それでも君には戻れない 後編 | 空中楼閣

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主にス キ ビ二次ブログです。
原作者様および、出版社様各所には一切関係はありません。
管理人は敦賀蓮至上主義の蓮キョのみの扱いになると思います。

いりる様からのリクエスト、後編でございます!!

さてはて、どこまで馬鹿尚を打ちのめせるか・・・それが問題(-.-;)
では、どぞっ!!



それでも君には戻れない 後編



キョーコに会おう!
そう思った尚の願いが叶ったのか、それは以外にも早くに叶う事となった。
それも最悪な形で・・・。



その日、取材で都内某所のビルに来ていた。
取材が終わり、この後のスケジュールを確認しに行った祥子を尚は一人自販機スペースで待っていた。
買ったコーヒーのカップを玩びながら祥子を待っていると、こちらに向かってやってくる楽しげな声が聞こえた。
もし、ファンなら面倒な事になるかもしれない。帰国してから、取材だの何だのと立て込んで尚は少々疲れていた。
ここに居れば見つかる事はないのだが、虫の知らせだろうか?尚はフラフラと休憩スペースから出て声のする方を見た。
その中の一人の声に聞き覚えがあったのだ。

その直後、尚は後悔することになる。

こちらに向かって歩いて来るグループの中に、尚が会いたかったキョーコがいたのだが・・・キョーコの横には当然の様に寄り添う蓮の姿があった。
その少し後ろをキョーコと蓮のマネージャーがいた。

キョーコは楽しげに蓮を見上げ話し掛け、それに蓮がこの上ないほど柔らかな笑みを浮かべて聞いている。
それだけでも尚のカンに障るのだが、あろうことか二人は指を絡めて手を繋ぐ、所謂カップル繋ぎをしているのだ。

知らず手に力が入っていた尚は、持っていたカップをグシャリと握り潰していた。
その反動でまだ残っていたコーヒーが尚の手を濡らすが、その事に尚は気付く事はなかった。

カップの潰される音に気付いたのは蓮だった。

「おや、不破君じゃないか」
「えっ?あ、ほんと・・・」

蓮の視線を追って、キョーコもようやく尚に気付いた。
だが、その間も手はしっかりと繋がれたままだ。

「お祝いに来てくれたのかな?幼なじみのよしみで・・・」
「あら?そうなの?」

嫌みたらしく聞いた蓮に、キョーコはコテンと首を傾げて尚を見た。

「な、何の事だよ・・・お祝いって」
「え?何って・・・」
「・・・ああ!もしかして、知らないのか?俺達の婚約の事」
「なっ!?」
「えええっ?・・・そういえば、アンタ、最近見なかったわね・・・」

せいせいして気にも留めなかったけど・・・とさりげなく毒を吐くキョーコの髪を梳きながら、考え込んだ蓮に社が教えてやる。

「確か、この間までレコーディングで日本にいなかったはずだ」
「ああ!そういえば、そうでしたね。確か、俺達と入れ代わりで渡英したんでしたっけ?」

成る程と納得した蓮とはうって変わり、やっと覚醒した尚が噛み付いた。

「何、訳わかんねー事言ってんだよっ!大体、婚約ってなんだっ?キョーコは俺のもんだろうがっ!!それに、ニュースでもそんな報道はどこもしてねーじゃねぇかっ!!」

噛み付く尚に蓮も社も呆れ顔だ。

「君は馬鹿か?俺達の婚約発表は一月も前の事だ。一月も経てば、新しいニュースが話題に上がるものだ」
「なっ!?」

そんな事も分からないのか?と首を振る蓮に尚は愕然とした。

「一月前・・・嘘だっ!俺は信じないぞっ!大体、そんな色気のない女と・・・」
「色気がない?は~、君の見る目のなさには呆れてものが言えないよ。ま、おかげで真っさらなキョーコを手に入れる事が出来たけどね?」
「貴様っ・・・キョーコから離れろっ!そいつは俺のものだっ!!」
「アンタ!まだ、そんな・・・えっ・・・んんっ・・・」

身勝手な尚の言い分にキレたキョーコが言い返そうとした時、蓮に腰をさらわれ見上げたキョーコはそのまま唇を塞がれた。

咥内に入って来た舌に驚いて眼を見開いたキョーコだったが、すぐに蓮のキスに夢中になった。
蓮の首に腕を回し、自らも蓮の舌を追い掛ける。

んーーーーーっ

1分・・・2分・・・5分・・・経過。
まだ、二人の唇はピッタリとくっついたまま。

「んっ・・・ぁんっ・・・ふっ・・・」

時折り、なまめかしいキョーコの声が辺りに響く。
ちなみに、この二人のキスが始まってから敏腕マネージャー2人は人が来ない様に見張りに立っている。

(な、何が起きてるんだ・・・)

目の前の光景が信じられなくて、尚は邪魔することを忘れて固まってしまった。
カクンとキョーコの脚が力を失うとすかさず蓮がキョーコを腕に抱き上げ、手すりに座らせる。
だが、まだ二人のキスは終わらない。それどころか、更に熱中していく。最早、お互いしか見えていないのは明らかだった。

そして、キョーコは壮絶なまでに色っぽい表情で蓮のキスに応えている。そこには尚の知っているキョーコはどこにも居なかった。

7分・・・10分が経過した頃、さりげなく時計を確認していた社は砂を吐きすぎてじゃりじゃりする口の中を堪えて咳ばらいをした。それを合図に蓮はようやくキョーコの唇を名残惜しそうに離した。

「ふぁ・・・」

銀色の糸が二人の間を繋ぎ、ぷつりと切れる。
キスの名残で潤んだ瞳でキョーコが蓮の首筋にコテンと顔を預けて文句をぶつけた。

「・・・もぅ・・・こんなところで・・・バカ・・・」
「嫌いになった?」
「・・・好きですもの・・・」

身体の力の抜けたキョーコを支えながら、色気たっぷりで耳元に囁かれた言葉にキョーコはフルフルと首を振りながら甘える様に蓮の腰に腕を回した。

「・・・こんな奴、ほっといて・・・おうちに帰ろ?」
「だね。歩ける?」
「誰のせいだと・・・」
「クスクス。車まで頑張って」

腰に腕を回すキョーコをコートの中に入れ、何が起きているのか把握出来ないまま真っ白な石像となっている尚を置いて、大量の砂を吐いている社と美樹の元に颯爽と歩み寄った。


蓮達が去った後、残された尚はフラリと動き出したが、すぐに何かに足を取られ無様に転んでしまった。それは先程、社と美樹がマーライオンが如く大量に吐いた砂の山だ。その上に座り込んだ尚は探しに来た祥子が発見するまで真っ白な灰になり、この後数日間使い物にならなかった。


Fin


後編、なたらと長くなりました・・・。
それと・・・すみません!タイトル変更しますっ!!
いりる様、よければお持ち下さいませ!!