2014年1月のとある日。
───壁ドンな蓮キョが……みたいの。
───くーーーーーーーっ(≧∇≦)って、悶えたいのです(笑)。
そんな呟きを落としたゆみーのん。
いつのまにやら、素敵なドン話があちらこちらでアップされ、
オープンな密談(?)の末に
ドン☆フェスというものが、秘かに熱いスタートを切ったのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
肘ドン☆壁ドン☆蝉ドン☆足ドン!!どんとこい企画
ドン☆フェス 大開催!
ゆみーのん様のドン☆フェス企画開催のご案内
過去作品提出したものの、ずっと参加したいなぁ!と思ってて、ようやく書けました!!
ゆみーのんさま、こんなのいかがでしょー?!
あ!!大事な注意書きを書き忘れてました!!
最初からいきなり本誌のネタバレ含みますので、それが嫌な方はお引き取り下さいー!!
本誌の続き妄想にもなってます!!
どんフェスにも参加したい!!続き妄想も書きたい!!二つのネタを合わせちゃいました!!
※風月は本誌派じゃないのですが、皆様の本誌感想から妄想が膨らんで書いております。
本誌を読んでる方にもそれはそれで違和感感じる部分があるかもしれませんが、妄想なので!!ご了承下さいませ!
*****
御伽話の教え*前編
ーーー古より変わることのない呪いにかけられた姫や王子を救う最も伝統的な方法ーーー。
そう言って口元を指で示したコーンを見て、キョーコは目を見開いた。
そんな風に言われてしまえば、御伽が大好きなキョーコにはわかってしまう。
コーンの言動が示す意味がーーー。
思わず自分がするのを想像してしまったキョーコは赤面して俯いてしまった。
思考の内側に迷路を作ってぐるぐると彷徨う。
キスーーー?
それはキョーコにとって“結婚”を意味しているも同然だった。
ーーーだって!お伽話の王子様もお姫様もキスをして二人はその後もずっと幸せに暮らしました…なのよ?!
つまりは、そういうことで…キスをするということは、結婚して二人で幸せに暮らすことなのだ。
ーーーコーンと…私が…?!
真っ青になったり真っ赤になったり、目の前がチカチカする。
ーーーでも魔法を解くなら方法はそれしか…っ!!
そう思いながらも頭に浮かぶのは想いを寄せる相手の顔で、キョーコはその思考を追い払おうとキュウッと目を瞑った。
そうして蓮の何かに耐えるような苦しんでいるような表情を思い出し、もしも、蓮の苦しみも、古より変わることのない呪いにかけられた姫や王子を救う最も伝統的な方法で、救うことが出来るなら…なんて思わず想像してしまった。
しかし…キョーコの眉間に皺がよる。
もし、その方法が通用したとしても、その相手に己が当てはまることなど天地がひっくり返ったとしてもあり得ないと思ったからだ。
ーーーキスを…敦賀さんが誰かと…
容易に想像できてしまうその姿に泣きそうになってしまった。
蓮の隣に立っても見劣りしない輝く美貌をもった絶世の美女。
背は高くて腰まである長い髪が柔らかく揺れて…
思考が逸れたことにも気付かぬまま、ぐるぐると考え込んでしまったキョーコを無表情で見下ろしていたコーンは一つ静かに溜息をおとした。
そうしてキョーコの頬に手を伸ばす。
その手にハッとして顔を上げたキョーコの目が潤んでいることに気付いて、一瞬固まってしまったコーンだったが、一瞬だけ目を閉じて心の痛みを押しとどめると、キョーコのぷるんとした唇を親指でたどった。
「ごめんね?キョーコちゃん、困らせたい訳じゃないんだ…。俺は、このままでいいんだよ。」
そう言って寂しそうに微笑んだコーンを見て、キョーコはハッとした。
ーーー私ったらコーンの呪いを解く方法を考えてたはずなのにっ!!
