ちょっと前に読んだ本の話

「カポネ」 佐藤賢一著


カポネは以前から興味があった

興味というより好み


混乱した時代の中で

何かを成し遂げようとする人はいい


日本であれば、幕末の新撰組

中でも土方歳三は特にいい

新撰組はまたにしてカポネのはなし


アル・カポネ(アルフォンス・カポネ)

両親はイタリア(ナポリ)からの移民で

カポネ自身は1899年ブルックリン生まれ


幼いころからやんちゃで頭がきれ

若いころはジョニートリオの子分として

ニューヨークのフランキー・イェールの店で

用心棒件バーテンダーとして働く


お金の扱いに長け、ビジネス感覚に優れ

禁酒法をビジネスチャンスにしのしあがる


禁酒法は「合衆国憲法第18修正条項」の通称

1920年に施行され1933年に廃止される

「高貴な実験」ともよばれるが

実効性に乏しい悪法の代名詞ともなる

禁酒法は飲料用アルコールの製造・販売・運搬等

を禁止したが飲酒自体は法律の対象でなかったため

闇酒販売が大きなビジネスチャンスとなった


この時、カポネはシカゴに移り

ジョニートリオとともに

密造酒製造・販売を行い莫大な利益をあげる


ボスをついでからは

シカゴ市長をはじめ警察・政治家などを買収し

影の市長といわれるようにまでなった


生活貧窮者に対する食事の無料給付を行い

市民からの支持を得たり

マスコミを活用し大衆の支持を得たりする反面

敵対する組織は残忍な手段で壊滅に追い込む


人気・力を兼ね備えた正真正銘のギャングスター


1931年

アンタッチャブルで有名な

エリオット・ネスに脱税容疑で摘発され

言い渡された判決は

懲役11年

脱税容疑では異例とも言える量刑で

普通は脱税なんかではいかないはずの

悪名高いアルカトラズ刑務所に収監される


カポネが犯した犯罪は殺人・買収・売春・賭博・・・・・

しかし捕まった理由はそういったものではなく

まして禁酒法違反でもない


脱税


あからさまな別件逮捕に不当とも思える量刑の重さ


裁判でもカポネ陣営は

あらかじめ陪審員のほとんどを買収していたが

裁判当日にまったく別の事件の陪審員と

そっくり入れかえられたり・・・


「力」がないと何もできないが

持ちすぎるとやられるということか???


晩年は梅毒におかされ精神病にもおかされながら

1947年に生涯を閉じる


感動のシーンは

子供のころにカポネに助けられた男が

カポネの妹の店をたずねる場面


力をもたない良い考えは何も生まないが

悪い力も良く使うことができるということか?


うーん   ムズカシイ


また、この本の中で

イタリア人特有のカンパリニシモ(カンパリニスモ)

※郷土愛・愛郷精神

に裏付けられたファミリーの絆が語られているが

いなかもののわたしには非常に共感できるものがある


読み終えて考えたことは

一時的にではあるにせよ

なぜカポネが成功したのかということ


たぶん、その大きな理由は

カポネが悪いこともできる人間だったから

ということではないかと思った


悪いことのできない人間というのは

あれはダメ これはダメ と

自分自身でやれないようにやれないように

枠を狭くつくっているのではないかと思った


悪いこともできる人間は

その枠が広い分だけチャンスが広がる

ような気がしてならない


でも、それが正しい考え方ではない気もするし


やっぱり   ムズカシイ




このあと、ゴッドファーザーとⅡを

続けて見てしまいました