珍しく光視点で書いて見ましたー!!
本当は蓮視点かキョーコ視点で考えた話なんですけど、たまには光視点でいいかも!!とか思って急遽変更♪
光は嫌いじゃないです!むしろ好きですね。
多分スキビの世界に、蓮様がいなくて、キョーコが只管芸能界のトップを目指すお話だったら…もしくは蓮がかっこいいだけの男だったなら…確実に光を応援していたことでしょう!!
でも、蓮様がいますから!!ちゃんとカッコいいだけじゃなくって恋に臆病ないい男になってますからっ!!
君のことは応援出来ないんですぅー!!わかってください!!

ではでは、光視点でも言いよって方は、お楽しみください♪

※ちなみにこの作品は「君の隣」とセットでアメンバー様500人達成記念のフリーSSにさせて頂きます☆


*****


君のとなり


ドラマのキャストに抜擢され、しかも共演者の中に京子の名を見つけた光は喜んだ。
主演ではないが一応メインと多く絡む役柄を貰えた為に必然的に出番も増えた。

同じ現場になった京子は本当に可愛らしくたくさんのスタッフに愛されているのもみていてよくわかった。

しかし、そんな中で光は気になることを見つけてしまった。

京子と敦賀蓮の仲の良さ…。

同じ事務所だからというならまぁ自分もそうなのだが、それだけだろうか?

『敦賀さんは結構周りに見えない壁を作ってるようにみえるけど、京子ちゃんにだけはその壁が見えないんだよなぁ…。京子ちゃんは京子ちゃんで敦賀さんだけにはまた特別な笑顔を見せてる気がする…。
それでも先輩後輩の壁だけは越えない不思議な関係。』
友達以上恋人未満というような関係に見えないでもない。

だからこそ、光は二人でいる姿をできるだけ作り出したくなくて、時間が許す限りはキョーコに話かけるようにしていた。


ーーーでも、本当は心の何処かで気付いてたんだ…二人がお互いをどう想って接しているか…ということに…。


そのドラマも無事に収録を終えた日、打ち上げになった。蓮は主演ということで同じく主演の女優と共に上座に座らされており、大御所や監督に囲まれており、若手のサブレギュラーメンバーは少し離れた席に座っていた。当然のように光はキョーコの隣の席を選んだ。今回チョイ役で出ていたグループの慎一と雄生も近くに座り、仲良く皆で話をしていた。
やはりこのメンバーでいると落ち着く。
キョーコの笑顔はブリッジロックになくてはならないものではないかとさえ思ってしまう。

出来るだけキョーコの興味がこちらに向くように、光は雄生と慎一とともに会話を盛り上げる。気がつけば他の女性陣もそんなブリッジロックのメンバーの話に加わり皆でワイワイと楽しんでいた。
だいぶ盛り上がった勢いのまま二次会のカラオケへと向かう。

勿論カラオケで歌ったことがないというキョーコも連れていくことを忘れない。
ゾロゾロと向かおうとするメンバーに、蓮たちのそばにいた出演者からも声がかかる。

「じゃあ私たちは…」

蓮に腕を絡めて歩き出そうとした女優からさり気ない仕草で蓮は抜け出すと、キョーコの元へと近付いてきた。

「君たちはどこに行くの?」

「カラオケですよ?」

答えを渋ろうとした光より先に、キョーコがニッコリと微笑んでいうと、蓮もそれにつられた様に笑った。

「俺も一緒にいいかな?」

蓮のその一言に食いつかない女性陣はいない。

「「「「是非!!!!」」」」
という声とともに、あっという間に新しい女の子達に囲まれてしまった蓮を見て、蓮が来ることに肩を落とした光はキョーコをみた。

「京子ちゃん?」

「ハッ!!な、何でしょうか?光さん。」

「いや…楽しみだね?カラオケ。」

「はいっ!!」

言うと満面な笑みを返してくれるキョーコに、光は少しだけホッと胸を撫で下ろした。

「ちょっとー!蓮が行くなら私たちも行くー!!」

思いの外大人数になったカラオケは順番が回ってくるのも遅い。

今回もお姉さん方が蓮の隣をキープしてるので、光はさり気なさを装い、キョーコの隣をキープした。

時計の針が進む毎に一人、二人と帰って行く中、光はキョーコと少しでも一緒にいたくてわざとキョーコの時間を引き伸ばした。

結局今残ったメンバーだけでオールをすることになり、皆で楽しく盛り上がるも、やはり睡魔は来るもので、一人二人と夢の中へ落ちて行く。
光も瞼が重くなりコクコクとし始めた。

「光さん?眠いんですか?」

「ん?…らいじょうぶらよ?」

半分夢うつつでうつらうつらしていると、段々とキョーコの香りや温もりにつられる様に引き寄せられる。

「ひ、光さん?!」

こてんと倒れこんだのが肩だったのか、思いの外近くからキョーコの声が聞こえ満足気に笑みを漏らす。

「あ、あの、お休みになられるなら横になられた方が…」

そういいながらキョーコが離れようとする気配を察し、離れたくない光はそんなキョーコから離れまいと身体を傾け、なんとか膝を枕に乗っ取ることに成功した。

「きゃっ!!ちょ、ちょっと光さん?!」

あわあわと顔を真っ赤にしているキョーコの顔が目に浮かぶ。

柔らかい太ももを頬に感じ最高に幸せな気分で夢の中へと旅立った。

『あぁ、俺…今なら死んでもいいかも…。』

ーーーそう思ったのは本心だったが、後で、本当にあの時死んでおけば良かったと後悔することになるとは思わなかった。


至福の気持ちでキョーコちゃんとのラブラブライフの夢をみていると、突然頭に衝撃が走った。

「ハッ!!ん…?なん…だったんだろ?」

慌てて飛び上がって目が覚めた光だが、真っ暗の中にカラオケの画面だけが煌々と輝いているだけで特に変わったことはない。
もう一度枕に頭をつけようとしたことで、自分がキョーコの膝の上で許可もなく眠りこけていたことを思い出した。

