕は今まで掴まれていた人物とは違う別の人物に捉えられていた。
グイッと引かれるまま、キョーコの身体は一瞬にして、倒れこむように、男の胸に寄りかかった。
「きゃっ!」
その胸板を感じた瞬間、キョーコの心臓が大きく跳ねた。
“この人って…もしかして…”
ドキドキと激しく鳴る胸を押さえて、そろりと自分を守ろうとする人物を伺った。
そこで見たのは男達を睨む奏江の兄である蓮の綺麗な顔で、キョーコは一気に頬を染めた。
蓮の大きな手が、キョーコを守るように頭に添えられた。
「俺の彼女に何か用?」
“か、彼女?!?!?!”
キョーコは、蓮の言葉に動揺しつつも、男達を諦めさせる為に言った言葉だという事は百も承知な為、動揺した言葉を込み込み、代わりに蓮の服をギュっと握り込んだ。
「ちっ。なんだよ。いいだろ?少
しくらいさ。」
「良くないね。大事な彼女を君たちになんて渡せない。それとも…俺を倒して彼女を奪ってみせる?」
すぅっと、蓮の纏う空気が変わる。
「ひっ!」
「お、お前ら!何かヤバそうだ!いくぞ!!」
男の短い悲鳴と共に、慌てて駆け出す気配がする。
気配がなくなったのを見計らって、蓮はポンポンとキョーコの頭を叩いた。
「最上さん、もう大丈夫だよ?」
「はっ!!あ、あり、ありがとうございました!」
慌てて離れたキョーコは蓮にベッコンと音がなりそうなくらい勢い良く頭を下げて、距離をとった。
顔が真っ赤になっているのがわかり、まともに目線を合わせる事が出来ない。
「昨日に続いて今日もなんて…最上さん可愛いんだから気を付けないと…。」
「へ?!か、かわっ?!」
キョーコは頭がボンっと爆発した。
蓮に可愛いと言われた事で一気に頭が沸騰する。
「最上さんさえよかったら、危ないから送っていくよ。これから家に帰るの?」
「え?!いえ、そんなっ!!悪いです!!」
「いいから。大事な妹の友達が途中で事件に巻き込まれたら大変だ。俺にお供させてよ。ね?」
そう言って、キョーコから鞄を取り上げた蓮に、キョーコはドキドキしながら申し訳なさそうに頷いた。
「…はい。ありがとうございます。よろしくお願いします。」
「で?どこに行くの?駅?」
「いえ、あの、ゆきちゃんのお家に…。」
そう聞いた瞬間、蓮の浮き足立ってた心が一気に冷えた。
「そう…社さんの家に行くんだ…。」
蓮の纏う空気が少し変わった事に、キョーコは戸惑いを見せた。
「え?あ…はい。あの…?」
「じゃあ、行こうか?俺も社さんの家なら知ってるから。」
あきらかに不機嫌な顔を見せる蓮に、キョーコはビクビクしながら声をかけた。
「は、はい…。あの、モー子さんのお兄さん…」
倖一と喧嘩でもしたのかと声をかけようとしたキョーコだが、それは次の蓮の言葉で吹き飛んでしまった。
「蓮…。」
「え?」
「俺の名前は敦賀蓮。お兄さんじゃなくて、蓮って呼んで。」
「ええぇ?!そ、そんなっ!!」
「何?社さんは呼べるのに、俺はダメなの?」
「いえ、あの、そうじゃないんですけど…。」
「じゃあいいよね?蓮って呼んで、キョーコちゃん。」
初めて蓮から名前を呼ばれてキョーコの心臓がまた大きく跳ねた。
「えあ…は、はい!あ、あの。じゃあ、あの…蓮、さん…でいいですか?」
「…うん。まぁ、合格…かな?」
真っ赤な顔で、おずおずと蓮を上目遣いに見つめてキョーコは遠慮気味に名前を呼んだ。
蓮は自分から言っておきながら、いざキョーコから呼ばれると顔に朱が走った。
赤くなった顔をごまかす様に顔を逸らす。
「蓮さん。ありがとうございます。」
名前を呼ぶだけでキョーコの心がポワンと暖かくなる。
蓮は蓮で、キョーコに名前を呼ばれて、また心が浮き足立つ自分の単純さに呆れながらも、キョーコとの会話に一時の幸せを感じながら倖一の家に向かって歩き出したのだった。
「あれ?キョーコ…と、蓮?!」
倖一の家のインターフォンを押すと、倖一が二人を驚いた表情で出迎えた。
「あ、あのね!ゆきちゃん!さっき男の人に絡まれてるところを蓮さんに助けてもらったのよ!」
「また絡まれてたのか…。」
やれやれというように、ため息を吐いた倖一がキョーコの頭をポンポンと叩きながら、蓮にチラリと視線を送った。
