☆アメンバー様200人達成!&ブログ3ヶ月記念大感謝祭☆
………………
………ええっと…
………これは、いつの話?
…という感じですよね…(汗)
……えぇ、申し訳ありません!!
アメンバー様200名って…ブログ3ヶ月って…
あぁぁ!!皆様の白くなっている目の色が目に浮かぶぅぅ!!Σ(゚д゚lll)
いやはや、もう、本当に本当に申し訳ありません!!
本当に何だか続きを書くのが辛すぎて、中々進められませんでした。
これを書いてた当初はキスシーンですらもUPするのをひーー!恥ずかしいー!!なんて内心で言ってた頃ですからね。
あの時の恥じらいはどこに行ってしまったのかという今だからこそこの話の続きがかけるのかもしれません…。
色々な蓮キョがある中で今回の話は風月の中で異色中の異色?!
特に今回のお話には蓮キョ以外の絡みがあります!!(>_<)
※蓮様がキョーコちゃん以外とだなんて許せない!!と言う方は絶対に読まない方がいいお話になっちゃってますのでご注意ください!!
風月もこんなの嫌だー!!と思うのですが、こうでもしないとお話に進展が生まれなそうなので、ちょっと頑張って見ました!!
それでは本当に遅くなってしまいましたが、重い腰を上げてすっかり住み着いてしまった魔人様の罠から脱出を試みたいと思います!!
この話…どこにどう転がって行くのか予測不能すぎて怖いのですが、最後には蓮キョのハピエンに持っていけるように頑張りますので応援よろしくお願い申し上げます!!
*****
貴方からの距離 4《リクエスト》
テレビに蓮の姿が映っていた。
泉の言葉を受けて蓮から避けるようになってから二ヶ月が経っていた。
キョーコは自宅のテレビに映る蓮を見ながら、物思いに耽っていた。
「何だか本当に遠い人になっちゃったな…」
言葉と共に口から零れるのは少し重いため息。
「ちゃんと…ご飯食べてるかな?」
キョーコに人気が出て会えない日が続くことはあっても、お互いに忙しいのだからさほど気になってはいなかった。
だけど、意識的に離れるようにしてからは、今まで捻出していた会えるはずだった時間に寂しさが込み上げるようになっていた。
自分から離れたくせに、他の女優さんと楽しそうに会話をする姿を見る度に胸の奥がジリジリと妬ける気がする。
廊下ですれ違ったあの日から蓮からのコンタクトもなくなり、本当に繋がりが切れてしまったように思う。
それがどうしようもなくキョーコの心を沈めてしまうのだ。
「これも、敦賀さんの為なのよ。」
そう自分に言い聞かせるたび、鉛が落ちてきたようにズシンと心に痛みが広がった。
もちろん、ただ蓮を避けていたわけではない。蓮に頼り過ぎていた自分を変えるために沢山の努力をしてきた。
演技で行き詰まった時は、共演者に相談してみたり、今だ交流の深いブリッジロックのお兄ちゃんズとご飯に行って話を聞いてもらったり。
積極的に出会いを作って気分を紛らわせようともしてみたのだが、どうしても気付けば心ここにあらずになってしまう。
そうしてつい先日、キョーコは泉から蓮と共演するという話を聞いていた。
「敦賀さんと、共演かぁ~。いいなぁ。」
今回はダブル主演で、しかもゴールデンタイムに放送される濃い目の恋愛ドラマだというのだから、流石としか言いようがない。
「…本当にこれで、良かったのかな?」
テレビにドラマの番宣で映る蓮は、いつもの似非紳士笑顔だが、どうもキョーコにはいつもとは違うように見えていた。
「…これで、敦賀さんも幸せになれるのかな?」
自分以外の女性と仲良く歩く姿が脳裏に浮かんで、キョーコは少しだけ目頭が熱くなる感覚を覚えた。
ーーーイヤだ…な…。
膝を抱えて丸くなる。
手で固く握り込んで、キョーコはグスッと小さく鼻を鳴らしたのだった。
鳴らない携帯電話を片手に、蓮はソファに凭れかかってただひたすらぼーっとしていた。
電気を付ける気にもならなくて、暗い室内で、ただただ闇を見つめる。
その方が落ち着ける気がするのだ。
泉から聞いたキョーコの好きだという男のことを調べたら同じ事務所のキョーコと同じタレントであることが判明した。
性格は素行も何も問題のない男で、人畜無害という言葉はこの男の為にあるのではないかと思うほどだ。
闇に染まった自分よりもよっぽどキョーコにはお似合いだろう。
その事実が蓮の胸を苦しめた。
『知らなかった?京子ちゃん、彼のことずっと好きだったのよ。』
あれから数日。何度も何度も脳内でリピートされる衝撃の言葉。
ーーーもう恋愛なんて愚かなことはしないと…言ってたのに…!