最初はコーンへのキスのことを考えていたはずなのに、今は蓮のことで頭がいっぱいになってしまったからだ。
そのことに気付いてキョーコは益々泣きそうな顔になる。目の前のコーンに対して申し訳なさでいっぱいになった。
「ごめんね。コーン…私が今恋をしてなければ何の迷いもなくコーンの呪いを解くことが出来たかもしれないけど…」
「………え…?」
キョーコが申し訳なさそうに言った予想外の言葉にコーンは鈍器で頭を殴られたような衝撃を受け、一瞬何をカミングアウトされたのかわからなかった。
そんなコーンの動揺にキョーコは不思議そうに首を傾げる。
「え…って?さっき、コーンは…見たんだよね?私の心の中…」
キョーコはコーンの驚いた顔を見て逆に驚いて困惑していた。
「ココ…ロ…?…コ、イ……?」
コーンの脳が弾け飛んだかのように真っ白になる。
「キョー、コ…ちゃん…が…?」
「そ、そうよ!あれ?!そこまでは見てなかったの?!やだ!!どうしよう!!私ったら先走っちゃった?!は、恥ずかしい~~っ!!」
キョーコは真っ赤になって狼狽えた。
そんな今まで目にしたことがない乙女顔全開のキョーコにコーンは呆然と立ち尽くす。
一人身悶えるキョーコから一度視線を落として、ゆっくりと顔を上げた時には、コーンの目に先ほどよりも深い闇が揺らめいていた。
「ダ レ…?」
一歩を踏み出しコーンがキョーコに距離を詰める。
その雰囲気にピクリと反応してキョーコが顔を上げると、そこにはおどろおどろしい雰囲気を纏ったコーンが立っていて、キョーコは驚いて思わず後ずさった。
「相手は…だれ…?」
自分の方を見ているはずなのに何も映していないような、空虚な目がただキョーコを見下ろしていて一歩、また一歩と近づいてくる。
「コー、ン…?」
キョーコはどうして急にコーンがこんな風になったのかわからなかった。困惑しつつも体は自然とジリジリと後ろに下がり、コーンから距離を取ろうとしていた。
やがて、キョーコの体は壁にぶつかり、それ以上離れることが出来なくなった。
死へのカウントダウンを思わせる雰囲気でコーンが一歩、また一歩とそれ以上下がることの出来ないキョーコへと近付いた。
ーードン
キョーコの顔のすぐ横にコーンは手をついて逃げ道を塞ぐとその顔を覗き込む。
いつの間にか店の角に追い詰められていたキョーコは困惑したまま、若干怯えながら涙目でコーンを見上げていた。
「コーン…どうしちゃったの…?」
突然、コーンがキョーコの目にも“男の人”に映った。
背の高いコーンから見下ろされる威圧感に圧倒される。
顔のすぐ隣の壁にコーンが手をついているため、それ以上逃げることが出来ない。
必死に縮こまって、いつものコーンに戻ってもらいたくて話しかけていた。
「何かおかしいよ…コーン…。」
コーンは何も答えず静かにキョーコの頬に手を伸ばした。
ビクリと一瞬怯んだキョーコを目に映しながらも、コーンはその頬を撫で、顎を捉えた。
無理やり自分の方を向かせ、キョーコに問う。
「相手は…誰なの?」
今度は鼻先が触れそうなほどの至近距離から見つめられ、冷たく繰り返す。
キョーコはわけがわからなかった。
「答えて…。キョーコちゃん………キョーコ…?」
最後に、甘く低く耳元でポツリと落とされた爆弾に心臓が一気にバクバクと暴れ出した。
耳に一瞬だけコーンの唇が触れた気がしてビクンと身体が震えた。
蓮の声と、蓮の顔立ちや背格好をしたコーンから呼ばれた名前の衝撃に一瞬息が出来なくなった。
何も答えないキョーコの耳元から顔を離して、再び鼻がくっつきそうな距離からコーンがキョーコを覗き込む為、コーンの影がキョーコの顔に落ち、至近距離で見るコーンの睫毛が長いとかそんなどうでもいいことを思わず考えてしまうほど、キョーコは動揺していた。
「だ、誰って…?」
キョーコはカラカラに乾いた唇を震わせた。
「そ、それはコーンも見たんじゃ…」
「過去に起きた出来事は見ることはできても、心の中を覗くのはかなり高度な魔法がいるんだよ。」
「そ、そうなの?」
「うん…だから心の中は覗けない…。」
「で、でも!!教えられないっ!!だってこの想いはお墓まで持って行く覚悟なんだものっ!!」
キョーコは真っ赤になったまま、何とか言い放った。
だけど、コーンの心中は黒い想いでいっぱいになる。
「教えて…くれないの…?」
「む、無理無理!!口に出すだけでもおこがましいもの!!いくらコーンが相手でも教えられないっ!!」
「そう…」
コーンは一度、キョーコから顔の距離だけを離し深くため息をついた。
「なら…仕方ない…ね。」
一瞬解放されるかに思えたキョーコがホッと肩の力を抜こうとした瞬間、コーンは暗い焔を瞳の中に揺らめかせ、キョーコが逃げられないように大きな手で顔を固定し、再び顔を寄せた。
「こ、コーン?!」
キョーコはこれから何をされるのかわからずに怯えたまま呼び掛けた。
「キョーコちゃんが悪いんだよ?言わないから…。」
ーーーえ?