その視線の中にいつもの優しい倖一の色はなく、逆に棘があるのを蓮は感じた。
「悪いな。蓮、ありがとう。キョーコを助けてもらった上に、送ってくれて…。」
「…いえ、当然のことをしただけですから…。」
キョーコを自分の物のように言う倖一に、蓮の胸がチリチリと焦げる。
ぶっきらぼうに答える蓮と、いつもと違うピリピリとした空気を醸し出す倖一を見て、キョーコは 倖一と蓮が喧嘩でもしたのだろうかと、倖一を不思議そうに仰ぎ見た。
蓮はキョーコに向き直ると、倖一を見上げるキョーコを見つけて、淋しそうな表情を浮かべて言った。
「どうやら俺の役目はここまでのようだね。じゃあ、キョーコちゃん。一緒に帰れて楽しかったよ。また…。」
そう言って背を向けた蓮に、キョーコは意を決して呼び掛けた。
「あ、あの!蓮さん!!良かったらお食事…食べていかれませんか?!」
キョーコは蓮と倖一がもし喧嘩をしているのなら仲直りして欲しいと思って声を掛けた。
キョーコの言葉に目を丸くして立ち止まる蓮は、振り返って戸惑った表情を見せる。
「え…あ、でも…」
倖一はキョーコが声を掛けて蓮を呼び止めたことにやれやれと大きく息を吐きながら、蓮に向かって言った。
「キョーコの飯は美味いぞ!食べてく価値はあると思うけど?」
その言葉を受けて蓮は、倖一とキョーコを二人っきりにしたくないという思いから、倖一の言うまま倖一の家へと足を踏み入れるのだった。
ーートントントトトントン
キッチンからリズミカルな料理の音が響く。
リビングに残された男二人の間には重苦しい沈黙が流れていた。
滅多に上がったことがない倖一の家のキッチンで勝手知ったるというように動き回るキョーコをみて、蓮の胸はまたジリジリと焼かれるような感覚を覚えていた。
二人きりになんてさせたくなくて、こうなることがわかっていながら乗り込んだのは自分だ。
帰らなかったことを少しだけ後悔し始めていたそんな蓮に、倖一が徐に口を開いた。
「…キョーコはやらないからな…。」
キョーコがいるキッチンを見つめながら、倖一が真剣な顔でポツリと呟いた。
「んなっ?!な、何言って…」
蓮の顔に動揺が走る。
「あいつは誰にもやらない。」
「………。」
蓮は何も答えられずに、下を向いてテーブルの下に隠れた手をグッと握り締めた。
爪が掌に食い込むのがわかる。
倖一の言葉や口調からどれ程深くキョーコの事を想っているかを突き付けられた気がした。
苦しくて堪らない胸にやはり食べずに帰るべきだったと思っていたところで倖一が呟いた。
「まだ、あいつに男女交際は早い…。」
「………は?」
“今なんて…?男女交際が早い??”
てっきり倖一と付き合ってるものと思っていたのに、そんな言葉が倖一の口から出て来て、蓮は頭が混乱した。
倖一は倖一で、昨日のキョーコとの話の中で、無自覚の内にキョーコが蓮に惹かれ始めてることに気付いたばかりで、一緒に家にきた蓮を見てこれ以上キョーコの心を惑わさせないように釘を刺しておこうとしたのだ。
「え?や、社さん?キョーコちゃんとは…その…付き合ってるんですよね?」
蓮の言葉に、今度は倖一が「は?」と言って固まり、一瞬 間が空いた後に、驚愕の表情で叫んだ。
「はぁぁぁぁ?!な、ななな何てこと言うんだよ、蓮!!!」
「…違うんですか?」
「違うよ!!そんなわけないだろ?!第一、俺が好きなのは奏江ちゃんだって、お前が一番知ってるだろ?!散々妨害してるくせにさっ!」
「でも…じゃあ…彼女をやらないっていうのは?」
「それはお前が奏江ちゃんを誰にも渡したくないっていうのと一緒だよ。」
「…どういう…ことですか?」
「だから、大事な妹をそんな簡単にやれるわけないだろ?いくらお前でもさ…。」
「…妹?」
「そうだよ。俺とキョーコは血が繋がった兄妹なんだ。」
「で…も、苗字が…。」
「あぁ、俺たちの両親は離婚したんだよ。もう何年も前にな。」
「離婚…?」
「それで、俺とキョーコは引き離されたってわけ。俺が大学入って一人暮らしし出してからは、良くキョーコも家に遊びにくるようになったんだ。キョーコは母さんに引きとられたから、母方の苗字を名乗ってる。」
「そういう…ことだったんですか…。」
