不意に思いついてしまったお話。
企画ものでも、連載の続きでもなくてすみません!!!!
とりあえず、今回はお笑い路線ですので、かっこいい蓮様しか見たくないーって人は見ない方がいいかも??

※関西弁は風月の勝手な想像ですので、現実とは異なる可能性大です。

※「」は通常の会話。『』はモニター内の会話です。



*****


最強伝説?


生放送のテレビ番組で司会者やプロデューサーは最大の危機を感じていた。
蓮も困ったように微笑んで苦笑するしかない。
カンペには『もっと動揺して!!』と書かれているがこればっかりはどうしようもできないのだ。

数年前に一度話題になった嘘発見器。それを利用してゲストのトキメキ度数を図り、それをモニタリングするという企画のカムバック番組だった。

肌に直接チップを貼り付けてそれで動揺具合を測り、そのレベルがモニターにグラフ数値として現れる。
動揺が最高潮に達するとピーーという機械音が鳴り響き、振り切れたことを表すのだが、蓮はどんなことが起こっても一瞬少し数値が跳ねるだけですぐに平常に戻ってしまうのだ。

番組としては面白味が全く無い。
生放送ということで番組側もかなり力を入れていたのでゲストは豪華なものだった。
蓮の前にも、不破尚や貴島秀人をゲストに迎えており、その時点の振り切れ方に多いに盛り上がっただけに今回は“流石敦賀蓮…”と思わせているのだが、もう少し何かがないかとプロデューサーは頭を悩ませていた。
どんな色仕掛けにもドッキリにも全く動じず、それでも顔はやはり役者と言うべきか、驚いた振りはしているのだが、心の動揺までは流石に演技では補えないようだ。

番組のモニターを切り替えて、一度蓮には控え室に戻るように指示された。

ーーーうーん。動揺するのってなかなか難しいんだな…。

蓮はそんなことを思いながら控え室へと向かったのだった。


一方モニタールームでは司会者であるブリッジロックの光、慎一、雄生がトークで番組を繋いでいた。
不破尚や貴島秀人の動揺するシーンと蓮のシーンを重ね合わせ比較しながら、蓮がどれ程強靭な精神の持ち主かを褒め称え、色仕掛けに参加していた女優を招いて意見を聞く。

迫られたら下手したら同姓までをも動揺させてしまうのではないかと思わせる美貌と色気を売りにしている女優は、蓮を相手にして、いささかプライドが傷付けられたようだ。
不破と貴島も顔は普通だったが、面白いぐらいに心臓が反応していたので、プロデューサーは最後に蓮を!!と意気込んでいたのだがそれが不発に終わってしまった。
もちろん事務所への許可も撮っているので、番組の気合の入れ方も半端がない。
太ももが丸々見えるくらいの大胆なスリットが入ったスカートを履いて、思わず目が行ってしまうギリギリまで胸元が開いたトップスを着た女優が、色気を撒き散らしながら憂いを帯びた表情を作り、足と腕を組む。近くに座っているだけでドギマギして赤面しているブリッジロックの3人は本当にこれで蓮はなんであんなに平気でいられるんだ?!と思わずにはいられない。
足を組み替えるだけで目のやり場に困りながら、三人は何とかトークで番組を続けようと司会者の意地を見せる。
プロデューサーは全て手を出し尽くしてしまったため、スタッフを集め、何やら隅で会議を行い、この後どんな仕掛けをして蓮を動揺させるかを話し合っていた。

「ホンマ、敦賀さんってどんなことで動揺するんやろ。」

諦めたようにため息をつきながら慎一が言葉を発して、皆が同意しようとした瞬間、不意に蓮の機械がけたたましい振り切れ音を発し始めた。

「え?!何?!何の音や?!」

「これ、敦賀くんのとちゃうん?!」

「あ!!振り切れとる!!振り切れとるで!!一体何があったんや!!」

慌てて光達は、蓮のモニターを覗き込み、番組のモニターも蓮の控え室の映像に切り替えられる。
するとそこには蓮と一人の女性の姿が映し出されていた。

「え…?」

それを見て目を丸くする光。
慎一も雄生もその人物の顔には見覚えがあった。

「あれ、京子ちゃんとちゃう?!」

「何で京子ちゃんがおるん?」

番組の進行表にも京子の名前はなかったと記憶している三人は不思議そうにモニターを見つめた。

小さなモニターの画像は荒いが映像は勿論、音声もバッチリ三人には聞こえてきていた。



『ど、したの?その格好…』

『これですか?やっぱりおかしい…です…よね?』

潤んだ瞳に上目遣いでキョーコが蓮を見上げると、蓮は一瞬無表情になった。
その瞬間、蓮に取り付けた動揺を検知する機械が反応したのか再びモニタールームにビーーーーという機械音がけたたましく鳴り響く。

