本当に、選択肢Aでよろしいですか?
こちらは嫉妬セツカちゃん、女のバトル?!がテーマです♪
闇のオトコとシーツのオンナ
闇のオトコとシーツのオンナ*
の続きとなります!
完全パラレルですのでご容赦下さい。
*****
闇のオトコとシーツのオンナ**A
ピクリと何かを感じて、カインは目を覚ました。
慌てて身を起こして、痛む腹部を抑えながらも外の様子を伺うため、カーテンを少しだけ開けて外を伺い、目にした光景にチッと軽く舌打ちをした。
『ん…兄さん…?』
急に起きたカインの様子を訝しみながら、セツカも目をこすりつつ身を起こした。
『出るぞ!』
カインは急いで部屋の中に戻り、クローゼットからいつもと違うテイストの服を取り出すとそれを身に纏った。
『兄さん?何かあったの?暫く安静にしてなきゃ…』
『セツ…お前はこれを着ろ!』
突然思い立ったように外出の用意を始めたカインを見て、セツカは訝しむ。
投げ渡されたのはカインの黒Tシャツ。
『これ…?』
ダボッとしたその服を一度広げたセツカは説明を求めるようにカインを見たが、カインはピリピリとした空気を発している。
『早くしろっ』
『…わかったわ。』
言われたとおり服を羽織ると、ぶかぶかの服はやはりと言うべきか膝上8cmくらいのワンピース風になってしまった。
大きく空いた襟元が心許ないが文句も言ってられない。
しかし、そんなセツカを見たカインは一瞬、フリーズし、慌てて視線を逸らして意識を立て直すと、すぐにいつもの顔でセツカに言った。
『…その格好じゃ出歩けないな…。仕方ない。時間がないから暫く姿を隠してもらうがいいか?』
『ええ。貴方の支持に何でも従うわ。』
『悪いな。少しだけ我慢してくれ。』
そう言って、カインは手早くセツカをシーツで包んで隠した。
顔まで全て隠して荷物のように抱えあげると、カインはセツカに指示を出す。
『喋るな、動くな。いいな?』
『えぇ。』
しっかりと頷くセツカを確認して、カインは部屋を抜け出したのだった。
エレベーターは使わず階段からセツカを肩に担いだまま、カインは駆け下りた。
そしてその間にカインは独り言のように呟く。
『依頼をしくじった…。組織がそれに気付いて俺を消しに来たようだ。』
セツカはシーツの中でそれを聞き、気を引き締めた。
ホテルを抜け出すのかと思いきや、カインは数階下のホテルの部屋にノックをして合図を送った。
暫くして開かれたドアから弾むような女の声がして、セツカはピクリと反応した。
『カインさん!!来てくれたのねっ!!!!』
『邪魔するぞ。』
勝手に中に入り、ズカズカと進む。
『ね?ね?愛華に会いに来てくたの?!』
『追われてる。暫く邪魔する。』
『いつまででもどうぞ!!カインさんの頼みなら愛華なんだって聞いちゃうっ!!』
窓の外を見て、カーテンを閉めると、カインはそっと大切そうにセツカを包んだシーツをベッドに下ろした。
『何が入ってるの?愛華へのプレゼント?』
『黙れ。うるさい。』
テンション高くはしゃぐ愛華を一括して、カインはシーツを取り払った。
すると無表情のセツカが顔を出す。
『え…何この子?』
愛華はセツカの姿を見て目を見開く。
そしてカインとセツカを何度も見比べた。
『セツ…怪我はないか?』
『………えぇ。』
『そうか…』
セツカの答えを聞いてホッとしたように息を吐いたカインだが、セツカは起き上がると、プイッとカインに背中を向けた。
『?おい…?』
『私は行くわよ。お邪魔虫みたいだし。二人で仲良くしたら?カ・イ・ン兄さん』
『っ!おいっ!!』
勝手に出て行こうとするセツカの腕を慌ててカインが掴む。
『っ離してっ!』
『何、怒ってる?』
『別に。怒ってない。』
『怒ってるだろ?』
『怒ってない!!』
『本当に…?』
『放っておいて。』
『放っておけると思うか?どこ行く気だ?!』
『兄さんには関係ないでしょ?元々名前も知らない赤の他人なんだし。』
『おいっ!第一行くとこなんてないだろ?』
