蓮キョ☆メロキュン推進!『ラブコラボ研究所』
テーマお題第五弾っ!!夏といえば…
もう、夏も終わり??ってくらい涼しくなってきましたが…(これって台風のせい?)お楽しみ下さい♪
*****
海・水・浴 2
カットの声のあとにロールチェンジと声が掛かると、慌ただしくスタッフが日傘を広げたり、団扇や氷を準備して出演人を寛げさせる。
団扇で仰がれながら、蓮も珍しくダラダラと流れる汗を拭い氷を受け取った。
他の出演人も同じような物で、蓮の隣に用意された椅子にほのかが腰掛けて。水を一気に飲み干した。
今までやっていたのはビーチバレー対決だ。
ブリッジロックチーム対ドラマチームでの対決で、ブリッジロックチームでは光と坊。ドラマチームでは蓮とほのかがそれぞれコンビを組んでやっていた。
朝7時半から始まった撮影は盛り上がりを見せて正午を過ぎた現在も続いていた。
「だ、大丈夫?坊…。」
アロハシャツだけでもかなり暑くて汗をかいている光は、先ほどのゲームで着ぐるみの癖に尋常じゃない動きを見せていたキョーコが心配になって声をかけた。
ーーーまぁそのお陰で、身長的に有利な敦賀さん達のチーム相手に引き分けになって延長戦に持ち込めたわけだけど…。
光はこっそりとため息を吐いた。
ーーーキョーコちゃんの為には早々に負けて早く終わらせた方がいいんじゃないのかな?
実際着ぐるみの中のキョーコは魂が抜けそうな程疲れきった顔をしていたのだが、着ぐるみを来ている為、その顔は光には見えない。
『平気平気。まだまだいけるさ。』
と掲げられたボードを見て、光は困った顔で微笑んであげることしか出来なかった。
「んー。ちょっと休憩挟むか!おーい!今から昼休憩!!出演者には1時間後に再開するって伝えて。」
この現場の監督が周りのスタッフに支持を出すと各々休憩をとっていた出演者達に声をかけて行った。
「あれ?君もお昼食べないの?」
「あ…うん…まぁ後でこっそり食べ…」
光が他のメンバーと飲み物を買いに出掛けたところで、パラソルの下、グッタリとした坊に気付いた蓮が声をかける。
蓮からの質問に答えかけた坊だったが、その言葉の中に聞き捨てならないセリフを聞いた気がして坊の目がギラリと光った。
「……『も』?!」
そんな坊の変化に少しだけタジタジになりつつ、蓮は坊の隣に腰を下ろした。
「あ…いや…。流石に暑過ぎて食欲出なくてさ…。」
「いやいやいや、今日はかなり体力使ってるはずだろう?!食事は大事だよ!敦賀くん!!」
「…君だって、食べてないくせに…」
「僕は後から食べるからいいんだよ!!敦賀くんは今食べないと食いっぱぐれるよ!」
そんな会話を交わしていた二人の間に割り込むように甘えた声が響いた。
「あ!敦賀く~ん!こんなところにいた!!あっちで一緒にご飯食べよう!!」
グイッと蓮の腕を胸に抱え込み引き上げようとするみちかを見て、キョーコはそっと目を逸らした。
あからさまなアプローチにも蓮は嫌な顔一つせずにこやかにさらりと躱している。
ーーー触らないで。
不意に自身の中に生まれた感情が信じられずにキョーコはハッとしてパチパチと瞬きを繰り返した。
「ちょうど良かったじゃないか。行ってきなよ。」
キョーコはようやく出せた声で心とは裏腹の言葉をかける。心の中では『行かないで!』と悲鳴を上げていた。
そんなキョーコの心の内には気付かずに蓮は苦笑して立ち上がった。
「全く、君は俺にどうしても何か食べさせたいみたいだな。」
やれやれとわざとらしく言ってくる蓮に、キョーコはむっとした。
「食欲中枢が麻痺してる君がおかしいんだよ!」
「麻痺はしてないさ。まぁ、普通の人よりは胃が小さいかもしれないけど…食べることへの欲が少ないだけだよ。」
「ふーん?それで毎回、何とかインゼリーで済ませちゃうのかい?言い訳にもならないね。」
坊のふて腐れて言った言葉に、蓮は不思議そうに首をかしげた。その蓮の腕には未だにみちかがしがみ付いていた。
「君…っ!何でそれを…?」
自分が何とかインゼリーに頼っていることなんて一部の人間しか知り得ないことだ。
目の前のこの鶏は何者なのか?蓮は少し顔を顰めて坊をみる。