蓮はグッタリと身体から力が抜けて行くのがわかり、机に突っ伏した。
はぁぁぁー。と大きく息を吐いた蓮が顔を上げる。
「なんだ………良かった……。」
心底安堵して嬉しそうに破顔した蓮を、社は目を剥き驚愕の表情で見つめた。
「れ、蓮?お前…。」
「あ、そうだ!!彼女一人に任せっぱなしじゃ悪いですよね!何か手伝えることないかな?俺…行って来ますね!」
目をキラキラと輝かせた大きなワンコが尻尾を振り回すようにブンブンと動かす様が何故か蓮の背後に見えた。
あっという間にキッチンへと姿を消した蓮を見て、倖一は唖然とした。
「嘘だろ…あんな蓮…初めて見たぞ…。」
倖一は複雑な表情で呟く。
釘を刺してこれ以上下手に近付けさせないようにするつもりが、何故か蓮に希望を与えたような形になってしまった。
今までの蓮の恋愛と言えば、『来る者拒まず、去る者追わず』だ。
蓮自身はいい奴なのだが、モテるあまり女の子を影で泣かせてしまう奴だと知っているために、応援など簡単には出来ない。
今、キョーコに興味を持っているのだって、もしかしたらキョーコの天然記念物並みの純情乙女という今まで蓮の周りにいないタイプだという物珍しさからからの一時的な興味なのかもしれない。
「俺はキョーコを簡単にくれてやる気はないぞ…。蓮、覚悟しろよ?」
キッチンから漏れ聞こえる楽しげな二人の声に、倖一はさてどうするかな…と、思考を巡らすのだった。
「これ、運べばいいの?」
「蓮さん、お客様なんですから座ってていいんですよ?」
キッチンに顔を出した蓮は、先ほどまでの不機嫌さが掻き消えていて、キョーコはゆきちゃんと仲直りが出来たのかしら?とホッと安堵の息を吐いていた。
「いいからいいから。ね。次は何をしたらいい?」
「あ、じゃあ冷蔵庫からコンソメ出して頂けますか?」
「わかった。…えっと…。コンソメってこれ、かな?」
「はい。それです!ありがとうございます。」
「どういたしまして。今使うの?」
「…っ!あ、はい。」
冷蔵庫から取り出したコンソメを持ってキョーコのすぐ後ろから鍋の中を覗き込むように屈んだ蓮に、キョーコの心臓が激しく脈打ち出す。
それでもなんとか平静を装うが、蓮には真っ赤になったキョーコの耳がはっきりと見えていた。
「可愛いなぁ。」
思わずというようにポツリと漏れた蓮の呟きが聞こえ、キョーコは自分のこととは気付かず、「え?何がですか?」と、キョロキョロと辺りを見回した。
そんなキョーコに苦笑を漏らして、蓮はキョーコの頭をポンポンと叩く。
キョーコの頬にカァッと血が集まった。
ドキドキという心臓の音が蓮には聞こえるのではないかと心配になるほど大きく動き出す。
キョーコは蓮をなるべく意識しないように務めながら、鍋の中を必要位上に掻き回すのだった。
“この壊れそうな想いは、憧れ…?それともーー”
《マックちゃんへ続く》
☆メロキュンしたら拍手お願いします!
*****
いやぁー。久しぶりにお話書いて楽しかったです!
調子に乗って書き過ぎて長くなってしまったという…(笑)
前後編に分けてしまってすみません~!!(汗)
はらはらドキドキして頂けたら嬉しいです☆
実はこんな展開でした♪
倖一はキョーコのお兄ちゃんでしたとさっ☆
メロキュンメンバーの中にはここまでが風月の書いてた設定が芯になってたのでこの展開を予想してた方もいたかもですが、ここから先は完全に風月、マックちゃん、月華さん話し合いから生まれてますので、どうぞお楽しみ下さいませ(o^^o)
主な内容を話し合っていても、中身はそれぞれにお任せにしてるので毎回とっても楽しいです!あの話し合いがこんな展開に?!と風月もどうなっていくのかドキドキしてます♪
次のマックちゃんのお話もどうぞお楽しみに~(=´∀`)人(´∀`=)
それでは!風月はまたしばらく穴に潜ります!!(笑)
P.S.アメーバの新しくなったアプリで記事を書くのが相当手こずってかなりストレスになってます。
もしかしたらアメーバ使うの辞めるかも?
多分もう一回同じことあったら流石に辞めますね。
その時はお知らせ出来たらなるべくしますね。
お話UPするのにいいサイトあったら教えて下さ~い!