pickles探偵デカゲロくん 第十八話~デカゲロの夢の殺人事件~ | 怜菜のブログ

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1 初めての依頼


「あの……事件の、依頼なんですが。」

チョコゲロが、紙を出す。

「……亡くなりました。ぼくの兄が。」

「……。」

静か。悲しい空気。

「カプチーノ兄さん……。」

涙をこらえて、チョコゲロは叫んだ。

「どうか、犯人を見つけてください。――認識させてください!人の命がどんなに大事かということを。」

デカゲロは、実際に残された家族の様子を見て、改めて感じた。

殺人事件が、どんなにひどいかということを。

(絶対解決しなきゃ。チョコゲロさんを悲しませたままではダメ――。)


「……先輩。ここは、ぼくたちの出番です。」

「そうだよ。」

なかゲロととくゲロが言った。

「頑張ろ~!」

「メガゲロっ!」

空気の読めないメガゲロを、なかゲロが叱った。

とくゲロが言った。

「絶対、解決しなきゃ。」

デカゲロが答える。

――うん。ぼくたちがやらなきゃ。ぼくたちの出番だよ。」

「たまにはこんな悲しいこともあります。――でも、ぼくたちはやらなきゃいけないんです。」

なかゲロがみんなに伝えた。

そして、デカゲロたちは、動き始めた。


2 オルゴール


まずは、チョコゲロに話をきいた。

「何か、知っていることは……」

「兄は、成績優秀で、よく推理小説を読み、推理が得意だったみたいです……。」

デカゲロは、チョコゲロの話を一言ももらさずに書き留めた。

「でも、最近様子がおかしくて……」

「どんな様子でしたか?」

デカゲロは即座にきいた。

「何か、一日中イライラして、ちょっと落ち着いたかなと思ったら、どこかに出かけてまたイライラして帰ってくるんです。」

「どの辺で事件が起きたか知っています?」

「いいえ。」

「カプチーノさんは、何か言っていましたか?」

チョコゲロは、「カプチーノ」と聞き、泣き出してしまった。

――♪♪♪――

静かに流れてきたのは、そう。あのオルゴールの音。

優しい音が、チョコゲロを包み込む。

「……ごめんなさい。特に、何も言っていませんでした。」

少しは、心も落ち着いた。

「そうですか。ありがとうございます。」

「きれいですね……」

「え……?」

「オルゴール……優しい、音……」

「またいらしてください。このオルゴールは、『ピクルス・オブ・ジュエリーで買ったものです。何回でも聴かせてあげますよ。」

「ありがとうございました……どうも。」

チョコゲロは、少し緩んだ顔で、事務所を後にした。

デカゲロは、このオルゴールを買って良かったと思った。

デカゲロも、このメロディーが好きだった。

なんていう曲かは分からないが、

聴いていると、心がきれいになる気がした。


3 頭に流れてきた


そして、繰り返しオルゴールを聴いていると、デカゲロの頭に、事件が起こる様子が流れてきた。


そこは人通りが少ない道路だった。

カプチーノと思われる、薄茶の人物が歩いている。

そこに、全身黒ずくめ、黒革の手袋、そして仮面を付けた人物が現れた。

ポケットに手を入れた。取り出したのは――注射器。中に不吉な色をした、液体が入っていた。

それを、カプチーノに……――


デカゲロは、やっと目覚めた。

「先輩!大丈夫ですか?……先輩が突然倒れたので、とても心配になりました。」

なかゲロが、話しかけた。

「う、うん……。」

――さ、さっきのは……?

デカゲロは、変な感覚に襲われていた。

なんかいきなりカプチーノが襲われる様子が頭に流れてきた。

勝手に。

止まったオルゴールを見て、さっきの心を浄化したいと思い、もう一度オルゴールをかけた。

――♪♪♪――

そして、また……。

今度は、違う場面。


気絶したカプチーノ。

黒づくめの男は、人が通らないようにある建物にカプチーノを運んでゆく。

森のなか、奥深いところ。

GPSがないと辿りつけないであろう。

そのなかの廃屋にカプチーノは連れて行かれた。

カプチーノは気を失っている……。


「とくゲロ、また先輩が気絶しました。」

「デカゲロくんっ!」

「ん……あ。」

「今日は調子が悪いんじゃないですか?べッドで休んでいてください。」

デカゲロは、隣のデカゲロの家のベッドで休むことに。

ぼくの頭、おかしくなったのかな?

その言葉が頭に浮かび、頭をブルンと振った。


4 悪魔


ベットに入る。

(なんであんな光景が……。)

デカゲロは、「ピクルス・オブ・ジュエリー」で買ったオルゴールに疑問を感じた。

(もうあんなの見たくないよ。)

カプチーノが事件に襲われる様子。

デカゲロはそもそもそういうのが嫌いだし、さらにそれだけで事件が解決できるのならば、デカゲロの「プライド」という立場が失われる。

しかし、オルゴールをかけないのならば、チョコゲロを励ますことは出来ない。一番オルゴールを気に入っているのは、チョコゲロなのだから。

一方で、デカゲロの頭には、「一個くらい、ズルしてもいい事件があるんじゃない?」という言葉も流れていた。

(わぁ~~~~~~っ!もう分かんないよ~~!)