いつの間に彼女は新しい恋をしていたというのか…。
ーーー…よかった…じゃないか…これで復讐なんて馬鹿なことに囚われないで済むんだ…。彼女の笑顔が見れるならそれで…。
認めようとすれば認めようとするほど、胸が締め付けられるように痛む。
グッと握り締めた掌と閉じた瞼。
彼女の幸せを願いたいのに願えない。
そのことが辛くてたまらなかった。
「あら?京子ちゃんどうしたの?元気ないわね?」
「あ、泉さん…おはようございます!」
「おはよう。まだ入りまで時間あるわよね?私の楽屋まで来る?」
「でも…ご迷惑じゃ…」
「くす。迷惑なんかじゃないわ。いらっしゃい。」
憧れの泉からそう言われては断る理由も特に見つからず、キョーコは泉に促されるまま、楽屋に訪れたのだった。
「ふーん?それで悩んでるの?」
「悩んでる…と言いますか、モヤモヤすると言うか…。」
「そう…。もしかして、好きだったりして?敦賀君のこと。」
キョーコは首まで一気に赤らめると全力で否定した。
「なっ?!ち、違います!!あり得ません!!そんなおこがましい想い抱いてなんてないですから!!」
そんなキョーコの反応に、泉はまん丸に目を見開いてそしてクスクスと笑った。
「ふふ。なんだ。良かった。」
ーーー良かった…?
キョーコの中で少しだけ感じた違和感は、すぐに別のことに意識が向いたことで身を潜めた。
ストールを外して現れた白い首筋が赤くなっていたのだ。
「あれ?泉さん、首…赤くなってますよ?虫刺されですか?」
「え…あぁ、やだ。コレ?実は昨日、彼がなかなか離してくれなくて…。」
「え…それって…」
キョーコはボフンと真っ赤になってしまった。
それはつまり、所謂キスマークと呼ばれるもので、つまりはそう言う相手が泉には居ると言うことなのだ。
「ふふ。内緒にしてね?京子ちゃんには特別に教えちゃったけど、まだ付き合い始めたばかりなの。」
彼…激しくって…と、照れたように笑う泉にキョーコはコクコクと真っ赤な顔で必死に頷くのだった。
それから数日。
ーーーあ、敦賀さんだ!
口を開こうとして、慌てて閉じる。
泉にアドバイスを受けて距離を置こうと意識してからは挨拶の為に声をかけることも、躊躇してしまうようになったのだ。
だけど、そこで見てはいけないものをキョーコは見てしまった。
「蓮!」
そう彼を呼んだのは泉だった。
ーーーえ…?何で泉さん、蓮って…確か前まで敦賀君って呼んでたのに…。
「泉…」
蓮の口から漏れた呼び名に、キョーコの足元がガラガラと音を立てて崩れた気がした。
ーーーウソ…泉さんの、彼氏って…
キョーコの目の前が真っ暗な闇に包まれる。
ーーーこの間の、キスマークも…敦賀さんが…?
