「人生がわかるのは、逆境の時よ」――これは、ココ・シャネルの言葉です。
私の場合、逆境の時には、いつも決まって「仕事」に救われてきました。事実、どんなに八方ふさがりに思えるようなことがあっても、「仕事」があったおかげで、人としての品格を手放さずに来ることができました。行き場のない思いに折り合いをつけなければならない時も、「仕事」が私に自尊心を思い出させてくれました。ピンチのたびごとに、なぜかいつも良質な「ご縁」に恵まれ、誠実に仕事に取り組む中で、その都度、自分自身を立て直して来ることができたように思います。
そんな私が仕事を続けていく上で、大切にしていることがあります。それは、一切の仕事を終えたあと、「また、あなたにお願いしたい」――お客様にそう言っていただけること。再び次のご依頼をいただいてこそ、「プロフェッショナルの証」――そう自分自身に言い聞かせるようにしています。

「どんなことがあっても、働くこと。働き続けることが“希望”になる。人が人であることをやめないために、人は働くのだ。」――ある女性作家の手記にもこうありました。
時として、人生には「運」とか「直感」とか「ひらめき」などが大事な場合もありますが、やっぱり誰かに必要とされること。誰かに「ありがとう」と感謝をされること。それ以上に幸せなことはありません。
いつか「魚が空を飛んでくれること(起こりもしないような奇跡をアテにすること)」を期待して待つよりも、私は自分の力で魚を飛ばせるようになりたい――いつもそう思いながら、空を眺めています。