コーンがまたもやキョーコの耳元に唇を寄せて囁くと、悪寒が走りそうな笑顔を薄っすらと浮かべて、キョーコの瞳を覗き込んだ。
その顔が徐々に近付く。
壁についた腕に体重を預けるかのように身体を傾かせたコーンは、吐息が近付くほど顔を近付けたまま囁いた。
「キョーコちゃんは誰にも渡さないよ?」
あまりの至近距離で囁かれキョーコの思考が曖昧になる。
目の前にいるのはコーンなのにまるで蓮に言われたような自分の都合のいいように脳内変換してしまっていた。
そしてその隙を付くかのように唇がそっと重ね合わされた。
“最上さんがファーストキスだと思ったものがファーストキスでいいんだよ。”
過去に蓮から言われた言葉が頭の中に響く。
“それが俺たちの役者の法則”
ーーー役者の…法則…。
キョーコの瞼が自然と下りた。
暗い目を宿していたとは思えないほどの優しいキスに思わず、心の中に蓮の笑顔と蓮の声を思い浮かべた。
ーーー敦賀さんとのキスも…こんな感じなのだろうか…?
そっと頬が薔薇色に染まる。
“キョーコちゃんは誰にも渡さない。”
先ほどコーンから蓮の声で言われた言葉は、蓮本人から言うとしたらもう一人の“キョーコちゃん”なのだろう。
自分ではない“キョーコちゃん”。
ーーー今はきっとコーンが夢を見せてくれてるのね…。
キョーコはコーンと蓮を頭の中で重ねてしまった。
そうすることでコーンが救えるならと思って受け入れたのだ。
しかし、ゆっくりと離れたコーンは苦しげな顔をしたままだった。
「…誰と、重ねたの?」
コーンの言葉にびくりとキョーコが身体を震わせた。
その姿を悲しげに見つめたコーンはそのまま何も言えずにキョーコから顔を逸らすと、謝りも別れの挨拶も言わぬまま、その場から逃げるように去って行った。
後に残されたキョーコだけが呆然と立ち尽くしていたのだった。
暫くしてキョーコがハッと我に帰った時にはもうコーンの姿は何処にもなかった。慌てていたるところを探し回ったが見つからない。
あちこち走り回ったキョーコが肩を落としてトボトボと歩いていると、携帯が着信を伝えた。
呼び出し主はテン。
用意できたらホテルの部屋に迎えに行くからと言われていたのをすっかり忘れていたキョーコは慌てて通話ボタンを押して謝罪をすると、急いでテンの元へ向かったのだった。
(続く)
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続きは明日…かな??
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御伽話の教え*前編
ーーー古より変わることのない呪いにかけられた姫や王子を救う最も伝統的な方法ーーー。
そう言って口元を指で示したコーンを見て、キョーコは目を見開いた。
そんな風に言われてしまえば、御伽が大好きなキョーコにはわかってしまう。
コーンの言動が示す意味がーーー。
思わず自分がするのを想像してしまったキョーコは赤面して俯いてしまった。
思考の内側に迷路を作ってぐるぐると彷徨う。
キスーーー?
それはキョーコにとって“結婚”を意味しているも同然だった。
ーーーだって!お伽話の王子様もお姫様もキスをして二人はその後もずっと幸せに暮らしました…なのよ?!
つまりは、そういうことで…キスをするということは、結婚して二人で幸せに暮らすことなのだ。
ーーーコーンと…私が…?!
真っ青になったり真っ赤になったり、目の前がチカチカする。
ーーーでも魔法を解くなら方法はそれしか…っ!!