「んっ。うん…」

キョーコに謝らなきゃっ!!と思った所で、頭上から色っぽいキョーコの声が聞こえて、もしかして、眠ってるのかも?とドキドキと顔を上げた光が目にしたものは、出来れば一生目にしたくなかった衝撃的なシーンだった。

「ん…ふぁ…。つる…がさ…。」

皆が寝こけてる間に熱烈なキスを交わしている二人を見つけた光はショックから立ち直れずに目をそらす事が出来ないまま石になったように固まってしまった。

某然と見つめていると、キスの真っ最中の蓮が薄っすらと目を開け、その壮絶なまでの色気を放つ蓮の目が光の視線と絡まった瞬間、闇色に染まった。

キョーコの膝を抱え上げ、己の膝の上に納めた蓮は、光に視線を向けたまま、噛み付くようなキスをキョーコに送る。

「んんっ。あふ…つ…が…さ…」

濃厚過ぎるキスを目の前で見せつけられ、光の頭の中がキャパオーバーを訴え真っ白になった。
それを見た蓮は満足したのか光からキョーコへと視線を戻し、目を閉じた。

どの位目の前でのキスを見ていたのかわからない。

動かない思考の中で、目覚める時の衝撃は、キョーコがキスに夢中になるあまり膝を動かした時に蹴り上げる形となったのだろうということだけが何となくわかった。

長すぎるキスが漸く終わった頃には、キョーコの息も上がっていて、トロント蕩けきった顔を見せていた。
その顔中にキスをした蓮はキョーコにそっと微笑み掛けた。

「帰ろうか?」

蓮の言葉にこくんと頷くだけで答えたキョーコを、光はどこか遠いとこで行われてるやりとりのように見ていた。
そっとキョーコを下ろした蓮は眠っているマネージャーの社を揺さぶって起こす。

「社さん、社さん、俺達帰ります。」

「ん…?あぁ、帰るのか?」

「はい。キョーコも連れて帰ります。」

「そうか…。って、ええ?!キョーコ…って?!」

「もちろん、最上さんのことですよ。」

「お、まえたち?!え??え??何時の間に?!」

狼狽えるマネージャーに、蓮は苦笑した。

「いえ、あの、今さっきから…ですね。」

照れながら言う蓮に、社は泣きながら嬉しそうな声を出した。

「そっかぁ!!そっかぁ!!良かったな!!蓮!!良かった良かった!!」

そう言って嬉しそうに会話を交わす二人から未だ隣にいるキョーコへと視線を戻すと、キョーコはポウッと蓮を見続けていた。

「キョーコ…ちゃん…。」

胸の中が苦い気持ちでいっぱいになって、振り向いて欲しくて呼びかけたけれど、キョーコは光の声にも気付かないのか視線が動くことはなかった。

「じゃあ行こうか…キョーコ。」

マネージャーとの会話を終わらせ戻ってきた蓮が手を延ばした。
キョーコもそれに手を合わせて立とうとしたのだが…。

「……あの、敦賀さん…立てません…」

顔を真っ赤にして恥ずかしそうに消え入りそうな声で言う。
それを聞いて破顔した蓮は、「じゃあ俺が運んであげるよ。」と言ってそっとキョーコを抱き上げた。キュウっと蓮の首に抱きついたキョーコの細い腕を見て、光はもう手の届かない場所にキョーコが行ってしまったことを悟った。

「それじゃあ、社さん、光さんも、俺たちはこれで…。おやすみなさい。あ、お金はここにおいて置きますから。」

「あ、ひ、光さんもお目覚めだったんですね!あの、こんな格好でご挨拶になってしまって…えっと…また…。さようなら。おやすみなさい。あ、社さんも…」

「うん。おやすみ~蓮、キョーコちゃん!蓮、嬉し過ぎるからって暴走するなよ!」

「わかってますよ。」

社の言葉に苦笑を漏らした蓮。その腕の中で暴走という言葉にイマイチピンと来ないキョーコが蓮を不思議そうに見上げていて、蓮はそんなキョーコを心底愛おしいという目で見ていた。

「それじゃあ、さようなら。」

そう言った蓮がキョーコを抱えて扉を出て行く。

それを見送った光はバタンとドアが閉まった音で漸く別れの挨拶を口に出来た。

「さようなら…」

消え入りそうな声で告げた言葉は、防音ブースじゃなくても外には聞こえないだろう。
近くにいた社にさえ届かなかったその言葉を心の中で繰り返す。

『さようならキョーコちゃん。さようなら。俺の青春の初恋…』

光はパッと立ち上がると徐にマイクを掴んだ。

「うぉぉぉぉぉーーーー!!!」と、何の脈絡もなくマイクを通して叫び出した光の声に驚いて眠りこけていた全員が飛び起きた。

「うわっ!!なんだ?!」

「んん?なぁにぃ?!」

「あれ?!蓮は?!」

「キョーコちゃんは?」

「え?リーダー?何やってんねん?」

「どないしたん?!リーダー!!」

光はマイクを片時も離さずその後声が枯れるまで失恋ソングを歌い続けた。

本当にあの幸せいっぱいの時に何故死ねなかったのかと、光は本気で後悔したのだった。


END



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