次屋妙子のサプライズ☆ラボ昨晩は見事な中秋の名月でしたね。生憎のお天気ではありましたが、真夜中過ぎ猛烈な勢いで台風が去ったあと、雲間から見える満月は息を呑むほどに美しかったです。さすがにお団子作りは断念しましたが、ルーフバルコニーに出て、しばし“月光浴”を楽しむことができました。
「月光浴」と言えば、忘れられないお仕事があります。以前、池袋のサンシャインプラネタリウム(現コニカミノルタプラネタリウム「満天」)で、「スターライトヒーリング」という人気プログラムのナビゲーターをさせていただいたことがありました。中でも「月光浴」のナレーションを担当させていただいたことは、今でも忘れられない想い出です。
「プラネタリウム」のナレーションと言っても、普通の星座のご紹介ではありませんよ。この「スターライトヒーリング」は、ドーム型の天井に約9万個の星空が投影される中、音楽と香り、そして波の音や風の音などの自然音で構成された一時間のヒーリングプログラムをゆったりしたとナレーションでお届けする“大人のためのプラネタリウム”なのです。

小さい頃からハスキーだった私は、ずっと自分の「声」にコンプレックスを持っていました。そんな私が、大人になってから「声」のお仕事をさせていただくようになるだなんて、世の中何が起こるかわかりません(笑)。
毎週プログラムが終わるたびに、お客さまから数え切れないほどたくさんのお声を頂戴しました。「一日中あなたの声を聴いていたいと思いました」とか「心から癒され、涙がこぼれました」等々。正直、驚きました。長い間、ずっとコンプレックスだと思いこんで来た自分の声に、誰かが癒されると言ってくれる日が来るだなんて想像もしたことがなかったのですから!

実はある方のご紹介で、私の声を“拾って”下さった方がいたのです。“あなたの声は星に向いている”と言って、ひょんなことからプラネタリウムのナレーションに抜擢していただくことができました。まさにキツネにつままれたような心境でした(笑)。ずっと憧れ続けて来た大好きなプラネタリウムで……この満天の星空の下で、自分の声が響く日が来ようとは!
この歳になると、人の意見に“素直に”耳を傾けることがなかなか難しくなります。お世辞ではないかと勘ぐってみたり、素直に受け入れられず妙に照れたり、遠慮したり。しかし、自分ではなかなか気づくことができなくても、誰かの助言、誰かのアドバイス、誰かの褒め言葉を素直に受け止めることによって、自分の中の眠っていた何かが急速に目を覚ますことってあるんですよね。私の場合がそうでした。あの時、「いえいえ、私なんかとんでもありません」と言って、せっかくのお申し出に萎縮して、遠慮して、お断りしていたら、間違いなく今の私はありません。素直に飛び込んでみたからこそ、素直にコンプレックスと向き合ったからこそ、新しい未来の扉が開かれたのだと信じています。そういえば――「私なんて」という醜い卑下の心は、謙遜の皮をかぶった「傲慢」なのだと先輩から諭されたこともありました。
確かに「夢」は自分で覚悟を決めて、自分で切り開いていくものです。しかしそれと同時に、誰かの「縁」によって気づかされるものでもあるのです。小さい頃から何を期待され、何を依頼され、何を喜ばれ、何を感謝されたのか。そんなことを一つひとつ“棚卸し”してみるのも、自分の“物語”を繙くヒントに繋がるのかも知れませんね。まさに人生は、Life is timing!Life is beautiful!なのです。