仲良さそうに自然に腕を絡めて歩く姿を呆然と見送って、キョーコはツウっと零れ落ちた己の涙にさえ気付けなかった。
先程の情景が尾を引いて、キョーコは中々演技に集中出来なかった。
何度もNGを連発し、共演者のみならず監督からも心配される始末。
一旦休憩を言い渡され、キョーコはスタジオに残ることも出来ず、楽屋に引き上げようとスタジオを後にした。
「京子ちゃん!!」
スタジオを出たキョーコを共演者の光が追いかけてきた。
「光さん…」
上目遣いで縋るような視線を送られて、光はドキンと心臓を跳ねさせた。
「ご迷惑おかけしてしまって…申し訳ありません。」
ペコンと頭を下げたキョーコに光はワタワタと慌てる。
「わっ!京子ちゃん、大丈夫だから、頭上げて?ね?」
必死で頭を上げさせて、光は困ったように視線を逸らしながら頬をポリポリとかいた。
「何かあったんじゃないか…って思ってさ。俺で、良かったら…あの、話ぐらいなら聞けるから…さ…。」
光の申し出は嬉しかった。
だけど、楽屋に招くことも招かれることももうそんなこともないだろうと心の中で思っていても期待を捨て切れなくて、あとあと蓮に指摘されるのが嫌で、二人っきりになることは避けるため、キョーコは光と自動販売機の置いてあるフリースペースに向かうことにした。
「はい。どうぞ。」
紙カップ一杯ぐらい奢らせてと笑う光に甘えて、ご馳走になる。
「ありがとう…ございます…」
「いいんだよ。これ飲めば少しは落ち着く…かな?」
フワッとキョーコが寂しげに笑う。
一口啜ってブラックのコーヒーが生み出す苦味が、キョーコの口一杯に広がった。
この苦味が蓮への想いに勝手にリンクしてしまい、ハラハラと転がり落ちた涙を止める術を見つけられなくて、声もなく涙を流し始めたキョーコにギョッとした光は、慌てて周りを見渡して、誰もいないことを確認すると、そっとキョーコの身体を優しく抱き締めた。
「きょ、京子ちゃん、大丈夫。大丈夫だから、ね?」
優しくポンポンと背中を叩いて、慰める光の腕の中で、キョーコはただ只管、蓮のことを思っていた。
『きょ、京子ちゃん、大丈夫。大丈夫だから、ね?』
聞こえた名前に、蓮の耳がピクンと反応した。
そうして見やった視線の先で、見つけてしまったのは光の腕の中で泣くキョーコの姿で、蓮の胸が止まりそうなほど苦しくなった。
だから、グッと拳を握り込んで、その場から逃げるように背中を向け立ち去ることしか出来なかったのだ。
「今日はまた、一段と激しいのね…?」
ホテルの部屋へ招き入れた瞬間、唇を荒々しく奪われて、泉は呼吸を乱しながらもうっそりと妖しく笑った。
キョーコのことで心が乱されて自分を保てなくなってしまった蓮。
その蓮を誘ったのが泉だった。
『敦賀君、貴方、京子ちゃんのことが好きだったのね…?』
頬を撫でる掌が無償に蓮の心を抉る。
『可哀想に…。』
ーーー貴方のせいでしょう?
なんて喉まで出かかった言葉は飲み込んだ。
違うのだ、それはキョーコが選んだ道なのだから、誰のせいでもないことはわかっている。
でも、誰かのせいにしてしまいたかった。
自分からキョーコを奪ったのを泉のせいにしてしまいたかった。
自分に向けていたはずの尊敬の眼差しを泉に取られ、演技の相談も、当然のように同性である泉にするのようになり、キョーコが蓮を訪ねて来ることも社に依頼されて来るのが主になった。
そして彼女は自分ではない男を選んだのだ。
好青年の中の好青年といわれる男を…。
そっと、泉の手が蓮の頬を包み込み、知らずに流れた涙をそっと拭った。
『いいのよ?私に彼女を重ねても…。もしかしたらヤキモチ…妬いてもらえるかもしれないわよ?』
そう言って優しく重ねられた唇に、行き場を失ったキョーコへの蓮の想いは行き場を変えて暴走してしまったのだった。
キョーコを傷付けない為に泉を抱く。
それがキョーコの涙の原因だと気付けない蓮は、何度も何度もキョーコの名前を呼びながら泉を身代わりにして思いのままに激情を吐き出した。
心の中で血の涙を流して、ただただ蓮の中に溢れて来るのはキョーコへの想いだけだった。
一度開いてしまった距離は…簡単には埋まらない…埋められない…。
キョーコを深く想う気持ちが益々溝を深める結果となることがわかっていながら、蓮はもう後に引けなくなってしまった。
(続く)
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*****
うえーーん!!蓮様の馬鹿ぁぁぁぁ!!!!(泣)
………………
………ええっと…
………これは、いつの話?
