pickles探偵デカゲロくん 第十九話~デカゲロ、国王になる!?~ | 怜菜のブログ

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1 ここはどこ?


「ふわ~あ。」

デカゲロは起きた。

目の前には、いつもの薄汚れた白い事務所の天井が見える。

……はずだったのだが。

デカゲロの視界にあったのは、鮮やかな赤色。

つまり、ここは事務所ではなかった。

「あれっ?あれあれっ?ここは……どこ……?」

流石にデカゲロは戸惑った。

そして、頭に重みを感じた。

「重い……。」

頭の上のそれを目の前に持ってきた。

王冠。

赤い王冠に、金色が縁取られている。所々に宝石が埋め込まれている。

相当な値段に思える。

「国王陛下。おはようございます。」

不意に、謎の声が聞こえた。

見たことがない人だった。

タキシードを着て、ポットが乗ったトレーを持っていた。

年齢はデカゲロより高そうだ。

「だれ?」

デカゲロは思わず聞いた。

「陛下、覚えておらないのですか?私は、陛下の執事ですよ。」

全く記憶に無い。

デカゲロは、

「そうだっけ……」

と呟く。

「陛下、王冠は外さないでください。」

「だって……重いもん。」

王冠なんか被ったことがない。探偵だから。事務所にいるはずの探偵だから。

(本当に、ここ、どこ?)


2 国王陛下


「さあ、陛下、今日も仕事をなさってください。」

執事が言った。

(陛下陛下うるさいなぁ。)

さっきから、デカゲロは王様ではないのに陛下と呼んでいる。

合ってもいないし、しつこい。

「あのー、陛下陛下うるさいんですけど。名前で呼んでもらっていいですか?」

デカゲロがきつくそう言うと、執事は黙りこんだ。

そして口を開く。

「今までは、何も言わなかったじゃないですか。」

そんなことを言われたって、デカゲロは知らない。

デカゲロは、執事を睨みつけた。

困った顔をされた。しかしその表情からは怒りも感じられる。

「……承知いたしました。コロナさま。」

……??

(誰?ぼくのこと?名前違うんだけど。コロナって太陽の?なんかウケる。)

「コロナさま、仕事をなさってください。」

「仕事って?」

執事は目を丸くした。

「何をおっしゃっているのですか?政治です!」

「はぁ……。」

流石に呆れる。まだデカゲロが国王ではないことに気づかないのか。

そのあともごもごと何か聞こえた。

どうやら執事のひとりごとのようだった。

「もしかして、陛下の体調がよろしくないのでしょうか……陛下も死の時が近いのでしょうか……。」

凄く小さい声だっだが、耳をすませばよく聞こえた。

国王(といっても、本物ではなく、デカゲロだが)の目の前で国王の死について語るのはかなり失礼だが、おそらく執事はかなり大変な状態に陥っているのだろう。

「コロナさま……。」


3 国王として


「体調はどうですか?」

「うん、超ピンピンしてる。」

デカゲロがゆるく答えた。

「それでは政治をなさってください。では失礼します。」

ようやく執事が部屋から出た。

「何なんだ。ったく。ぼく、国王じゃないし。政治ってどんなふうにやればいいんだ。」

デカゲロは、状況を察知しようと、あたりを見回した。

分厚い本がある。

「国の歴史」

開いてみる。最後のページにこう記されている。

「コロナ王は、突然姿を消した。」


おそらく、デカゲロは、失踪したコロナ王と間違えられて城に連れ去られたのだろう。

城の者からしたら、いなくなった王が見つかったら嬉しくなるはずだ。別人だとは気づきにくい。

「うーん。とにかく執事にぼくはコロナではないことを知らせなくちゃな。」

デカゲロは、執事を呼んだ。

「あのー。ぼく、本当はコロナさんではないんですよー。デカゲロですー。そこんとこ理解してくれませんかー。執事さーん。」

執事は、下を向いた。希望の光がなくなったように。

デカゲロは続ける。

「でもー。ぼくー。コロナさんのかわりならデキますよー。ぼくが国王やるってのはどうですかー。」

執事はデカゲロの方を向いた。

「分かりました。お待ち下さい。」

執事は部屋を出て行った。

「許可が下りました。よろしいでしょう。」

執事はうなずいた。

(しばらくぼくが国王としてこの国を支える。)