『そんなの適当に探せばいくらでも見つかるわよ。』
完全に臍を曲げてしまったセツカをカインは抱き締めた。
『っ!!』
『行くな…セツカ。』
カインはセツカの頭に顔を埋めて懇願する。
そんなカインの言動にセツカは真っ赤になり、愛華は信じられないものを見るように目を見開いた。
暫くの沈黙の後、セツカは短く息を吐き出した。
それにカインはピクリと反応する。
『わかったわ。行かない。貴方の側にいる。』
セツカがカインの腕に手を添えて、答えると、カインのセツカを抱きしめる腕に更に力が加わった。
『いろ。ずっと…。』
甘い空気が漂い出したところに水を差したのは、愛華だった。
先ほどまでのテンションの高さはどこに行ったのかと聞きたくなるほど冷たい声で、セツカに不満をぶつける。
『貴方、誰よ?何でカインさんとそんなに…?!』
ワナワナと震える愛華に見せつけるようにセツカはカインの首に手を回して、愛華に向けて不敵な笑みを浮かべた。
『アタシ?アタシはセツカ。このおにーさんに命を救われたの。だから私は彼のものよ?』
『セツ…俺もお前に救われた。だから俺もお前のものだ。』
カインの瞳に吸い込まれそうな感覚になりながら、セツカはカインを見つめた。
『兄さん…』
カインの顔が近付き、瞼が自然と落ちる。
触れるかに思えた唇はまたもや愛華に遮られた。
『カインさん!!』
グイっとカインの腕を引いた愛華に邪魔されて、ギロリとカインが愛華を睨んだが、愛華は負け時と睨み返した。
『…何だ?』
柔らかな身体を抱き締めた腕は緩めずに不機嫌を露わにした顔を出す。
『ここ、愛華の部屋なんだけどっ!勝手に人連れ込まないでくれますか?!』
愛華の言葉に、カインが呆れた顔を見せる。
『一人も二人も一緒だろう?』
『そーいう問題じゃないのっ!!そしてセツカさん!!私のカインさんから離れてっ!!』
『…いつ俺がお前のになった。』
『だって、兄さんが離してくれないんだもの。』
セツカは挑発するようにカインを抱き締め、その身体に頬を寄せた。
その身体を愛おしそうに抱きとめたカインだが不意にウッと顔を顰めた。
膝からガクンと崩れかけたカインをセツカが慌てて支えた。
『兄さんっ!!』
『カインさんっ?!』
『…大丈夫だ…。』
『傷口が開いたんじゃ…!ちょっと貴方、ベッドを貸してっ!』
『う、うんっ!カインさんどうしたの?!』
『撃たれたのよ昨日、手当はしたんだけど…』
血が滲み出したカインの腹部を見て、愛華は青ざめた。
『びょ、病院っ!救急車っ!!』
『貴方バカなの?追われてるのよ!病院なんて行けるわけないでしょ?!消毒液くらいないの?!』
『あ、それなら確かここに…』
『貸してっ!』
愛華から奪い取って手当てを施すセツカだが、愛華は傷口に悲鳴を上げて直視も出来なかった。
献身的に傷の手当てをしてくれるセツカをカインは痛みに耐えながら黙って見ていた。
愛華は手当てが出来ない代わりにセツカの支持に従って準備を整えた。
『これで…よしっと…。』
包帯の代わりに愛華がシーツを引き裂いたものをセツカがカインの腹部に巻いた。
ちょっと染みたものの、先ほどより少し痛みが和らぎ、カインはホッと息を吐いた。
『はい!完了っ!』
『ありがとう…セツ…』
『カインさん、無理しすぎは良くないですよ!』
『あぁ…。迷惑かけた。』
『いえ、私は殆ど手当て出来ませんでしたし…。』
『愛華、悪いんだがお前の服をセツに貸してやってくれないか?』
『えーーー!!なんで愛華が?!』
『頼む…。』
『うっ。もう…カインさんの頼みなら断れないじゃないですかぁー!!』
愛華はプンプン文句を言いながらも、引っ張り出して来た服をずいっとセツカに渡した。
『はい!早く着替えなさいよ!』
律儀に下着までようしてくれたことにセツカは目を見開いた。
『…ありがとう。』
『べっつに!あんたのためじゃないんだからっ!』