頭をぐるぐるさせ、さらにバシバシ叩いた。

(でも、ぼくは事務所長。ズルしたって、バレないかも。バレても、地位でどうにか出来るのかも。)

デカゲロの心に、悪魔の双葉が芽生えた。

(オルゴールをかけよう。すぐに事件の解決ができる。)

悪魔の双葉は、にょきにょきっと大きく伸びた。

(一休みしたら、実行。)

悪魔の双葉は、枯れない身体になろうとしていた。


5 オルゴールで事件解決?


一休みの後、デカゲロはオルゴールをかけ続けた。


黒づくめの男が手にしていたものは、手錠。

それをカプチーノに付けた。両手につけ、離すことが出来ないようにした。

また、足にも手錠をつけた。足錠というのかは分からないが、同じように、両足が離せないようにした。

そして、最後に、口に粘着テープを貼った。


バタンっ。

またデカゲロが倒れた。

「先輩!ベットに……。」

なかゲロの声をデカゲロは聞いていなかった。

「ぼくは……オルゴールを……。」

三人には、デカゲロの言葉が理解できなかった。

「オルゴールを、かけて。」

デカゲロはそう言った。

そして、とくゲロがオルゴールをかけた。


カプチーノが目覚めた。睡眠薬だったようだ。

手錠がついている。手にも足にもついている。動けない。

そして、口には粘着テープが。

手足を動かせなくて、粘着テープを剥がせない。

視界に靄がかかり、意識が遠のいていく……。

最後に、男はこう言った。

「俺の名は……ブラックだ。」

そして、カプチーノは目を閉じた。


しばらくして、警察が廃屋を捜索した。

チョコゲロが通報したのだろう。

粘着テープを口に貼られ、手足を拘束されたカプチーノが見つかった。


そこで終わった。


6 楽勝


デカゲロは倒れている。

「先輩……なんで倒れるんですか。全く。」

なかゲロが呆れて言う。

「事件の全貌が分かった。」

デカゲロはそう伝える。

「えっ!もうわかったのぉ?教えてよー。」」

と、メガゲロ。

もちろん、説明すれば三人は納得して事件解決になるはずだ。

間違いなど無い。

楽勝じゃないか。

「まず、カプチーノは毒殺された。そのあと廃屋に連れてかれて……」

デカゲロはすべてを話す。

推理などしていないのだ。

オルゴールによって。

それがバレなければ、いいのだ。事件解決できるのだ。


「なるほど。そうですね。チョコゲロさんに伝えましょう。」

なかゲロがそう言う。バレていないみたいだ。

チョコゲロに電話をかける。

「事件の全貌が、明らかになりました。デカゲロ先輩が、解決しました。こちらへおいでくれませんか。」

「もちろんです。今すぐ行きます。」

そしてチョコゲロに内容を伝えれば、役目は終わり。

休める。

オルゴールのおかげで、こんなに楽に解決できるなんて。

(今度もオルゴールを使おう。)

と、デカゲロは思った。


7 被害者の気持ち


「来てくれてありがとうございます。」

「事件、解決できたんですよね。教えて下さい。」

チョコゲロは言った。

デカゲロは、事件の全貌を話す。

「カプチーノさんは、まず毒殺されました。」

「はい……。」

チョコゲロは、「なるほど」とうなずく。

しかし、

「どうやって分かったんですか?どこで?現場に行ったんですか?」

「もちろんです。」

と、デカゲロは嘘をつく。

三人はデカゲロが怪しくなった。

「それにしても、解決早くないですか?たったの一時間で。本当に行きましたよね?」

「はい。」

また嘘をつく。

「そうですか。」

「そして、廃屋に連れて行かれました。深い森の奥です。」

バンッ!

チョコゲロが、思いっきり机を叩く。

コーヒーが飛び散った。

「廃屋にも行ったんですか?嘘ですよね。あの廃屋は、車でも片道三十分はかかるんですよ?無理ですよね?」

デカゲロは、黙ってしまった。

「事件をただ早く解決するのが目的なんですか?この事件は……兄さんは、殺されたんですよ?なのに。……。適当に片付けないでくださいよ!!」

チョコゲロの怒りも飛び散る。

「被害者の気持ちも考えないで……。」

チョコゲロの手にはナイフが握られていた。

とくゲロの首に突きつける。

「この気持ちを分かってもらいたいのに!」

ナイフが、とくゲロの首に刺さりそうになった時。

あたりが真っ暗になった。


8 夢


「ギャー!!」

デカゲロは叫んだ。

「先輩。どうしたんですか。急に。」

「起きるの遅いー。」

「もー。全く。」

三人が呆れる。

「あれ?とくゲロ?死んでないの?」

デカゲロは戸惑う。

「あのねー。デカゲロくん。ぼくを勝手に殺さないで欲しいんだけど。ぼく、生きてるよ。」

「あれ?……ごめん。」

「また夢でも見たんですか?」

なかゲロが言った。

「うん……。殺人事件の夢。」

「怖いよー。デカゲロくん。」

メガゲロが怖がる。

「どんな夢?」

オカルト好きとくゲロが興味津々に聞いてくる。

デカゲロは、夢の内容を話した。

「先輩。適当に事件を片付けてはいけませんよ。」

「後輩に怒られた……。分かったよ。丁寧に捜査するよ。」

「また一つ学んだね。」

メガゲロもたまにはいいこと言う。

そう。

デカゲロは、

「事件を適当に片付けてはいけない。丁寧に捜査する。」

ということを今回の夢で学んだ。

しかし、また悪夢だ。

この状況から開放されないだろうか……。


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