『いや…そんなこと…。凄く似合ってる…けど…』

キョーコは何故かどこぞのカジノでウェイトレスをしていそうなウサ耳バニーの格好をさせられていたのだ。
水着の方がまだ露出が抑えられてるのでは?と思わず言いたくなりそうな格好に、一同唖然とするしかない。

『実はこれ…マリアちゃんとさっきまでアリスごっこをしてまして…』

『…アリスごっこ?』

『不思議の国のアリスですっ!!』

ーーーえ?!不思議の国のアリスのウサギってあんな格好してるっけ?!

モニターを見ていた一同はそんな風に心の中で盛大なツッコミを入れる。

『それで…?』

蓮は時々ピーピーピーと機械を反応させながらも、努めて無表情を保ち冷静に話をふりつつ、己のジャケットを脱ぐとさり気なくカメラからキョーコの身体を隠すように羽織らせた。

『あ、ありがとうございます。』

キョーコはほにゃりと顔を崩した。それを見た蓮のグラフがまたもやググッと上昇し大きな音を立てる。

京子に出演予定はなかったはずだが、蓮の動揺が半端ないのに気付いてプロデューサーも期待に目を輝かて続行を決めた。

『その時にですね、突然社長から今すぐ蓮のところに行ってこれを渡してこいと…なんでも一刻を争うとかで、この控え室の前まで連れて来られまして…』

おずおずと封筒を差し出したキョーコからありがとうと言いながら受け取ると、ちらちらとキョーコに視線を贈りながらも、恐る恐る蓮は封を開いた。

するとそこには様々な衣装を着たキョーコの恥ずかしがってる姿が写真に収められていたのだ。
どうやらマリアと着せ替えごっこをした時の写真らしい。

蓮の心臓がまたもやビーーーーっと反応し、モニタールームにけたたましい音を響かせたまま、笑顔でピキリと固まってしまった。

『敦賀…さん?』

手中のキョーコの写真と、すぐ隣から不思議そうに見上げてくるキョーコに蓮はもう限界だった。
もう振り切れた音は継続したまま、針は元の位置に暫く戻ってこない。

その姿を司会者と女優は呆然と見守っていた。

「なぁ…敦賀さんって…」

「もしかして…いや、もしかしなくても、京子ちゃんのこと…」

慎一と雄生はそう呟くと意味ありげに目配せをして、二人同時にリーダーである光を見つめた。

蓮の様子に赤くなっている二人とは対照的に、光は顔面蒼白だった。

雄生と慎一はまたモニターに視線を戻す。

「あの…敦賀蓮をここまで…。」

「京子ちゃん…恐るべし…。」

キョーコの一挙手一投足にどんどんメーターが振り切れる蓮を見て、敦賀蓮の好きな相手は京子だとメディアを通じて周知の事実になってしまう。

そしてよく観察をしていると、蓮のメーターが振り切れるのは蓮が無表情になっている時だということに、一人、二人と徐々に気付きはじめた。

しかし、あまりの振り切れように“京子ちゃん逃げてーーー!!”とお茶の間からは緊迫した悲鳴が上がったとか上がらなかったとか…。

ある意味、放送事故?と思われたこの番組は、この後もニュースやワイドショーで取り上げられ、この年一番の伝説になったのだった。



♪ちゃんちゃん♪


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水曜日に急に頭の中に降って湧いた話(笑)

やっぱり最強はキョーコちゃん?


どこの企画にも連載にも関係ないという…。
いやいや、こんなの書くくらいなら連載書こうよ!!って思いつつも発散しないと何だか他の話を書く頭まで占拠されそうだったので形にして見ました。

本当…すみません!!
とんだお目汚しをー!!

ネタとして楽しんでいただけたら…いいかな?(; ̄ェ ̄)

きゃー!!石はっ!!石はやめて下さいませー!!!!出来心なんですぅーーー!!(脱兎)