☆アメンバー様200人達成!&ブログ3ヶ月記念大感謝祭☆

魔人様ことsei様のリクエストです!
罠の中に嵌って2年強!!
流石にそろそろ抜け出せねばヤバイ!
…ということでもがいております(笑)

さぁ、この辺から少しずつ進展して行くかな?
蓮キョ以外の絡みがありますので苦手な方はご注意下さいませ!



*****


貴方からの距離 6《リクエスト》


「ねー敦賀さんってさ、本当に白石泉とデキてんのかな?」

「さぁ?でもさ、白石さんっていえばほら、なんか良くない噂あるじゃない?」

「あぁ。あれ?蛇女…だっけ?」

「そうそれ!!人の男を寝取るのが趣味って噂!!」

「えー!!何それ!!知らない!初耳!!」

「うっそー!あーでも知らないのも無理ないか…ほら、あんなイメージ定着してるからさ、聞いた方も半信半疑って言うか…まぁ都市伝説って感じで語られてるから嘘か本当か実際わかんないんだけど…」

「だって泉さんだよ?!全然そんな風に見えないじゃない!」

「全然そんな風に見えないから怖いのよ~!!」

「えー!ないない!絶対にイメージじゃない!!」

「あ、でもさ、私実際白石さんに寝取られたって子から直接話聞いたことあるわよ!名前は言えないけどさ、女の方も大変だったみたい。身に覚えのない噂とか勝手に広げられちゃってたり…。」

キョーコは隣の楽屋から漏れ聞こえてきた女子達の会話に耳を疑った。

ーーーえ…?泉さんが…?

「とにかく手口がめちゃくちゃ巧妙なんだって!時間をかけてジワジワと周りから追い詰めて獲物を仕留めて行くから蛇女なんて言われてるらしいよ。」

ーードクドクドクドク…

キョーコの心臓が早鐘を打つ。

ーーーいえ、噂は噂よ!鵜呑みにしたらいけないわ!だって泉さんはあんなに素敵な人で…

そう思おうとするのに、どんどんと不安になってくる。

「えー?でも敦賀さんだよ?敦賀さんに限ってそんなことって…」

「わかんないわよ?弱味を握られたとか、あるかもしれないじゃない?」

「あー!そういえば白石さんって言えば一年前くらいはミュージシャンの手島さんとも噂になってたよね?!」

「あ、そうそう!そして手島さんはちょうどその頃、三沢凛子と結婚目前って言われてたのよ!!」

「あー!あったあった!すごい騒がれてた!!え?!あれってそうなの?!」

ーーガタンッ

キョーコは立ち上がった。これ以上話を聞くのが怖くなった。
楽屋を出て真っ青な顔でガスガスと勢い良く歩く。
ブンブンと首を振って考えを振り払う。

ーーー違う違う!そんなはずない。だって、泉さんは素敵な人で、敦賀さんともお似合いで…!敦賀さんが好きなのは……好き、なのは…?

ふと首を傾げる。キョーコの歩く勢いが遅くなった。

ーーーあれ?敦賀さんが好きなのは敦賀さんより4歳年下のキョーコちゃんって名前の女の子よね…?泉さんは敦賀さんより2歳年上で…。

キョーコの足がピタリと止まる。

ーーーそれなのに…なんで…?なんで…?

キョーコの頭の中でグルグルと疑問符が飛び交う。

ーーーなんで敦賀さんは泉さんと付き合ってるの??キョーコさんとはどうなったの??

楽屋で聞こえた彼女たちの言葉が頭の中を駆け巡る。

ーー『蛇女…』

ーー『人の男を寝取るのが趣味…』

ーー『弱みでも握られてるんじゃない?』

グルグルと回る言葉たちに真っ青になってしまったキョーコはいても立ってもいられなくて駆け出した。

ーーーとにかく、とにかく!敦賀さんに会わなくちゃ…!!


