pickles探偵デカゲロくん 第二十話~かえる刑務所脱獄事件~ | 怜菜のブログ

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これまでのお話

 

デカゲロくんデカゲロ)ある夏のことです。前日まで元気に来ていたメガゲロが、その日はいつまでたっても来なかったんです。それで、近くを探してみると、メガゲロは血だらけで倒れていました。誰かに刺されたらしく、ぼくたちは、メガゲロの回復を待ちながら捜査をしました。

そして、犯人が判明しました。

その犯人とは……マリンでした。

なかゲロくんなかゲロ)その事件から数ヶ月たった時のことです。

かえる第一交番の隣の家が火事になってしまいました。

それで、ぼくたちの事務所に電話が来たんです。

デカゲロ先輩が捜査して、この事件も犯人が判明しました。

その犯人も……マリンでした。

とくゲロくんとくゲロ)その二つの事件により、マリンは、禁錮二十年の刑に処されました。

それで、マリンは、かえる刑務所に入れられました。

かえる刑務所は、かえる県の中で凶悪犯罪をした人が入る刑務所です。

マリンは、おとなしく刑務所で暮らしていました。

ついこの前までは……。

メガゲロくんメガゲロ)ちょっとぉ!!ぼく喋ってないんだけど!みんなひどーい!むかっ

 

1 マリンが脱獄

 

かえる県最大の刑務所、かえる刑務所。

そこには、凶悪犯罪を犯した者たちがいる。

厳重に警備され、脱獄が出来ないようになっている。

有刺鉄線がいたるところに張ってあったり、警備員が目を光らせ警備したり。

だがしかし、この刑務所の門をくぐり抜け、脱獄した者がいる。

……マリン。

彼は、殺人未遂事件と、連続放火事件を犯した。

殺人未遂事件で被害にあったのはなんとメガゲロ。

いつも元気なメガゲロもこの時ばかりは元気がなくなっていた。

そして、連続放火事件。

なんと、デカゲロ探偵事務所も玄関を燃やされてしまった。

これによる事務所の損害額は100万円。

メガゲロの時間と、デカゲロ探偵事務所の資金額を奪ったマリン。

四人は、マリンを恨んでいた。

 

賑やかな音楽とともに、ニュース番組は始まった。

『速報です。かえる刑務所に服役していたマリン容疑者が、脱獄をしました。

かえる刑務所は午前10時に、マリン容疑者が脱獄したことを発表しました。

9時半から10時にかけての点呼およびチェックの時間に、マリン容疑者がいなかったことが発覚したとのことです。』

これを見ていたなかゲロは目を丸くした。

「ちょ、ちょ、ちょっと!!見てください!これ!」

大声を出すが、三人は気づいてくれない。

デカゲロは寝ていて、メガゲロはお菓子に夢中、とくゲロはナンプレをしていて、なかゲロの声など入ってこない。

なかゲロは、デカゲロを思いっきりぶっ叩き、

「起きてください!見てください!このニュースを!!」

と怒鳴るくらい大きな声で言った。

「ふぇ??なにー?」

デカゲロは間抜けに返した。

「だから、このニュースを見てください!」

「うぅ?ふぇ、あ、マリンが脱獄っ!?マジでー!」

やっと気づいたようだ。

「やばいね。」

「そうですよ。ほらー!!二人もこれを見なさーい!

「え?」

「ん?」

「あーっ!」

二人は、声を揃えた。

「マリンくんが脱獄したのー?ぼく痛い思いしたのにまだ悪いことするの?」

「ぼくたち何すればいいんだろう。」

とくゲロが困ったように言うと、なかゲロは、

「マリンを探すのは、警察に任せていいでしょうから、ぼくたちは、マリンがどういうふうに脱獄したかを調べましょう。また脱獄人が出ると困りますからね。」

と答えた。

 

2 かえる刑務所へ

 

事務所と同じピクルス市に、刑務所はあった。

ピクルス市にある理由は、人がたくさんいるため、容疑者が脱獄した時にすぐ通報できるからなのだとか。無論、マリンの脱獄に関しては、何の役にも立っていない。

一行は、厳重に警備されている刑務所の門に来た。

警備員が言う。

「ここはかえる刑務所です。お名前は?」

「デカゲロです。」

「なかゲロです。」

「メガゲロだよ~!」

「とくゲロでーす!」

警備員は、メガゲロととくゲロを軽蔑するような目で見て、言った。

「身分を証明するものはありますか?」

「はい。これです。」

デカゲロは、かえる県の探偵が持っている「探偵証」を出した。

三人も出した。

「どーぞぉー!」

警備員は、メガゲロをじっと見て、言った。

「はい。分かりました。ご用件は?」

「マリンさんが脱獄したとのことですが、ぼくたちは前に被害にあった身です。だから探偵としてこの事件を解決しに来ました。」

デカゲロが冷静に答える。

「分かりました。どうぞ。」

警備員から刑務所の地図を貰った。

門が開いた。

 

檻がある部屋へ来た。

たくさんの容疑者が檻に入れられている。その中には、以前製薬会社を爆破したピカミもいた。ピカミは、デカゲロを眼中に入れた途端、デカゲロを睨みつけた。

デカゲロは、ピカミから目を反らして歩いて行った。

 

3 証拠は?