プイッとそっぽを向いた愛華に苦笑して、着替えてくるわ。とセツカは脱衣所へ向かった。
その後ろ姿を追うように見つめるカインの視線を遮るように愛華がヒョイっとカインを覗き込んだ。
カインは遮られたことで不機嫌そうに眉間に皺を寄せ視線を逸らした。
『ねぇ、カインさん。愛華さみしかった…。』
そんなカインに構わず愛華はベッドに背中を預けたカインに擦り寄る。
『………。』
無視するカインに愛華は構わず抱き着く。
『頼ってくれて嬉しかったよ?』
『…離れろ。』
『セツカさんは良くて何で私はダメなの?ね?カインさん知ってるでしょ?愛華はずっとずっとカインさんが好きなんだよ?ね?カインさん…』
カインは溜息をついた。
一度気まぐれで助けてしまった時から何故か懐かれているのだ。
『カインさん、本気で好きなの。好き…。』
そう言って、愛華が唇を重ねて来た。
急に唇を重ねられて驚いたカインがそっと顔を背けて離れようとするも、愛華はそれを追ってまた重ねてくる。そんな二人をセツカは見てしまった。
バサリという布の落ちる音で、ハッとしてカインがそちらを向くとセツカが顔を真っ赤にしてフルフルと睨んでいた。
『セツ…これは…』
また出て行こうとするかもしれないと慌てたカインが弁解しようとしたが、その心配とは裏腹にセツカは怒りを露わにズンズンと近づいてきた。
『ちょっと貴方、何してるの?!兄さんから離れてっ!!』
『兄さん兄さんって貴方の兄さんじゃないでしょ?!』
意地でも離れないとばかりに抱きついて反論する愛華。
その抱擁の際に傷口が締め付けられ、カインが呻いた。
『うっ』
『あ、カインさん!!ごめんなさい…』
愛華が慌てて謝罪をして腕の力を弱めたところで、セツカが心配そうにカインを覗き込む。
『兄さん、大丈夫?!』
『くっ…セツ…』
セツカが何処かに行ってしまわないように手を伸ばしたカインはギュっとセツカの腕を掴んだ。
グイっと引っ張るカインに促されるまま、セツカもベッドに乗り上げた。
右側にセツカを抱き締め、左側を愛華に抱きつかれるような形で落ち着いた三人。
ベッドの上で仲が良いのか悪いのかわからないような言い争いをする二人の女に挟まれて、カインはセツカの髪を梳きながら、眠りに着いたのだった。
熱い!熱くて熱くて溶けちゃいそう!!
セツカは必死で目の前の唇を貪る男の首にしがみ付いた。
唾液と唾液が混ざり合って熱い液体が口の中に流し込まれる。
『ん…ふ…』
隣で眠っている愛華を起こさないように気を使いセツカは必死でカインのキスに答えていた。
とろとろに溶かされる思考。溺れてしまいそうな感覚になりながらも彼の全てを感じたいと神経が研ぎ澄まされる。
流し込まれる唾液の味、舌の感触、唇の甘さ。
重ねられた身体の熱さも重みも全てが愛おしくて夢中になる。
『ふぁ…に…さん…』
『セツ…セツカ…』
耳元で囁くように普段聞かないくらい甘く熱で浮かされた声で名を呼ばれセツカの心が震える。
隣に寝ている愛華が寝返りを打つたび、ピクリと身体が反応するのだが、カインはそんな愛華を見向きもしない。
愛華はどうやら一度眠ったらなかなか起きないようだ。
ちょっとした罪悪感と背中を駆け抜ける歓喜。
キスに酔わされ、身体を弄る大きな掌に身を任せているうちにいつの間にか衣服を剥ぎ取られていたセツカはカインとその夜一つになったのだった。
貪り尽くされた身体を抱え上げられ、運ばれた先はバスルーム。
頭から清められる。
しかし、その間にも清める為の動きをしていたはずの手が不埒な動きを始め、熱がまた呼び覚まされてしまった。
互いへの執着心は底知れず、互いが互いを離すまいと想いと身体をぶつけ合う。
愛してるなんて言葉では言い表せない想いを互いに抱えて、一つになる感動に身を焦がしたのだった。
END
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*****
愛華ちゃんファンの皆様ごめんなさいっ!!