偶然なのか必然なのか、そう思った瞬間、蓮のマネージャーである社の姿を見つけることが出来た。
カッと目を見開いてキョーコは慌てて社に近付き声をかけた。

「社さん!!」

「え…あ、キョーコちゃん?!」

「あのっ、敦賀さんも今日はこちらですか?」

「え…あ、あぁ…そうなんだけど…」

チラリと後ろの扉を気にした社の視線につられて見やれば、社の背に隠れるようにして扉の表札に『敦賀蓮様』という文字があり、キョーコは社の制止の声も聞こえず、慌ててノックをしながら扉を開けてしまった。

「あ…キョ、キョーコちゃ…!!」

「敦賀さん!あの、お話……が…」

勢いで飛び込んだ先では、泉が蓮の膝上に座って顔を隠すように覆いかぶさり熱い口づけをしているところだった。

ゆっくりと離れた二人の顔。乱れた唇をそのままにゆっくりと振り返った泉の妖しく光る色っぽい唇。その姿をみて、真っ赤になったキョーコは「し、失礼しましたぁぁぁぁぁ!!」と叫んで、勢い良くその扉を閉めてしまった。

社があちゃーという表情で顔を片手で覆い隠した。
これでキョーコは猛ダッシュで逃げて行くだろうと思ったが、キョーコは顔を赤に変えたり青に変えたりしながらも、身体を震わせて意外にもその場に留まっていた。

社がそんなキョーコに声をかけようとした直前に内側から楽屋の扉がカチャリと開く。

キョーコがまだいたことに一瞬驚いた顔をした泉だったが、すぐににっこりと微笑んで長い髪を片手で掻き揚げた。

その一挙手一投足が美しく絵になる人なのだ。

「あら?京子ちゃん、変な所見せてごめんなさいね。どうしたの?」

「え…あ、えっと…ちょっと…敦賀さんにお話が…」

「そう…」

泉はチラリと蓮の方を振り返って後ろ手で扉を閉めるとキョーコに向き直った。

「彼も、もう時間みたいだから改めた方が良いんじゃない?」

「あ…えっと…。」

戸惑ったように社に救いの目を向けたキョーコに社が援護射撃を撃つ。

「いや、まだあと10分は大丈夫だよ。キョーコちゃん蓮に会ってやって。」

社の援護射撃が気に入らなかったのか、泉はふーん。と不機嫌そうに小さく呟くと、また再びニッコリキョーコに笑いかけた。

「じゃあまたね?“キョーコ”ちゃん」

その笑顔が蓮の似非紳士の笑顔と同じくらい胡散臭くて、キョーコの背中に冷や汗が伝った。

「あ、はい。また…」

そう思ったことをごまかすように深々と頭を下げる。

ーーーあれ…?

そうして少し遅れてきた違和感。

ーーー“キョーコちゃん”って、呼ばれた…?

泉が去って行く背中を不思議に思いながら見送って、キョーコはハッと我に返った。

ーーーそんなことより、敦賀さんっ!!

社に一言断って、扉を前に一つ息を飲み込む。
先程の光景は何処かへ無理矢理押しやって痛む胸をごまかしながらノックし中にいる蓮に声をかけた。

「敦賀さん、先ほどは失礼しました。最上です。お話があって来ました。入っても良いでしょうか?」

「………」

沈黙は肯定。蓮に教わった言葉だ。

キョーコは返事がないことが返事だと捉えて扉を開けて中に入った。
社は気を利かせたのか、扉の外で先ほどのように待機をしてくれていたので、室内には二人っきり。

バタンとしまった扉。

久しぶりの二人っきりの空間に胸がドキドキと高鳴る。
蓮はキョーコに背を向けるように窓の外を眺めながら立っていた。

「あの…敦賀さんとお話がしたくて参りました!」

「…何の話?」

抑揚のない声がキョーコに棘のように突き刺さる。

「泉さんの…こと、、で…」

キョーコはそこまで言いかけてハッとした。何を言おうとしているのか、蓮の交際に口出しする権利など元より自分にはないのだ。
さぁっとキョーコの顔が青くなった。
ギュッとスカートの裾を掴む。
言葉が紡げず、下を向いていると蓮が静かに振り返る気配がした。

