起業家の不都合な真実 その4 | TOKAオフィシャルブログ

起業家の不都合な真実 その4

<大いなる想定外ベネフィット>
ボーカルレッスンによって腹式呼吸ができるようになった私は、今までよりも落ち着きが出た。
集中力が今までよりも高い基準で発揮でき、そして長続きした。
これは仕事でも学びでも役立つ、人生の質を大幅に向上させる武器となった。
「私は集中力が低い人」だと、それは人格、性格だから変えられないと思っていた思い込みが解消された。

私の姉の成績はオール5だった。文章を書けば市長から賞状をもらい、走ればメダルをもらい、
泳げばメダルをもらい、絵を描けば受賞して盾をもらい、
中学のバドミントンではキャプテンとして全国大会ベスト8までいった。
バドミントンの羽根(シャトル)が数個入る筒には、メダルがゴロゴロと詰まっていた。

1つ蛇足。
私が中学生の時、美術で印鑑を作る課題の際、作品の仕上げを姉に手伝ってもらったことがある。
ものづくりが好きな姉には丁度良かったのだろう。テレビを観ている間に、持ち手部分を見事な球状に仕上げてくれた。
肉眼では完全な球に見えた。うまく出来過ぎていて、私の技術では絶対ムリなレベルだったので、
そのまま出すと自分1人で作っていないとバレると心配になり、
当初の仕上りイメージと異なるけれど、彫刻刀で球に穴を開けた。


姉はギター、ベース、ドラム、トランペット、キーボード、ハーモニカなど楽器もできた。
多分天才ではなく、秀才だ。ギターを始めると、毎日延々と深夜母親が本気で怒るまで必ず没頭していた。
ドラムは音が全然ならない練習セットだったから良かったけれど、
トランペットを廊下がない造りの3LDK都営アパートで練習するのはムリがあった。
姉はしばらく続けていたが、近所の河川敷で練習するようになった。
騒音公害に耐えるために父の立派なヘッドフォンを借りて、私はゲームをしていた。

そんなオール5の姉から見ると、私はなぜそんな不器用なのか「理解できないレベルのバカとの遭遇」だったのだろう。
それを証明する言葉が姉の口から出てきた。

「仁(ひとし)はのび太なんだよ。」

これはすごく悔しかったが、現実的にオール5を実現し続けている勉強もスポーツも音楽もできる姉から見たら、
そう映るだろうなと、悔しいのに共感できる私がいた。
色々と私の現実を覆すために、中学生時代は気まぐれで早朝走ったり、気まぐれで本を読んだり、
少しだけ行動したけれど、本気で変わろうと思っていなかったのか、取り組む機会は少なく、またその姿勢もいいかげんだった。


そんな過去を持つ私には、ボーカルレッスン通いから棚ボタ的に得られた「集中力」は、
人生で実現できる幅が何百倍にも広がった、自分自身の可能性を今までのそれとは別次元のサイズで感じた瞬間だった。

「前向きになろう!」なんてスローガンじゃ人は変われない。
「行動しよう!」なんて、最悪だ。気まぐれで動き始める人は確かにいるかもしれないが、気まぐれじゃ結果は出ない。
それに誰だって内容はともかく行動はしてる。チャレンジだって、
それぞれがそれぞれのタイミングでそれぞれの考えで、それぞれのやり方でしてるんだ。

「もうこれ以上の負担はムリです。」と弱音を吐きたいところで、「ガンバレ!」なんてタニンゴトの距離感で言わないで欲しい。
応援の声掛けをするよりも、ボーカルレッスンへ通う機会を社会に広めてくれた方が人々は幸せになれると本気で思った。