最後はやっぱり二人をイチャイチャさせてあげたかったのです!!
愛華ちゃんとのキスシーンを見てしまったセツカをこれ以上不安にさせたくなくてキスしちゃったら止まらなくなっちゃったんだと思います!
今度こそ堂々とENDです♪(≧∇≦)
お付き合い頂きありがとうございました!!
こちらは嫉妬セツカちゃん、女のバトル?!がテーマです♪
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ピクリと何かを感じて、カインは目を覚ました。
慌てて身を起こして、痛む腹部を抑えながらも外の様子を伺うため、カーテンを少しだけ開けて外を伺い、目にした光景にチッと軽く舌打ちをした。
『ん…兄さん…?』
急に起きたカインの様子を訝しみながら、セツカも目をこすりつつ身を起こした。
『出るぞ!』
カインは急いで部屋の中に戻り、クローゼットからいつもと違うテイストの服を取り出すとそれを身に纏った。
『兄さん?何かあったの?暫く安静にしてなきゃ…』
『セツ…お前はこれを着ろ!』
突然思い立ったように外出の用意を始めたカインを見て、セツカは訝しむ。
投げ渡されたのはカインの黒Tシャツ。
『これ…?』
ダボッとしたその服を一度広げたセツカは説明を求めるようにカインを見たが、カインはピリピリとした空気を発している。
『早くしろっ』
『…わかったわ。』
言われたとおり服を羽織ると、ぶかぶかの服はやはりと言うべきか膝上8cmくらいのワンピース風になってしまった。
大きく空いた襟元が心許ないが文句も言ってられない。
しかし、そんなセツカを見たカインは一瞬、フリーズし、慌てて視線を逸らして意識を立て直すと、すぐにいつもの顔でセツカに言った。
『…その格好じゃ出歩けないな…。仕方ない。時間がないから暫く姿を隠してもらうがいいか?』
『ええ。貴方の支持に何でも従うわ。』
『悪いな。少しだけ我慢してくれ。』
そう言って、カインは手早くセツカをシーツで包んで隠した。
顔まで全て隠して荷物のように抱えあげると、カインはセツカに指示を出す。
『喋るな、動くな。いいな?』
『えぇ。』
しっかりと頷くセツカを確認して、カインは部屋を抜け出したのだった。
エレベーターは使わず階段からセツカを肩に担いだまま、カインは駆け下りた。
そしてその間にカインは独り言のように呟く。
『依頼をしくじった…。組織がそれに気付いて俺を消しに来たようだ。』
セツカはシーツの中でそれを聞き、気を引き締めた。
ホテルを抜け出すのかと思いきや、カインは数階下のホテルの部屋にノックをして合図を送った。
暫くして開かれたドアから弾むような女の声がして、セツカはピクリと反応した。
『カインさん!!来てくれたのねっ!!!!』
『邪魔するぞ。』
勝手に中に入り、ズカズカと進む。
『ね?ね?愛華に会いに来てくたの?!』
『追われてる。暫く邪魔する。』
『いつまででもどうぞ!!カインさんの頼みなら愛華なんだって聞いちゃうっ!!』
窓の外を見て、カーテンを閉めると、カインはそっと大切そうにセツカを包んだシーツをベッドに下ろした。
『何が入ってるの?愛華へのプレゼント?』
『黙れ。うるさい。』
テンション高くはしゃぐ愛華を一括して、カインはシーツを取り払った。
すると無表情のセツカが顔を出す。
『え…何この子?』
愛華はセツカの姿を見て目を見開く。
そしてカインとセツカを何度も見比べた。
『セツ…怪我はないか?』
『………えぇ。』
『そうか…』
セツカの答えを聞いてホッとしたように息を吐いたカインだが、セツカは起き上がると、プイッとカインに背中を向けた。
『?おい…?』
『私は行くわよ。お邪魔虫みたいだし。二人で仲良くしたら?カ・イ・ン兄さん』
『っ!おいっ!!』
勝手に出て行こうとするセツカの腕を慌ててカインが掴む。
『っ離してっ!』
『何、怒ってる?』
『別に。怒ってない。』
『怒ってるだろ?』
『怒ってない!!』
『本当に…?』
『放っておいて。』