「泉が…何…?」

蓮が女性を気安く名前を呼び捨てにするのを聞いて、ズキンと心が酷く痛む。

ーーーそうよ。経緯はどうであれ敦賀さんは今、泉さんと付き合ってるのよ。

泉の悪口を聞いたと言って何がどう変わるというのだろう。
そんなことを鵜呑みにして告げ口するなんて軽い女だと思われて終わるだけではないか…。そう思ったら何も言えなくなってしまった。

蓮の醸し出す空気は冷たくて、歓迎されていないということがビシビシと伝わってくる。

もう昔のような関係ではないのだ。
変わってしまった。否、自分が変えてしまったのだ。
キョーコはそのことに絶望して一瞬泣きそうになってしまったが、グッと唇を噛み締めて本当に言いたいことを飲み込むと、必死で笑顔を作り出した。

「い、いえ!何でもありません。…失礼しました…!あの、泉さんと…お幸せに…」

それだけ言って泣きそうになったキョーコは顔を見られたくなくて勢い良くぺこりと頭を下げ、退出するためドアに手を掛けたのだが、それはいつかのカインとセツカの時のように蓮によって阻まれた。

いつの間に近付いたのか、背後に立った蓮がダンッ!!と片腕と拳を使って扉を抑えて開けられなくするのと同時に、キョーコの腰をもう一方の手で攫っていたのだ。

予想もしてなかった接触。
それがもたらした蓮の体温と気配にキョーコの心臓がバクバクと激しい音を立てる。

そして蓮は地を這うような低い声でキョーコの耳元に凄んだ。

「そんなことを、わざわざ…言いに来たの…?」

「い、いえ、あの…っ」

耳にかかる蓮の息に真っ赤になり、冷たい声色にキョーコはオロオロと狼狽える。

「俺が、彼女といて幸せに…なれると…?本気で思ってるの…?」

「え…?あの…っ。」

言われた言葉の意味がわからなくて混乱する。

「君が、それを言うんだ…?」

「っつ…!!」

ギリギリまで近付いた蓮の唇がキョーコの耳を掠める。
キョーコはピクンッと身体を震わせた。

クッと蓮が喉の奥で嗤う気配がする。
でも嗤われたというのに何故かキョーコの胸が酷く痛んだ。

「…君は…残酷だ…。」

呟いた蓮の言葉…。
その声色を聞いてキョーコは何故だか蓮が泣いてるように感じてしまったのだ。

捕まえられた腰をギュッと強く抱きしめられる。
扉を押さえていた蓮の腕もドアに手をかけたキョーコの腕ごと抱き締めた。
蓮は大きく息を吸う。
ドッドッドッとうるさいくらい主張するキョーコの心臓。

「俺が…本当に、望んでるのは…」

蓮の低い声がキョーコの耳を擽るのでキョーコの心臓は破裂しそうなほど大きな音を立てる。

だけど、蓮は深呼吸するようにもう一度胸いっぱいにキョーコの匂いを吸い込むと、自分にはそれを口に出す資格はないと思い直し、グッと堪えるように唇を噛み締めて言いたい言葉を飲み込んだ。