4 国王になったデカゲロ


次の日、起きると、執事がいた。

「デカゲロさま。今日は国民の皆さんへのお披露目の日です。」

「はーい。何すればいいの?」

「城のテラスに10時に出てきてください。国民の皆さんが下にいます。そして、挨拶をしてください。」

「はーい。」


そして10時。

アナウンスが聞こえた。

「国民の皆様、この度はみ皆さんに二つのお知らせがあります。」

国民はじーっとアナウンスが聞こえるスピーカーを見ている。

「まず一つ。先日伝えた、コロナ王発見についてです。

コロナ王と思われ城に保護されたのは、コロナ王ではありませんでした。」

国民がざわめく。

「えっ嘘でしょ。」「じゃあ誰なんだ。」「希望の光が見えたのに。」

「皆さん、静粛にしてください。」

アナウンスでざわめきは止んだが、国民の目には怒りが見える。

そしてアナウンスは続く。

「発見されたのは、デカゲロさんで、デカゲロさんをこの国の王とすることになりました。」

また国民がざわめく。

「えー。」「信用できん。」「マジで。」

また、「静粛にしてください」のアナウンス。

「本人も納得しています。もし、デカゲロ王が政治をしていくなかで、デカゲロ王を支持できないのであれば、デカゲロ王は処刑する。」

国民も納得したようだ。

デカゲロがテラスに出てくる。

そしてアナウンス。

「デカゲロ王だ。喜べ。」

「デカゲロさま、ばんざーい!」

国民たちの大きな声が響いた。


5 デカゲロの政治


「デカゲロさま、政治をなさってください。」

執事が言った。

「何をすればいいの?」

「法律を作ったり、予算で施設の整備などをしたりして、この国をより良くしてください。」

「はーい。今はどんな法律があるの?」

「この本を読んでください。」

と差し出されたのは分厚い辞書のようなもの。とても読み切れない。

「大丈夫です。わたくし、全て暗記しております。」

執事が自慢するように言った。

「そうなんだー。じゃあいいやー。

予算はどれくらいあるの?」

「10兆です。」

「何作ろー?今のこの国の課題は?」

「そうですね。給料が低い人が多いことでしょうか。あと、この国に来た大津波でやられた地域の復興でしょうかね。まだこの国も発展途中ですし。」

「発展途中ねー。病院はちゃんとあるの?」

「ありますけど、医師が足りませんね。でも、この国はあまり病気に掛かる人はいないので大丈夫だと思いますよ。」

「給料が低い人が多いってことは、給料を上げればいいんだよね。使うお金を低くすれば良いのかな。税率を下げよう。」

「税率を下げる、ですか。分かりました。

税率を下げると予算が一年6兆になりますがよろしいでしょうか。」

「うん。いいよ。」
「発展途中なんだよね。学校は?」

「ありますよ。」

「じゃあ、津波でやられた地域の復興を優先に行おう。」

「分かりました。

まずは、税率を下げることを国民に伝えましょう。

私が、新聞社やテレビ局に伝えます。」


6 津波の被害


しばらくして。

国民たちは、税率が下がって大喜びだという。

デカゲロ、津波でやられた地域に出向くことにした。

この国の南部のリアス海岸のところだった。

リアス海岸は、波をおだやかにしてくれる働きがあるが、津波の時は逆効果で、津波の力を強くしてしまう。

津波でやられたとはいえ、完全崩壊状態ではなかった。

学校などのコンクリートの建物は残っているし、幸いにも沿岸にはあったのは工場で、死者はいないという。

「山に町を作ったほうがいいね。」

デカゲロがいうと、執事は、

「はい。ですから今は山に家がたくさん建てられております。」

と言った。

わざわざ言うまでのことではないということだ。
「ぼくがやること、なんかあるの?」

「道がなくなってしまってます。道路整備や、ガードレールの設置などでしょうか。」

「いくらくらい必要かなぁ。」

「2兆くらいですね。」

これだと予算の3分の1も占めてしまう。

だが、デカゲロは「いいよ。」と言った。

残りの4兆を節約しなければ。


7 残りの4兆



デカゲロは、残りの4兆を何に使おうかと考えていた。
ざっと考えると、