『放っておけると思うか?どこ行く気だ?!』
『兄さんには関係ないでしょ?元々名前も知らない赤の他人なんだし。』
『おいっ!第一行くとこなんてないだろ?』
『そんなの適当に探せばいくらでも見つかるわよ。』
完全に臍を曲げてしまったセツカをカインは抱き締めた。
『っ!!』
『行くな…セツカ。』
カインはセツカの頭に顔を埋めて懇願する。
そんなカインの言動にセツカは真っ赤になり、愛華は信じられないものを見るように目を見開いた。
暫くの沈黙の後、セツカは短く息を吐き出した。
それにカインはピクリと反応する。
『わかったわ。行かない。貴方の側にいる。』
セツカがカインの腕に手を添えて、答えると、カインのセツカを抱きしめる腕に更に力が加わった。
『いろ。ずっと…。』
甘い空気が漂い出したところに水を差したのは、愛華だった。
先ほどまでのテンションの高さはどこに行ったのかと聞きたくなるほど冷たい声で、セツカに不満をぶつける。
『貴方、誰よ?何でカインさんとそんなに…?!』
ワナワナと震える愛華に見せつけるようにセツカはカインの首に手を回して、愛華に向けて不敵な笑みを浮かべた。
『アタシ?アタシはセツカ。このおにーさんに命を救われたの。だから私は彼のものよ?』
『セツ…俺もお前に救われた。だから俺もお前のものだ。』
カインの瞳に吸い込まれそうな感覚になりながら、セツカはカインを見つめた。
『兄さん…』
カインの顔が近付き、瞼が自然と落ちる。
触れるかに思えた唇はまたもや愛華に遮られた。
『カインさん!!』
グイっとカインの腕を引いた愛華に邪魔されて、ギロリとカインが愛華を睨んだが、愛華は負け時と睨み返した。
『…何だ?』
柔らかな身体を抱き締めた腕は緩めずに不機嫌を露わにした顔を出す。
『ここ、愛華の部屋なんだけどっ!勝手に人連れ込まないでくれますか?!』
愛華の言葉に、カインが呆れた顔を見せる。
『一人も二人も一緒だろう?』
『そーいう問題じゃないのっ!!そしてセツカさん!!私のカインさんから離れてっ!!』
『…いつ俺がお前のになった。』
『だって、兄さんが離してくれないんだもの。』
セツカは挑発するようにカインを抱き締め、その身体に頬を寄せた。
その身体を愛おしそうに抱きとめたカインだが不意にウッと顔を顰めた。
膝からガクンと崩れかけたカインをセツカが慌てて支えた。
『兄さんっ!!』
『カインさんっ?!』
『…大丈夫だ…。』
『傷口が開いたんじゃ…!ちょっと貴方、ベッドを貸してっ!』
『う、うんっ!カインさんどうしたの?!』
『撃たれたのよ昨日、手当はしたんだけど…』
血が滲み出したカインの腹部を見て、愛華は青ざめた。
『びょ、病院っ!救急車っ!!』
『貴方バカなの?追われてるのよ!病院なんて行けるわけないでしょ?!消毒液くらいないの?!』
『あ、それなら確かここに…』
『貸してっ!』
愛華から奪い取って手当てを施すセツカだが、愛華は傷口に悲鳴を上げて直視も出来なかった。
献身的に傷の手当てをしてくれるセツカをカインは痛みに耐えながら黙って見ていた。
愛華は手当てが出来ない代わりにセツカの支持に従って準備を整えた。
『これで…よしっと…。』
包帯の代わりに愛華がシーツを引き裂いたものをセツカがカインの腹部に巻いた。
ちょっと染みたものの、先ほどより少し痛みが和らぎ、カインはホッと息を吐いた。
『はい!完了っ!』
『ありがとう…セツ…』
『カインさん、無理しすぎは良くないですよ!』
『あぁ…。迷惑かけた。』
『いえ、私は殆ど手当て出来ませんでしたし…。』
『愛華、悪いんだがお前の服をセツに貸してやってくれないか?』
『えーーー!!なんで愛華が?!』
『頼む…。』
『うっ。もう…カインさんの頼みなら断れないじゃないですかぁー!!』
愛華はプンプン文句を言いながらも、引っ張り出して来た服をずいっとセツカに渡した。
『はい!早く着替えなさいよ!』
律儀に下着までようしてくれたことにセツカは目を見開いた。
『…ありがとう。』