それでもキョーコの温もりを手放せなくて蓮は無言でキョーコを抱きしめ続ける。

「…敦賀、、さん…?」

キョーコが恐る恐る声をかけたことで、蓮はハッとして慌てて身体を離しキョーコに背を向けた。

「あ…いや、ゴメン…。」

「いえ…あの…」

キョーコは真っ赤になった顔で視線を彷徨わせた。
抱き締められてドキドキして落ち着かなかったくせに距離を取られてしまうと今度は何だか寂しく感じて落ち着かない。

蓮に抱き締められた腕を無意識に掴む。

背中合わせの状態で互い気まずくて顔を合わせられない。

「ごめん。何でもない。忘れてくれ。」

蓮はそう言って荷物を手に取り始めた。
どうやらスタジオに戻る準備を始めたようだ。

「あ…」

キョーコは小さく声を漏らした。何故だか知らないがこのままだと蓮がもっと遠い所に行ってしまう気がしたのだ。

ーーーダメ…

キョーコの足と体は勝手に動いていた。
背を向けて支度をする蓮の背中に抱き着く。

「っ?!」

強張ったように固まった蓮の体。
キョーコはギュッと強くしがみ付いた。

「…………。」

「………………最上、さん…?」

蓮が漸く我に返って声をかけると、キョーコの体がビクンと震えた。
だけど、何を言うでもなくただ抱き着いているだけだ。

蓮はそっとキョーコの手を解こうと手をかけた。
すると漸くキョーコが小さな声で呟いた。

「今は…幸せでは、ないんですか…?」

「…………。」

蓮は答えられない。
幸せである筈がない。

どんなに泉を抱いても虚しいだけだ。
蓮の渇きはキョーコでしか補えない。それ以外で補える筈はないのだ。

蓮はそっとキョーコの腕を解いた。
これ以上キョーコと二人っきりでいるのはキョーコが危険だ。
キョーコにとっても自分にとっても得策ではない。
限界だった。

「敦賀さ…」

キョーコの声を遮るように蓮は強めの口調で答えた。

「君も、光君とお幸せに…。」

蓮の言葉にキョーコは意味がわからず混乱した。

「…………え…?」

固まるキョーコを一人残して、キョーコの脇をすり抜けると、蓮はスタジオへ向かうため、楽屋を後にしたのだった。




キョーコは一人残された部屋でグルグルと頭を悩ませていた。

ーーー光さんが…何?

心当たりが全くなくてキョーコの頭は混乱してしまう。

ーーーえ?もしかして…この間の…?でも、あれは…

蓮と光が対峙した時のことを思い出したが、それが関係あるのだろうか…?

ーーーもしかして、何か誤解されてる…?どうして…?

考えても考えてもキョーコにはわからなかった。



一日のスケジュールをこなし、帰り支度をした所で突然携帯が震え始めて、キョーコは慌てて携帯電話を取り出した。
通知は非通知。

一瞬迷ったものの、通話を押して耳に当ててみるとお約束のように幼馴染の怒鳴り声が響いてきた。

『キョォォーコォォォー!!おーまーえー!!どういうつもりだ?!敦賀で失恋したからって何さっさと次の男に乗り換えてんだよ!!こっの尻軽女!!!!キョーコのくせに調子に乗るんじゃねぇ!!』

「はぁ?!なんなのよ!うるさいわね!!開口一番から意味わかんない!!次の男って何よ!!何の話?!ただのイチャモンなら切るわよ!!」

『トボけんな!!石橋光ってやつと噂になってんじゃねーか!!知らねぇとは言わせねぇぞ!!皆知ってんだからな!!』

「は…はぁぁぁぁぁ?!な、なによそれ!!」

『ラブホに二人で行っただの、石橋光の家にご飯作りに行って美味しいっていってもらえただの、惚気まくってるそうじゃねぇか!!!!』

「出鱈目なこと言わないでよ!!そんなことあるわけないじゃない!!」

『トボけんな!!じゃあ、あの噂は何なんだよ?!』

「はぁ?!噂…?!知らないわよ。何かの間違いじゃ…」

言いかけてキョーコはハッとした。
昼間に聞いた会話の中に何か引っ掛かる言葉を思い出したのだ。
蓮が言っていた光のことは、この噂とやらと関係があるのかもしれない。

『ーーーおい!聞いてんのかよ!!』

「き、聞いてるわよ!大体あんたはどこからそんな情報仕入れてきたのよ?!」

『ポチリから聞いたんだよ!噂になってるって!』

「あぁそう!わかったわ!じゃあね!!」

『はぁ?!ちょ、待てよ!まだ話はーーー』

ーープチン。

キョーコは喚く尚を無視して携帯の通話を切ると、真っ青な顔で慌てて蓮の居場所を確認する為、社に連絡するのだった。


(続く)


web拍手 by FC2

スキビ☆ランキング
↑↑↑
気が向いたらポチッと応援よろしくお願いします♪


*****


むむぅ…。
泉さんをギャフンと言わせるアイディア募集中ー!!!!