不安な夜は基本短めな文で更新してますね。
今回も短めです。


今回のお話から全く予想してなかった展開に転がり始めました。
どうなるかな?一体この話何話になるの?風月にもまだわかりません~!

ではお楽しみ下さいませ~☆


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不安な夜 14


スラックスだけを身につけてタオルを首から掛けた状態でバスルームからリビングに出ると、ソファに一人の男が踏ん反り返って座っていた。

「荒れてるなぁ~。蓮よ。」

「…来てたんですか。」

断りもなしに、ソファにででんと座ってる男に特に驚きもせずそういうと、蓮は冷蔵庫からウオッカを取り出した。

「テレビも携帯も、これじゃ使い物にならねぇじゃねぇか。」

蓮はローリィの言葉を無視して、キッチンでウオッカを開けた。そしてコップに移しもせず、ボトルごとそれを口に含んだ。

一気飲みする姿に、ソファに座っていたローリィは眉をしかめる。

「喉が焼けるぞ。」

キュパッという音ともに、ボトルから口を外して、蓮は口元を拭いながら、答えた。

「別に。どうでもいい。」

ローリィは大きく息を吐き出した。

「最上君は諦めるのか?」

「………。」

蓮は黙って二本目のボトルを取り出すと、それにまた口をつけた。

「おい…蓮っ!」

グッグッと飲むその姿に、ローリィが呼びかける。

それでも辞めない蓮に近付くと、ローリィはボトルを取り上げて、「飲み過ぎだ!馬鹿野郎っ!」と怒鳴りながら思いっきり蓮の頬を殴りつけた。
蓮はバランスを崩してガタガタっと倒れこむと、そのまま意識を手放したのだった。



「あぁ、蓮は暫く休ませる。社、悪いがスケジュールを調整してくれ。どうにもならない分は俺まで回してくれて構わん。とにかく今こいつは人前に出せる状態じゃねぇ。」

蓮はローリィの声で目を覚ました。
ぼーっと天井を見上げて、ここが自宅のマンションじゃないことはわかった。

「あぁ、悪いが、そういうわけだから。あぁ、何かあったらすぐ連絡してくれ。じゃあな。」

蓮が目覚めたことに気付いたローリィは電話を終わらせ、蓮に話しかけた。

「おぅ、目ぇ醒めたか。」

「…ここは?」

「俺の家のゲストルームだよ。」

蓮は起き上がろうとして、頭がガンガン痛むことに気付いた。

「うっ…」

「無理せず寝てろっ!暫く仕事も休業だ。」

「休…業…?」

「んな状態で満足行く仕事が出来るのか?」

「………出来ます。」

「信用できねぇっつーの!敦賀蓮はLMEの看板なんだ。そんな顔をテレビで晒されたら迷惑だ。思いっきり殴っちまったからな。顔も腫れたし。腫れが引くくらいまでゆっくり休んでじっくり考えろや!」

「……何を考えろっていうんです。」

「はんっ!そんくらい自分で考えろ!俺は忙しいからもう行くぞ。じゃあな。」

ローリィはそう言い残すと、部屋から出て行った。

グルッと室内を見回す。趣味の悪いその部屋に閉じ込められたことを悟り、多く息を吐き出した。
そして、ふと目に飛び込んで来た鏡に違和感を覚えて、マジマジと見つめ蓮は目を見開いた。

慌てて立ち上がり近付く。
そして、蓮はやっと少しだけ泣きそうな顔になった。

「甘やかし過ぎですよ…。貴方は…。」

その鏡の向こうには、殴られて痛々しい腫れた頬をした金髪の男が立っていたのだ。

コンタクトを外せば完璧に久遠になるだろう。

久遠の容姿で、敦賀蓮の仕事をすることは出来ない。ここから抜け出して仕事に戻ろうとしても、この姿である限り無理な相談だ。

そして、それは敦賀蓮としてではく、久遠として…。
そう“一人の男として、自分がどうしたいのか考えろ”というローリィからのメッセージだった。


(続く)


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まさか蓮様が、久遠に戻されるとは…っ!!ローリィってばやってくれますね。
風月も予想外でした。

お酒詳しくないからイメージと違ったらごめんなさい~。最初、ウィスキーにしようとしてたんですけど、インターネットで調べたらウィスキーは常温保存になってて、ウォッカに変更しました(笑)