そう思いながらも頭に浮かぶのは想いを寄せる相手の顔で、キョーコはその思考を追い払おうとキュウッと目を瞑った。
そうして蓮の何かに耐えるような苦しんでいるような表情を思い出し、もしも、蓮の苦しみも、古より変わることのない呪いにかけられた姫や王子を救う最も伝統的な方法で、救うことが出来るなら…なんて思わず想像してしまった。
しかし…キョーコの眉間に皺がよる。
もし、その方法が通用したとしても、その相手に己が当てはまることなど天地がひっくり返ったとしてもあり得ないと思ったからだ。
ーーーキスを…敦賀さんが誰かと…
容易に想像できてしまうその姿に泣きそうになってしまった。
蓮の隣に立っても見劣りしない輝く美貌をもった絶世の美女。
背は高くて腰まである長い髪が柔らかく揺れて…
思考が逸れたことにも気付かぬまま、ぐるぐると考え込んでしまったキョーコを無表情で見下ろしていたコーンは一つ静かに溜息をおとした。
そうしてキョーコの頬に手を伸ばす。
その手にハッとして顔を上げたキョーコの目が潤んでいることに気付いて、一瞬固まってしまったコーンだったが、一瞬だけ目を閉じて心の痛みを押しとどめると、キョーコのぷるんとした唇を親指でたどった。
「ごめんね?キョーコちゃん、困らせたい訳じゃないんだ…。俺は、このままでいいんだよ。」
そう言って寂しそうに微笑んだコーンを見て、キョーコはハッとした。
ーーー私ったらコーンの呪いを解く方法を考えてたはずなのにっ!!
最初はコーンへのキスのことを考えていたはずなのに、今は蓮のことで頭がいっぱいになってしまったからだ。
そのことに気付いてキョーコは益々泣きそうな顔になる。目の前のコーンに対して申し訳なさでいっぱいになった。
「ごめんね。コーン…私が今恋をしてなければ何の迷いもなくコーンの呪いを解くことが出来たかもしれないけど…」
「………え…?」
キョーコが申し訳なさそうに言った予想外の言葉にコーンは鈍器で頭を殴られたような衝撃を受け、一瞬何をカミングアウトされたのかわからなかった。
そんなコーンの動揺にキョーコは不思議そうに首を傾げる。
「え…って?さっき、コーンは…見たんだよね?私の心の中…」
キョーコはコーンの驚いた顔を見て逆に驚いて困惑していた。
「ココ…ロ…?…コ、イ……?」
コーンの脳が弾け飛んだかのように真っ白になる。
「キョー、コ…ちゃん…が…?」
「そ、そうよ!あれ?!そこまでは見てなかったの?!やだ!!どうしよう!!私ったら先走っちゃった?!は、恥ずかしい~~っ!!」
キョーコは真っ赤になって狼狽えた。
そんな今まで目にしたことがない乙女顔全開のキョーコにコーンは呆然と立ち尽くす。
一人身悶えるキョーコから一度視線を落として、ゆっくりと顔を上げた時には、コーンの目に先ほどよりも深い闇が揺らめいていた。
「ダ レ…?」
一歩を踏み出しコーンがキョーコに距離を詰める。
その雰囲気にピクリと反応してキョーコが顔を上げると、そこにはおどろおどろしい雰囲気を纏ったコーンが立っていて、キョーコは驚いて思わず後ずさった。
「相手は…だれ…?」
自分の方を見ているはずなのに何も映していないような、空虚な目がただキョーコを見下ろしていて一歩、また一歩と近づいてくる。
「コー、ン…?」
キョーコはどうして急にコーンがこんな風になったのかわからなかった。困惑しつつも体は自然とジリジリと後ろに下がり、コーンから距離を取ろうとしていた。
やがて、キョーコの体は壁にぶつかり、それ以上離れることが出来なくなった。
死へのカウントダウンを思わせる雰囲気でコーンが一歩、また一歩とそれ以上下がることの出来ないキョーコへと近付いた。
ーードン
キョーコの顔のすぐ横にコーンは手をついて逃げ道を塞ぐとその顔を覗き込む。
いつの間にか店の角に追い詰められていたキョーコは困惑したまま、若干怯えながら涙目でコーンを見上げていた。
「コーン…どうしちゃったの…?」
突然、コーンがキョーコの目にも“男の人”に映った。
背の高いコーンから見下ろされる威圧感に圧倒される。
顔のすぐ隣の壁にコーンが手をついているため、それ以上逃げることが出来ない。
必死に縮こまって、いつものコーンに戻ってもらいたくて話しかけていた。
「何かおかしいよ…コーン…。」
コーンは何も答えず静かにキョーコの頬に手を伸ばした。
ビクリと一瞬怯んだキョーコを目に映しながらも、コーンはその頬を撫で、顎を捉えた。