「な…なんとなくそう思っただけだよっ!!びっくりするくらい食がなさそうだから…」
「君は…いや…。なんでもない。」
キョーコはオロオロと慌たが、蓮が「早く」と急かすみちかを見て、追求を諦めたのでホッとした。
「じゃあ行ってくるよ。」
坊の側から離れることになんとなく寂しさを覚えながら蓮はみちかと歩き出したのだった。
その背中を見て、キョーコは軽くため息を吐く。
蓮の隣にみちかが相応しいかと言われれば全くそうは思わない。
ドラマの撮影でもリテイクのオンパレードだという話を聞いたことがあったからだ。
しかし、あの豊満なバストは羨ましい。
自分にもあのくらいあれば少しは自分に自信が持てたのではないかと思う。アレに比べたら自分の胸などないに等しいのだから…。
蓮が近づくとそれに気づいたほのかが蓮に向かって手を振る姿を見て、「ああいう人こそ敦賀さんの隣に相応しいわ…。」とキョーコは考えて胸が苦しくなってしまうのだった。
肩を落としたキョーコがどこか人目のないところで食べようと自分の鞄に手をかけたとき、その隣にある紙袋の存在を思い出した。
蓮がゲストとして来ることを知ってからなんとなく準備してしまったお弁当。
ーーー渡せるはず…ないのにね…。
そっと寂しそうにその紙袋を見て、ため息をこぼす。
正体を隠したままで、渡せるはずがなかった。
しかし、ふと、今蓮がどんなものを食べてるのか気になってしまったキョーコはその紙袋を一応手に持って蓮たちのいる海の家に向かった。
ーーー私なんかじゃ無理だってわかってるけど、後輩としてこんなお節介ぐらいなら許してもらえるわよね?
ぷきゅぷきゅっという音を響かせながら向かうと、楽しそうに会話を交わす人の中に蓮の姿を見つける。
微笑む彼の姿にキュンとときめく胸を抑えて一呼吸置く。
近付くと、案の定、蓮の目の前には食べ物のお皿がなかった。
「敦賀くんの嘘つき。結局食べてないじゃないか…。」
そうふて腐れた声を出すと、蓮はようやく坊に気付き苦笑を零す。
「いや、少しは食べたよ?」
「何を?」
「もずくを…。」
「…だけ?!」
「そ、そうだね?」
ずずいと迫った坊の剣幕に、タジタジになりながら答える蓮。
それを見て、やれやれと言いながら、キョーコは蓮の目の前に紙袋をボンと置いた。
「これ…君にやるよ。」
「え?これは…?」
蓮は戸惑ったように紙袋を見つめた。
渡し方を考えてなかったキョーコは若干苦しい言い訳だとわかりながらも、慌てて言葉を出した。
「…し、知り合いが、僕の弁当を作るついでにもう一つ作ってくれたんだ。」
「…は?またどうして…。」
当然、蓮から返ってきたのは疑問符。
「いや、いいじゃないか!細かいことはっ!!彼女、君のファンだから是非渡してくれって作ってくれたんだよ!!」
「…君の、彼女が?」
「そ、そうだよ!!だから、大切に食べてくれよなっ!!じゃっ!!」
そう言って、キョーコはそそくさとその場を離れて行った。
その後ろ姿を訝しげに見送りながら、蓮は弁当を広げた。
その彩を見て、蓮は目を見開くと慌てて坊の後ろ姿をもう一度見つめた。
まさかそんなはずはないと、蓮は自分の考えに首を振って否定してから、箸を手に取って一口オカズを口に運んだ。
口に運んだものを味を確かめるように噛み締めると、蓮の目が見開かれ、ポロリと手元から箸が転がる。
「ん?蓮…どうしたんだ?」
「………」
「蓮?」
様子のおかしい蓮に気づいた社が声をかけても、蓮はショックを受けたように顔面を蒼白にしていた。
「どうした?!まさか変な物でも入ってたんじゃ?!貸せっ!!」
蓮から弁当を奪い取ると、社が確かめるように匂いを嗅いだり、色んな角度から見つめるが、おかしなところは何もない。
試しに少しだけ囓ってみた社が、驚愕に目を見開いた。
「うまっ!!なんだ?!この絶品料理は!!!!まるでキョーコちゃんの…」
そこまで言って、社は固まった。
真っ青な顔の蓮と目が合う。
見つめあった瞬間、社は蓮が固まった理由を全て悟った。
そして、社が青ざめるのとほぼ同時に、蓮の顔に怒りの表情が湧き上がった。
ーーーや、やや闇の国の蓮さんだぁぁぁぁぁ!!!!