…という感じですよね…(汗)
……えぇ、申し訳ありません!!
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あぁぁ!!皆様の白くなっている目の色が目に浮かぶぅぅ!!Σ(゚д゚lll)
いやはや、もう、本当に本当に申し訳ありません!!
本当に何だか続きを書くのが辛すぎて、中々進められませんでした。
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あの時の恥じらいはどこに行ってしまったのかという今だからこそこの話の続きがかけるのかもしれません…。
色々な蓮キョがある中で今回の話は風月の中で異色中の異色?!
特に今回のお話には蓮キョ以外の絡みがあります!!(>_<)
※蓮様がキョーコちゃん以外とだなんて許せない!!と言う方は絶対に読まない方がいいお話になっちゃってますのでご注意ください!!
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それでは本当に遅くなってしまいましたが、重い腰を上げてすっかり住み着いてしまった魔人様の罠から脱出を試みたいと思います!!
この話…どこにどう転がって行くのか予測不能すぎて怖いのですが、最後には蓮キョのハピエンに持っていけるように頑張りますので応援よろしくお願い申し上げます!!
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貴方からの距離 4《リクエスト》
テレビに蓮の姿が映っていた。
泉の言葉を受けて蓮から避けるようになってから二ヶ月が経っていた。
キョーコは自宅のテレビに映る蓮を見ながら、物思いに耽っていた。
「何だか本当に遠い人になっちゃったな…」
言葉と共に口から零れるのは少し重いため息。
「ちゃんと…ご飯食べてるかな?」
キョーコに人気が出て会えない日が続くことはあっても、お互いに忙しいのだからさほど気になってはいなかった。
だけど、意識的に離れるようにしてからは、今まで捻出していた会えるはずだった時間に寂しさが込み上げるようになっていた。
自分から離れたくせに、他の女優さんと楽しそうに会話をする姿を見る度に胸の奥がジリジリと妬ける気がする。
廊下ですれ違ったあの日から蓮からのコンタクトもなくなり、本当に繋がりが切れてしまったように思う。
それがどうしようもなくキョーコの心を沈めてしまうのだ。
「これも、敦賀さんの為なのよ。」
そう自分に言い聞かせるたび、鉛が落ちてきたようにズシンと心に痛みが広がった。
もちろん、ただ蓮を避けていたわけではない。蓮に頼り過ぎていた自分を変えるために沢山の努力をしてきた。
演技で行き詰まった時は、共演者に相談してみたり、今だ交流の深いブリッジロックのお兄ちゃんズとご飯に行って話を聞いてもらったり。
積極的に出会いを作って気分を紛らわせようともしてみたのだが、どうしても気付けば心ここにあらずになってしまう。
そうしてつい先日、キョーコは泉から蓮と共演するという話を聞いていた。
「敦賀さんと、共演かぁ~。いいなぁ。」
今回はダブル主演で、しかもゴールデンタイムに放送される濃い目の恋愛ドラマだというのだから、流石としか言いようがない。
「…本当にこれで、良かったのかな?」
テレビにドラマの番宣で映る蓮は、いつもの似非紳士笑顔だが、どうもキョーコにはいつもとは違うように見えていた。
「…これで、敦賀さんも幸せになれるのかな?」
自分以外の女性と仲良く歩く姿が脳裏に浮かんで、キョーコは少しだけ目頭が熱くなる感覚を覚えた。
ーーーイヤだ…な…。
膝を抱えて丸くなる。
手で固く握り込んで、キョーコはグスッと小さく鼻を鳴らしたのだった。
鳴らない携帯電話を片手に、蓮はソファに凭れかかってただひたすらぼーっとしていた。
電気を付ける気にもならなくて、暗い室内で、ただただ闇を見つめる。
その方が落ち着ける気がするのだ。
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性格は素行も何も問題のない男で、人畜無害という言葉はこの男の為にあるのではないかと思うほどだ。
闇に染まった自分よりもよっぽどキョーコにはお似合いだろう。
その事実が蓮の胸を苦しめた。
『知らなかった?京子ちゃん、彼のことずっと好きだったのよ。』
あれから数日。何度も何度も脳内でリピートされる衝撃の言葉。
ーーーもう恋愛なんて愚かなことはしないと…言ってたのに…!