無理やり自分の方を向かせ、キョーコに問う。
「相手は…誰なの?」
今度は鼻先が触れそうなほどの至近距離から見つめられ、冷たく繰り返す。
キョーコはわけがわからなかった。
「答えて…。キョーコちゃん………キョーコ…?」
最後に、甘く低く耳元でポツリと落とされた爆弾に心臓が一気にバクバクと暴れ出した。
耳に一瞬だけコーンの唇が触れた気がしてビクンと身体が震えた。
蓮の声と、蓮の顔立ちや背格好をしたコーンから呼ばれた名前の衝撃に一瞬息が出来なくなった。
何も答えないキョーコの耳元から顔を離して、再び鼻がくっつきそうな距離からコーンがキョーコを覗き込む為、コーンの影がキョーコの顔に落ち、至近距離で見るコーンの睫毛が長いとかそんなどうでもいいことを思わず考えてしまうほど、キョーコは動揺していた。
「だ、誰って…?」
キョーコはカラカラに乾いた唇を震わせた。
「そ、それはコーンも見たんじゃ…」
「過去に起きた出来事は見ることはできても、心の中を覗くのはかなり高度な魔法がいるんだよ。」
「そ、そうなの?」
「うん…だから心の中は覗けない…。」
「で、でも!!教えられないっ!!だってこの想いはお墓まで持って行く覚悟なんだものっ!!」
キョーコは真っ赤になったまま、何とか言い放った。
だけど、コーンの心中は黒い想いでいっぱいになる。
「教えて…くれないの…?」
「む、無理無理!!口に出すだけでもおこがましいもの!!いくらコーンが相手でも教えられないっ!!」
「そう…」
コーンは一度、キョーコから顔の距離だけを離し深くため息をついた。
「なら…仕方ない…ね。」
一瞬解放されるかに思えたキョーコがホッと肩の力を抜こうとした瞬間、コーンは暗い焔を瞳の中に揺らめかせ、キョーコが逃げられないように大きな手で顔を固定し、再び顔を寄せた。
「こ、コーン?!」
キョーコはこれから何をされるのかわからずに怯えたまま呼び掛けた。
「キョーコちゃんが悪いんだよ?言わないから…。」
ーーーえ?
コーンがまたもやキョーコの耳元に唇を寄せて囁くと、悪寒が走りそうな笑顔を薄っすらと浮かべて、キョーコの瞳を覗き込んだ。
その顔が徐々に近付く。
壁についた腕に体重を預けるかのように身体を傾かせたコーンは、吐息が近付くほど顔を近付けたまま囁いた。
「キョーコちゃんは誰にも渡さないよ?」
あまりの至近距離で囁かれキョーコの思考が曖昧になる。
目の前にいるのはコーンなのにまるで蓮に言われたような自分の都合のいいように脳内変換してしまっていた。
そしてその隙を付くかのように唇がそっと重ね合わされた。
“最上さんがファーストキスだと思ったものがファーストキスでいいんだよ。”
過去に蓮から言われた言葉が頭の中に響く。
“それが俺たちの役者の法則”
ーーー役者の…法則…。
キョーコの瞼が自然と下りた。
暗い目を宿していたとは思えないほどの優しいキスに思わず、心の中に蓮の笑顔と蓮の声を思い浮かべた。
ーーー敦賀さんとのキスも…こんな感じなのだろうか…?
そっと頬が薔薇色に染まる。
“キョーコちゃんは誰にも渡さない。”
先ほどコーンから蓮の声で言われた言葉は、蓮本人から言うとしたらもう一人の“キョーコちゃん”なのだろう。
自分ではない“キョーコちゃん”。
ーーー今はきっとコーンが夢を見せてくれてるのね…。
キョーコはコーンと蓮を頭の中で重ねてしまった。
そうすることでコーンが救えるならと思って受け入れたのだ。
しかし、ゆっくりと離れたコーンは苦しげな顔をしたままだった。
「…誰と、重ねたの?」
コーンの言葉にびくりとキョーコが身体を震わせた。
その姿を悲しげに見つめたコーンはそのまま何も言えずにキョーコから顔を逸らすと、謝りも別れの挨拶も言わぬまま、その場から逃げるように去って行った。
後に残されたキョーコだけが呆然と立ち尽くしていたのだった。
暫くしてキョーコがハッと我に帰った時にはもうコーンの姿は何処にもなかった。慌てていたるところを探し回ったが見つからない。
あちこち走り回ったキョーコが肩を落としてトボトボと歩いていると、携帯が着信を伝えた。
呼び出し主はテン。
用意できたらホテルの部屋に迎えに行くからと言われていたのをすっかり忘れていたキョーコは慌てて通話ボタンを押して謝罪をすると、急いでテンの元へ向かったのだった。
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