突如現れたダークな蓮に、社が恐怖のあまり涙を流したのは最早仕方がなかったのかもしれない。
《続く》
テーマお題第五弾っ!!夏といえば…
もう、夏も終わり??ってくらい涼しくなってきましたが…(これって台風のせい?)お楽しみ下さい♪
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海・水・浴 2
カットの声のあとにロールチェンジと声が掛かると、慌ただしくスタッフが日傘を広げたり、団扇や氷を準備して出演人を寛げさせる。
団扇で仰がれながら、蓮も珍しくダラダラと流れる汗を拭い氷を受け取った。
他の出演人も同じような物で、蓮の隣に用意された椅子にほのかが腰掛けて。水を一気に飲み干した。
今までやっていたのはビーチバレー対決だ。
ブリッジロックチーム対ドラマチームでの対決で、ブリッジロックチームでは光と坊。ドラマチームでは蓮とほのかがそれぞれコンビを組んでやっていた。
朝7時半から始まった撮影は盛り上がりを見せて正午を過ぎた現在も続いていた。
「だ、大丈夫?坊…。」
アロハシャツだけでもかなり暑くて汗をかいている光は、先ほどのゲームで着ぐるみの癖に尋常じゃない動きを見せていたキョーコが心配になって声をかけた。
ーーーまぁそのお陰で、身長的に有利な敦賀さん達のチーム相手に引き分けになって延長戦に持ち込めたわけだけど…。
光はこっそりとため息を吐いた。
ーーーキョーコちゃんの為には早々に負けて早く終わらせた方がいいんじゃないのかな?
実際着ぐるみの中のキョーコは魂が抜けそうな程疲れきった顔をしていたのだが、着ぐるみを来ている為、その顔は光には見えない。
『平気平気。まだまだいけるさ。』
と掲げられたボードを見て、光は困った顔で微笑んであげることしか出来なかった。
「んー。ちょっと休憩挟むか!おーい!今から昼休憩!!出演者には1時間後に再開するって伝えて。」
この現場の監督が周りのスタッフに支持を出すと各々休憩をとっていた出演者達に声をかけて行った。
「あれ?君もお昼食べないの?」
「あ…うん…まぁ後でこっそり食べ…」
光が他のメンバーと飲み物を買いに出掛けたところで、パラソルの下、グッタリとした坊に気付いた蓮が声をかける。
蓮からの質問に答えかけた坊だったが、その言葉の中に聞き捨てならないセリフを聞いた気がして坊の目がギラリと光った。
「……『も』?!」
そんな坊の変化に少しだけタジタジになりつつ、蓮は坊の隣に腰を下ろした。
「あ…いや…。流石に暑過ぎて食欲出なくてさ…。」
「いやいやいや、今日はかなり体力使ってるはずだろう?!食事は大事だよ!敦賀くん!!」
「…君だって、食べてないくせに…」
「僕は後から食べるからいいんだよ!!敦賀くんは今食べないと食いっぱぐれるよ!」
そんな会話を交わしていた二人の間に割り込むように甘えた声が響いた。
「あ!敦賀く~ん!こんなところにいた!!あっちで一緒にご飯食べよう!!」
グイッと蓮の腕を胸に抱え込み引き上げようとするみちかを見て、キョーコはそっと目を逸らした。
あからさまなアプローチにも蓮は嫌な顔一つせずにこやかにさらりと躱している。
ーーー触らないで。
不意に自身の中に生まれた感情が信じられずにキョーコはハッとしてパチパチと瞬きを繰り返した。
「ちょうど良かったじゃないか。行ってきなよ。」
キョーコはようやく出せた声で心とは裏腹の言葉をかける。心の中では『行かないで!』と悲鳴を上げていた。
そんなキョーコの心の内には気付かずに蓮は苦笑して立ち上がった。
「全く、君は俺にどうしても何か食べさせたいみたいだな。」
やれやれとわざとらしく言ってくる蓮に、キョーコはむっとした。
「食欲中枢が麻痺してる君がおかしいんだよ!」
「麻痺はしてないさ。まぁ、普通の人よりは胃が小さいかもしれないけど…食べることへの欲が少ないだけだよ。」
「ふーん?それで毎回、何とかインゼリーで済ませちゃうのかい?言い訳にもならないね。」
坊のふて腐れて言った言葉に、蓮は不思議そうに首をかしげた。その蓮の腕には未だにみちかがしがみ付いていた。
「君…っ!何でそれを…?」
自分が何とかインゼリーに頼っていることなんて一部の人間しか知り得ないことだ。
目の前のこの鶏は何者なのか?蓮は少し顔を顰めて坊をみる。