『べっつに!あんたのためじゃないんだからっ!』
プイッとそっぽを向いた愛華に苦笑して、着替えてくるわ。とセツカは脱衣所へ向かった。
その後ろ姿を追うように見つめるカインの視線を遮るように愛華がヒョイっとカインを覗き込んだ。
カインは遮られたことで不機嫌そうに眉間に皺を寄せ視線を逸らした。
『ねぇ、カインさん。愛華さみしかった…。』
そんなカインに構わず愛華はベッドに背中を預けたカインに擦り寄る。
『………。』
無視するカインに愛華は構わず抱き着く。
『頼ってくれて嬉しかったよ?』
『…離れろ。』
『セツカさんは良くて何で私はダメなの?ね?カインさん知ってるでしょ?愛華はずっとずっとカインさんが好きなんだよ?ね?カインさん…』
カインは溜息をついた。
一度気まぐれで助けてしまった時から何故か懐かれているのだ。
『カインさん、本気で好きなの。好き…。』
そう言って、愛華が唇を重ねて来た。
急に唇を重ねられて驚いたカインがそっと顔を背けて離れようとするも、愛華はそれを追ってまた重ねてくる。そんな二人をセツカは見てしまった。
バサリという布の落ちる音で、ハッとしてカインがそちらを向くとセツカが顔を真っ赤にしてフルフルと睨んでいた。
『セツ…これは…』
また出て行こうとするかもしれないと慌てたカインが弁解しようとしたが、その心配とは裏腹にセツカは怒りを露わにズンズンと近づいてきた。
『ちょっと貴方、何してるの?!兄さんから離れてっ!!』
『兄さん兄さんって貴方の兄さんじゃないでしょ?!』
意地でも離れないとばかりに抱きついて反論する愛華。
その抱擁の際に傷口が締め付けられ、カインが呻いた。
『うっ』
『あ、カインさん!!ごめんなさい…』
愛華が慌てて謝罪をして腕の力を弱めたところで、セツカが心配そうにカインを覗き込む。
『兄さん、大丈夫?!』
『くっ…セツ…』
セツカが何処かに行ってしまわないように手を伸ばしたカインはギュっとセツカの腕を掴んだ。
グイっと引っ張るカインに促されるまま、セツカもベッドに乗り上げた。
右側にセツカを抱き締め、左側を愛華に抱きつかれるような形で落ち着いた三人。
ベッドの上で仲が良いのか悪いのかわからないような言い争いをする二人の女に挟まれて、カインはセツカの髪を梳きながら、眠りに着いたのだった。
熱い!熱くて熱くて溶けちゃいそう!!
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唾液と唾液が混ざり合って熱い液体が口の中に流し込まれる。
『ん…ふ…』
隣で眠っている愛華を起こさないように気を使いセツカは必死でカインのキスに答えていた。
とろとろに溶かされる思考。溺れてしまいそうな感覚になりながらも彼の全てを感じたいと神経が研ぎ澄まされる。
流し込まれる唾液の味、舌の感触、唇の甘さ。
重ねられた身体の熱さも重みも全てが愛おしくて夢中になる。
『ふぁ…に…さん…』
『セツ…セツカ…』
耳元で囁くように普段聞かないくらい甘く熱で浮かされた声で名を呼ばれセツカの心が震える。
隣に寝ている愛華が寝返りを打つたび、ピクリと身体が反応するのだが、カインはそんな愛華を見向きもしない。
愛華はどうやら一度眠ったらなかなか起きないようだ。
ちょっとした罪悪感と背中を駆け抜ける歓喜。
キスに酔わされ、身体を弄る大きな掌に身を任せているうちにいつの間にか衣服を剥ぎ取られていたセツカはカインとその夜一つになったのだった。
貪り尽くされた身体を抱え上げられ、運ばれた先はバスルーム。
頭から清められる。
しかし、その間にも清める為の動きをしていたはずの手が不埒な動きを始め、熱がまた呼び覚まされてしまった。
互いへの執着心は底知れず、互いが互いを離すまいと想いと身体をぶつけ合う。
愛してるなんて言葉では言い表せない想いを互いに抱えて、一つになる感動に身を焦がしたのだった。
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