国庫支出金に1兆。

地方交付税交付金に1兆。

国債費に1兆。

年金に1000億。

医療費に1500億。

生活保護費に600億。
公立校の教材費に100億。

公立校改修費に500億。

公立校設備費に1000億。

公務員の給料に3000億。
その他設備費に1000億。

公共設備費に1000億。

ハローワーク費に300億。

王室費に1000億。これだと1000億予算オーバーだ。


デカゲロは、税率を下げたぶん、年金は無くそうということで、変更。

国庫支出金に1兆。

地方交付税交付金に1兆。

国債費に1兆。

年金に1000億。

医療費に1500億。

生活保護費に600億。
公立校の教材費に100億。

公立校改修費に500億。

公立校設備費に1000億。

公務員の給料に3000億。
その他設備費に1000億。

公共設備費に1000億。

ハローワーク費に300億。

王室費に1000億。


今年の予算はこれで決定だ。執事に提出する。

「分かりました。テレビ局や新聞社に伝えます。」


8 しかし……。


翌日、起きると、すごくうるさかった。

カーテンを開けると、そこには国民の大衆が。

がやがやしていて迷惑だ。

王様服に着替え、「うるさいですよ。」と言うために、デカゲロはテラスに出た。

国民は、何を言っているのか分からない。

表すとこうだ。

「#%U%''%$OP=|\」

国民みんなの声が一緒になってるわけではなくて、国民の声が重なって訳が分からなくなっているのだった。

デカゲロは、マイクを使って、

「国民の皆さん、静かにしてください!迷惑です!」

と言った。

だが、国民は静かにならなかった。

仕方なく部屋に戻り、もう一睡することにした。

次の日も、同じようにテラスに出て、国民に注意した。

何日も同じように過ごした。

そしてある日。

この日はとても静かだった。

デカゲロは、自分の注意が効いたのだと思ったが、そうではなかった。

テラスに出ると、国民は皆ピストルを構えている。

ある国民が、叫んだ。

「デカゲロさま、年金がなくておじいちゃんやおばあちゃんが困っています!何日も何日もそれを伝えようとしたのに、あなたは聞いてくれなかった。」

「え??え??」

デカゲロは戸惑った。

「ぼく、最高裁判所裁判長が告ぐ。

デカゲロさまを、死刑に処す!」

その瞬間、銃声が鳴り響いた。

バン!

そして、鈍い音がした。




















9 Dの呪い


目を開ける。

そこには、鮮やかな赤い天井でなくて、薄汚れた白い天井でもなくて、黄緑色があった。

「あーもー。デカゲロくん。やっと起きたよ。」

この声はとくゲロだ。

デカゲロは体を起こした。

「とくゲロも死んじゃったの??」

「はぁぁ!?『とくゲロも死んじゃったの??』じゃないよ。デカゲロくん!ぼくは死んでないしデカゲロくんも死んでないよ。」

「あれれ??」

デカゲロは戸惑った。

「先輩、またですか?」

「もぉぉぉぉぉぉぉ。勘弁してよ。」

なかゲロとメガゲロが言った。

「まぁ~た、悪夢見たんでしょ。」

メガゲロがからかうように言った。

「うん。ぼくが王様になったお話。」

「先輩。それのどこが悪夢なんですか。」

とくゲロもうんうん。とうなずく。

「王様ってうらやましいなぁ。」

「いやあのね、ぼくが年金の制度をなくしちゃったから、暗殺された。」

メガゲロが、

「えっ!暗殺っ!?なんか悪いことでもしたの?」

と言った。

「メガゲロくん。さっき年金の制度をなくしちゃったからって言ってたじゃん。」

「あれ~ぇ?そうだっけ??」

と言った。

とくゲロが言った。

「ねえねえ、デカゲロくん。そんなに悪夢見るんだったら、呪われてんじゃないの?」

「うーん。そうかもね。また悪夢だもん。」

「先輩、お祓い行きましょう。」

ということで、近くの神社にお祓いをしに行った。


お祓いをして、デカゲロはだいぶ気持ちが楽になった。

「もう悪夢は見たくないなぁ。」


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