「な…なんとなくそう思っただけだよっ!!びっくりするくらい食がなさそうだから…」
「君は…いや…。なんでもない。」
キョーコはオロオロと慌たが、蓮が「早く」と急かすみちかを見て、追求を諦めたのでホッとした。
「じゃあ行ってくるよ。」
坊の側から離れることになんとなく寂しさを覚えながら蓮はみちかと歩き出したのだった。
その背中を見て、キョーコは軽くため息を吐く。
蓮の隣にみちかが相応しいかと言われれば全くそうは思わない。
ドラマの撮影でもリテイクのオンパレードだという話を聞いたことがあったからだ。
しかし、あの豊満なバストは羨ましい。
自分にもあのくらいあれば少しは自分に自信が持てたのではないかと思う。アレに比べたら自分の胸などないに等しいのだから…。
蓮が近づくとそれに気づいたほのかが蓮に向かって手を振る姿を見て、「ああいう人こそ敦賀さんの隣に相応しいわ…。」とキョーコは考えて胸が苦しくなってしまうのだった。
肩を落としたキョーコがどこか人目のないところで食べようと自分の鞄に手をかけたとき、その隣にある紙袋の存在を思い出した。
蓮がゲストとして来ることを知ってからなんとなく準備してしまったお弁当。
ーーー渡せるはず…ないのにね…。
そっと寂しそうにその紙袋を見て、ため息をこぼす。
正体を隠したままで、渡せるはずがなかった。
しかし、ふと、今蓮がどんなものを食べてるのか気になってしまったキョーコはその紙袋を一応手に持って蓮たちのいる海の家に向かった。
ーーー私なんかじゃ無理だってわかってるけど、後輩としてこんなお節介ぐらいなら許してもらえるわよね?
ぷきゅぷきゅっという音を響かせながら向かうと、楽しそうに会話を交わす人の中に蓮の姿を見つける。
微笑む彼の姿にキュンとときめく胸を抑えて一呼吸置く。
近付くと、案の定、蓮の目の前には食べ物のお皿がなかった。
「敦賀くんの嘘つき。結局食べてないじゃないか…。」
そうふて腐れた声を出すと、蓮はようやく坊に気付き苦笑を零す。
「いや、少しは食べたよ?」
「何を?」
「もずくを…。」
「…だけ?!」
「そ、そうだね?」
ずずいと迫った坊の剣幕に、タジタジになりながら答える蓮。
それを見て、やれやれと言いながら、キョーコは蓮の目の前に紙袋をボンと置いた。
「これ…君にやるよ。」
「え?これは…?」
蓮は戸惑ったように紙袋を見つめた。
渡し方を考えてなかったキョーコは若干苦しい言い訳だとわかりながらも、慌てて言葉を出した。
「…し、知り合いが、僕の弁当を作るついでにもう一つ作ってくれたんだ。」
「…は?またどうして…。」
当然、蓮から返ってきたのは疑問符。
「いや、いいじゃないか!細かいことはっ!!彼女、君のファンだから是非渡してくれって作ってくれたんだよ!!」
「…君の、彼女が?」
「そ、そうだよ!!だから、大切に食べてくれよなっ!!じゃっ!!」
そう言って、キョーコはそそくさとその場を離れて行った。
その後ろ姿を訝しげに見送りながら、蓮は弁当を広げた。
その彩を見て、蓮は目を見開くと慌てて坊の後ろ姿をもう一度見つめた。
まさかそんなはずはないと、蓮は自分の考えに首を振って否定してから、箸を手に取って一口オカズを口に運んだ。
口に運んだものを味を確かめるように噛み締めると、蓮の目が見開かれ、ポロリと手元から箸が転がる。
「ん?蓮…どうしたんだ?」
「………」
「蓮?」
様子のおかしい蓮に気づいた社が声をかけても、蓮はショックを受けたように顔面を蒼白にしていた。
「どうした?!まさか変な物でも入ってたんじゃ?!貸せっ!!」
蓮から弁当を奪い取ると、社が確かめるように匂いを嗅いだり、色んな角度から見つめるが、おかしなところは何もない。
試しに少しだけ囓ってみた社が、驚愕に目を見開いた。
「うまっ!!なんだ?!この絶品料理は!!!!まるでキョーコちゃんの…」
そこまで言って、社は固まった。
真っ青な顔の蓮と目が合う。
見つめあった瞬間、社は蓮が固まった理由を全て悟った。
そして、社が青ざめるのとほぼ同時に、蓮の顔に怒りの表情が湧き上がった。
ーーーや、やや闇の国の蓮さんだぁぁぁぁぁ!!!!
突如現れたダークな蓮に、社が恐怖のあまり涙を流したのは最早仕方がなかったのかもしれない。
《続く》