 

デカゲロたちは、牢獄まわりを歩いていた警備員に聞いた。

「マリンが入れられていた檻はどれですか?」

「こちらです。」

と、警備員は優しく答えた。

「みんなで証拠があるか探すんだ。」

「うん。頑張ろう!」

メガゲロが答えた。この事件に関しては、メガゲロが一番頑張ってくれそうだ。

そして、しばらく、その檻の中を探していたのだが、特に証拠らしきものは見つからなかった。

「うーん……。ないみたいだね。とりあえず今の時点で脱獄に使えそうなものはないね。この部屋は換気扇や通気口もないし。」

デカゲロの言葉に、メガゲロはしょんぼりした。

「……他の受刑者の部屋から脱獄したとかはないのかな?」

しかし、警備員さんが、

「檻のなかには換気扇や通気口は設けていません。」

と答えた。

「そっか……。」

メガゲロは更にしょんぼりした。

「じゃあ聞き込み捜査だね……。」

聞き込み捜査はメガゲロが苦手で、嫌いな分野だ。

「他の受刑者に何か気づいたこととか、もしくは知っていることがあるか聞いてみましょう。」

 

4 聞き込み捜査

 

「すみません、マリンはいつまでこの部屋にいましたか?」

なかゲロがある受刑者に聞く。

「さぁ。俺が起きた時にはいなかったぜ。俺が起きたのは9時だが。」

他の受刑者は、

「私が起きた時もいませんでした。朝食に行ったのかと思いましたが。あっ、私が起きたのは6時半です。」

「ぼくは起きてすぐ朝食に行きました。この部屋でマリンさんは見てないですね。ぼくがぼーっとしてたから気づかなかったのかもしれませんが。」

「今日の朝3時くらいにトイレの方面に向かって行ったのを見ました。」

と言った。

「朝3時にトイレの方面というのは関係がありそうだなぁ。」

「でもデカゲロくん、ただ普通にトイレに行ったっていうのも考えておかないと。」

と、とくゲロ。

「分かっているよ。」

「でも朝3時以降だね。脱獄したのは。」

「うん。」

「ねぇねぇ、デカゲロくん。他の階にも行こうよ。」

とくゲロが言った。

受刑者がいるのはこの階だけではない。

他の階の受刑者にも話を聞いてみようということなのだ。

一行が移動しようとしたその時、

「あっ!!」

メガゲロが大声を出した。

 

5 メガゲロが発見

 

「なに??なにメガゲロ。」

「ほら……見て。」

メガゲロが指差すところは檻の柵のすぐそばの床。

「特に何もないよ。メガゲロ。行こう。」

デカゲロが言う。

「もー!何で気づかないの!!この床、カーペットっていうか、壁紙を床に貼るというか、床紙っていうのか分かんないけど、何か貼ってあるじゃん。他の部屋はないよ。」

「本当だ!メガゲロ、すごい。ぼくもなかなか気づきませんでした。」

なかゲロが褒めた。

よーく見てみると、床紙が少しめくれていたのだ。

「ベッドとかタオルとかで見えなかったけど、この床紙をめくったら、なんかあるんじゃないかな。」

ということで、4人で床の床紙をめくった。

すると、出てきたのは……。

「板だね。」

部屋の奥の隅の床がへこんでいる所に板がある。

「板なんて脱獄に使えるの?この部屋だけ壊れてたとかじゃなくて?」

とくゲロがつぶやく。

しかし、その板を外してみると……。

「穴が出てきた。」

ちょうど1人入れそうな穴だった。

マリンはここから脱獄したのだろうか。

一番痩せているなかゲロが入ることに。

なかゲロは、スマホを持って、中を撮ることにした。

「つながっているところが近かったら戻りますが、もし遠くだったら、連絡します。」

そう言って、なかゲロは入っていった。

 

6 なかゲロ……。

 