いつの間に彼女は新しい恋をしていたというのか…。
ーーー…よかった…じゃないか…これで復讐なんて馬鹿なことに囚われないで済むんだ…。彼女の笑顔が見れるならそれで…。
認めようとすれば認めようとするほど、胸が締め付けられるように痛む。
グッと握り締めた掌と閉じた瞼。
彼女の幸せを願いたいのに願えない。
そのことが辛くてたまらなかった。
「あら?京子ちゃんどうしたの?元気ないわね?」
「あ、泉さん…おはようございます!」
「おはよう。まだ入りまで時間あるわよね?私の楽屋まで来る?」
「でも…ご迷惑じゃ…」
「くす。迷惑なんかじゃないわ。いらっしゃい。」
憧れの泉からそう言われては断る理由も特に見つからず、キョーコは泉に促されるまま、楽屋に訪れたのだった。
「ふーん?それで悩んでるの?」
「悩んでる…と言いますか、モヤモヤすると言うか…。」
「そう…。もしかして、好きだったりして?敦賀君のこと。」
キョーコは首まで一気に赤らめると全力で否定した。
「なっ?!ち、違います!!あり得ません!!そんなおこがましい想い抱いてなんてないですから!!」
そんなキョーコの反応に、泉はまん丸に目を見開いてそしてクスクスと笑った。
「ふふ。なんだ。良かった。」
ーーー良かった…?
キョーコの中で少しだけ感じた違和感は、すぐに別のことに意識が向いたことで身を潜めた。
ストールを外して現れた白い首筋が赤くなっていたのだ。
「あれ?泉さん、首…赤くなってますよ?虫刺されですか?」
「え…あぁ、やだ。コレ?実は昨日、彼がなかなか離してくれなくて…。」
「え…それって…」
キョーコはボフンと真っ赤になってしまった。
それはつまり、所謂キスマークと呼ばれるもので、つまりはそう言う相手が泉には居ると言うことなのだ。
「ふふ。内緒にしてね?京子ちゃんには特別に教えちゃったけど、まだ付き合い始めたばかりなの。」
彼…激しくって…と、照れたように笑う泉にキョーコはコクコクと真っ赤な顔で必死に頷くのだった。
それから数日。
ーーーあ、敦賀さんだ!
口を開こうとして、慌てて閉じる。
泉にアドバイスを受けて距離を置こうと意識してからは挨拶の為に声をかけることも、躊躇してしまうようになったのだ。
だけど、そこで見てはいけないものをキョーコは見てしまった。
「蓮!」
そう彼を呼んだのは泉だった。
ーーーえ…?何で泉さん、蓮って…確か前まで敦賀君って呼んでたのに…。
「泉…」
蓮の口から漏れた呼び名に、キョーコの足元がガラガラと音を立てて崩れた気がした。
ーーーウソ…泉さんの、彼氏って…
キョーコの目の前が真っ暗な闇に包まれる。
ーーーこの間の、キスマークも…敦賀さんが…?
