渡辺君に聞く。 | 明け行く空に…。  ~ひねもすひとり?~

渡辺君に聞く。

今日もいつもと同じ電車で家路を急ぐ。
そして、そんなオレの横には、やはりいつもと同じように渡辺君がいた。

ただひとつだけいつもと違うことがあった。
今日はいつもより可愛く見える女性が、この電車に沢山乗っているような気がすることだ。



なぁ渡辺君、この電車ってさぁ、いつもこんなに可愛い女の子乗ってたっけか?



渡辺君は、どれどれと辺りを見渡して確認して答える。



そうですかぁ、いつもこんな感じだと思うんですけど…。



いや、そんなことはない。
確かにいつもとは何かが違うんだ。
それだけは間違いない。

気になったら末代まで…が信条の渡辺君が改めて女性をチェックする。
ひとりひとり舐めるように確認する。
ついでにオレのことまでチェックする。



先輩分かりましたよ!いつもより可愛い女性が沢山いるように見える理由が!



さすがは渡辺君だ。頼れる男ナンバー1の称号はダテじゃない。
オレはさっそくその理由を聞いてみる。



やだなぁせんぱーい。ほら、窓に映った自分の顔をよく見てくださいよ。



そういわれて窓に映る己の姿を確認してみる。
ない!
そこにあるべきメガネが無いのだ!



渡辺―!オレのメガネがねーぞ!こりゃどういうことだ!



それに対し、青い顔して彼が答える。



先輩!きっとお洒落泥棒の仕業ですよ。



渡辺!そうすると犯人はこの中に!?



いや、そういえばさっき先輩の机に置いてありましたよ…。




あぁ、見えない方が幸せなこともあるとは、こういうことだったんだと初めて知った夜…。




以上。




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