なかゲロがいつまで経っても出てこない。

電話も来ない。

時計を見ると、3時間程経っている。

デカゲロは、スマホを取り出した。

「なにするの?」

とくゲロは興味津々。

「とくゲロのスマホにもGPSがついているでしょ、なかゲロがどこにいるか調べるんだよ。」

スマホ画面に出てきた、なかゲロの位置は……。

「ここから地下10m、東に7mだって。」

「え、全然進んでないじゃん。見間違えじゃないよねkmと。確かにmって書いてある……。」

デカゲロはなかゲロに電話を掛けた。

「もしもし。」

「はい。はぁはぁ。」

なかゲロは凄く苦しそうだが……。

「あの、なかゲロ、全然進んでないみたいだけど……。」

「すいません……。ぼくにはこういうのは無理です。」

「だったら早く言ってよー。」

「すいません……。今から戻ります。今すごくトイレ行きたいんで、進んだのに戻ってしまいました。」

「はぁ……。早く来て。」

5分後くらいになかゲロが戻ってきた。

「トイレ~!」

なかゲロが走って通り過ぎた後、

「違う人にしよう。」

とデカゲロは言った。

「次は一番体力がある人ね。」

「じゃあぼくやる~。」

メガゲロが答えた。

「トイレ行ってね。」

とくゲロが注意する。

「もちろん行くよ。ぼくなかゲロくんとは違うもん。」

メガゲロは、ちゃんとトイレに行った後、穴に入った。

 

7 どこにつながっている?

 

約1時間後。メガゲロから電話が来た。

「マンホールから出たらね、何か知らない人の家に来ちゃった~。」

「どこ?」

「知らな~い。GPSで見ればいいじゃん。」

デカゲロはむかっとしながらスマホの画面を見ると……。

「ここから北東に10km ピクルス市中々町3-4-9」と出てきた。

「あ、ここぼくん家からすぐです。車で向かいましょう。」

 

メガゲロが来たところは……なんと、マリンが住んでいた家だ。

「もしかしてマリンいるかな?」

とくゲロが心配そうに言うが、メガゲロは、

「ぼくが見る限り誰もいないと思うよ。人気がないし。」

と言った。

「とりあえず、刑事さんにでも報告だね。」

デカゲロは電話をする。

「もしもし。デカゲロ事務所のデカゲロです。マリンが収容されていた檻の床から、穴が見つかり、それが、マリンの家に繋がっていることが分かりました。」

横でとくゲロが、

「よーし、事件解決だねっ!!」

と嬉しそうに言った。

「とくゲロくん。まだマリンは見つかってないよ。」

とメガゲロ。

とくゲロはしまった!というふうに、

「あ、、、、そうだった。。。。」

と言った。

「あとはマリンを探すのみだね。」

 

8 マリン捜索

 

「マリンどこいるんだろう……。」

「あっ!見て見て!あそこに囚人服があるよ!」

メガゲロがまた発見。

「本当だ!この家で着替えたんだね。この家入れるかな?」

「入ってみれば~?」

と、メガゲロ。

「あ、ドア開いてるね。」

デカゲロが足を踏み入れる。

その瞬間。

ぶーっ!ぶーっ!ぶーっ!

「なんか鳴ったよ。」

「なにこれ!?」

四人は唖然としてその場に突っ立っていた。

 

5分後位に警察が来た。

「不法侵入で逮捕!……デカゲロさんですか。捜査ですか?」

「はい。」

「特別に許してあげましょう。」

その時、メガゲロの目に、警察官の奥に青い物体が映った。

「あ!!!マリン!!!」

「えっ!?」

警察たちが追いかける。

「頑張れ頑張れ~!」

メガゲロは自分で追いかけずに応援。

もちろん、他の三人も移動していない。

「捕まえたぞ!!」

遠くから警察官の声が聞こえた。

 

9 再逮捕

 

マリンは再逮捕され、刑務所に連れ戻された。

マリンは買い物から帰ってきたところで捕まえられたらしい。

マリンは、地下から脱出したので、マリンの部屋は1階ではなく3階に移された。

そして、1階の受刑者たちの脱獄を防ぐため、地下には地下鉄が通されることになった。

さらに、刑務所ショップでの床紙・壁紙の販売も禁止された。

この事件は、刑務所の欠陥もあって起こった事件であった。

 

「ふう。疲れたね。」

「疲れましたね。」

「なかゲロくんは全然役に立ってないよ!」

メガゲロが怒った。確かに、この事件で最も活躍したのはメガゲロだ。

「だってさ、『トイレ~!』って子供みたい。」

「……すいませんでした。」

「でもとくゲロくんもマヌケだったよね。『よーし、事件解決だねっ!!』って自信たっぷりに言ってたし。」

「興奮しちゃったの……。」

二人はメガゲロに叱られている。

とくゲロはともかく、なかゲロよりメガゲロの方が探偵らしい。

「次はちゃんと活躍出来るように頑張りたいです……。」

なかゲロが反省しながら言うと、メガゲロは調子に乗って、

「せいぜい頑張ってね。」

と言った。

「こらー!むかっ先輩ヅラしてんじゃないの!」

なかゲロに怒られた。

デカゲロはそれを微笑ましく見ていた。

 

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