仲良さそうに自然に腕を絡めて歩く姿を呆然と見送って、キョーコはツウっと零れ落ちた己の涙にさえ気付けなかった。
先程の情景が尾を引いて、キョーコは中々演技に集中出来なかった。
何度もNGを連発し、共演者のみならず監督からも心配される始末。
一旦休憩を言い渡され、キョーコはスタジオに残ることも出来ず、楽屋に引き上げようとスタジオを後にした。
「京子ちゃん!!」
スタジオを出たキョーコを共演者の光が追いかけてきた。
「光さん…」
上目遣いで縋るような視線を送られて、光はドキンと心臓を跳ねさせた。
「ご迷惑おかけしてしまって…申し訳ありません。」
ペコンと頭を下げたキョーコに光はワタワタと慌てる。
「わっ!京子ちゃん、大丈夫だから、頭上げて?ね?」
必死で頭を上げさせて、光は困ったように視線を逸らしながら頬をポリポリとかいた。
「何かあったんじゃないか…って思ってさ。俺で、良かったら…あの、話ぐらいなら聞けるから…さ…。」
光の申し出は嬉しかった。
だけど、楽屋に招くことも招かれることももうそんなこともないだろうと心の中で思っていても期待を捨て切れなくて、あとあと蓮に指摘されるのが嫌で、二人っきりになることは避けるため、キョーコは光と自動販売機の置いてあるフリースペースに向かうことにした。
「はい。どうぞ。」
紙カップ一杯ぐらい奢らせてと笑う光に甘えて、ご馳走になる。
「ありがとう…ございます…」
「いいんだよ。これ飲めば少しは落ち着く…かな?」
フワッとキョーコが寂しげに笑う。
一口啜ってブラックのコーヒーが生み出す苦味が、キョーコの口一杯に広がった。
この苦味が蓮への想いに勝手にリンクしてしまい、ハラハラと転がり落ちた涙を止める術を見つけられなくて、声もなく涙を流し始めたキョーコにギョッとした光は、慌てて周りを見渡して、誰もいないことを確認すると、そっとキョーコの身体を優しく抱き締めた。
「きょ、京子ちゃん、大丈夫。大丈夫だから、ね?」
優しくポンポンと背中を叩いて、慰める光の腕の中で、キョーコはただ只管、蓮のことを思っていた。
『きょ、京子ちゃん、大丈夫。大丈夫だから、ね?』
聞こえた名前に、蓮の耳がピクンと反応した。
そうして見やった視線の先で、見つけてしまったのは光の腕の中で泣くキョーコの姿で、蓮の胸が止まりそうなほど苦しくなった。
だから、グッと拳を握り込んで、その場から逃げるように背中を向け立ち去ることしか出来なかったのだ。
「今日はまた、一段と激しいのね…?」
ホテルの部屋へ招き入れた瞬間、唇を荒々しく奪われて、泉は呼吸を乱しながらもうっそりと妖しく笑った。
キョーコのことで心が乱されて自分を保てなくなってしまった蓮。
その蓮を誘ったのが泉だった。
『敦賀君、貴方、京子ちゃんのことが好きだったのね…?』
頬を撫でる掌が無償に蓮の心を抉る。
『可哀想に…。』
ーーー貴方のせいでしょう?
なんて喉まで出かかった言葉は飲み込んだ。
違うのだ、それはキョーコが選んだ道なのだから、誰のせいでもないことはわかっている。
でも、誰かのせいにしてしまいたかった。
自分からキョーコを奪ったのを泉のせいにしてしまいたかった。
自分に向けていたはずの尊敬の眼差しを泉に取られ、演技の相談も、当然のように同性である泉にするのようになり、キョーコが蓮を訪ねて来ることも社に依頼されて来るのが主になった。
そして彼女は自分ではない男を選んだのだ。
好青年の中の好青年といわれる男を…。
そっと、泉の手が蓮の頬を包み込み、知らずに流れた涙をそっと拭った。
『いいのよ?私に彼女を重ねても…。もしかしたらヤキモチ…妬いてもらえるかもしれないわよ?』
そう言って優しく重ねられた唇に、行き場を失ったキョーコへの蓮の想いは行き場を変えて暴走してしまったのだった。
キョーコを傷付けない為に泉を抱く。
それがキョーコの涙の原因だと気付けない蓮は、何度も何度もキョーコの名前を呼びながら泉を身代わりにして思いのままに激情を吐き出した。
心の中で血の涙を流して、ただただ蓮の中に溢れて来るのはキョーコへの想いだけだった。
一度開いてしまった距離は…簡単には埋まらない…埋められない…。
キョーコを深く想う気持ちが益々溝を深める結果となることがわかっていながら、蓮はもう後に引けなくなってしまった。
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