この度はお忙しいところ、このブログにお立ち寄りくださいまして、有難うございます。
このブログをご覧くださっていらっしゃる全ての皆様の、ご健康とお幸せを、心よりお祈りさせていただきます。

 

さて、少し前の事になりますが、東京・上野の東京都美術館で開催されておりました「ポンピドゥー・センター傑作展 -ピカソ、マティス、デュシャンからクリストまで」を見に行って来ました。

最近では、買い物などの外出はめったにしなくなりましたが、こうした美術展には足を運ぶようにしています。

 

今回の展示では、フランスはパリの美術館であるポンピドゥー・センターの収蔵品のうち、1906年から1977年までに製作された作品を、1年に1作品ずつ時系列に紹介してあります。

20世紀美術の、おおよその流れがわかりますね。

 

それでは、今回展示されている作品のうち、何点かをピックアップしてご紹介させていただきます。

まず最初は、こちらになります。

これは、ジョルジュ・ブラックの「レック湾」と言う作品で、1907年制作です。

 

ブラックと言えば、ピカソと並んでキュビズムの代表的作家のように言われていますが、このようなフォービズム的な作品も残しているんですね。

 

フォービズムとは、このように色彩の印象が強烈な物を言います。

ちなみにキュビズムとは、立体的に見える物を平面的に描いているのが特徴です。

 

続いては、こちです。

これは、オーギュスト・シャボーの「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」と言う作品で、1908年に描かれています。

 

このブログをずっとご覧くださっていらっしゃる方は、覚えていてくださるかも知れませんが、以前ルノアール展をご紹介させていただいた時にも、この「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」が出て来ましたよね。

 

「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」は、このようにパリの人達が集まる憩いの場だったようです。

この作品では、夜の様子が紹介されていて、新鮮です。

 

次の作品に行きましょう。

こちらは、1916年制作のピエール・アルベール=ピロの「戦争」と言う作品になります。

 

この作品で気になった点が3つあります。

1、黒いギザギザの線

2、先が鋭くとがった三角形

3、分断された円

 

ちなみに、1は砲弾の上げる煙、2は兵器、3は崩れ去った平和、を表しているように見えました。

皆様は、どういう印象をお持ちですか?

 

そして、次はこちらになります。

こちらは、マルク・シャガールの「ワイングラスを掲げる二人の肖像」と言う作品です。

1917年の作品です。

 

この作品、登場人物はシャガール本人とその妻ベラになります。

そして背景は、その当時のパリの様子です。

 

大変な愛妻家として知られたシャガールでしたが、ベラが早くに亡くなり、その悲しみが表れている作品が多く残されています。

ちなみに、この2人が登場する作品や、パリを舞台にした作品はシャガールの中では非常に多く、この作品もひと目でシャガールだと分かったほどです。

 

続いての作品は、こちらです。

こちらは、ル・コルビジエの「静物」と言う作品で、1922年の製作になります。

 

この作品には、ご覧の通りビンやパイプが描かれています。

しかし、輪郭を始めビンのラベルやパイプの細部などは、敢えて省略されています。

 

そして、色の塗り方も割とベッタリした感じです。

多少の陰影はありますが・・・。

 

これは、物体の持つ純粋さを表現するために敢えて取られた方法のようです。

 

そして、次はこちらです。

これは、ジャン・ゴランの「くぼんだ線のある新造形主義的構成32番」と言う作品です。

1934年に製作されています。

 

写真ではお分かりになりにくいかと思いますが、この作品、全体が「枠」で囲まれています。

そして、真ん中の線も浮き上がった3次元の物体です。

 

このようにして、奥行きが表現されています。

 

またこの作品では、絵画、彫刻、建築などの境界をあいまいにする狙いがあったようです。

 

続いては、こちらです。

こちらは、パブロ・ピカソの「ミューズ」と言う作品です。

1935年に製作されています。

 

まずこの作品の中央に座っている女性、こちらはマリー=テレーズだと言われています。

一方、右側のデッサンする女性は姉のジャンヌ、又は人によっては当時の妻オルガだと言う説もあります。

 

ピカソはその生涯で7人の恋人がいた、と言われています。

また、恋人が変わると作風も変わった、とも言われていますが、単純にその時代で「どういう作風が一番売れるか」を追及した人だったのではないか、と思います。

 

ちなみに、個人的には「青の時代」のピカソが一番好きだったりします。

 

続いては、こちらです。

こちらは、1937年制作のヴァシリー・カンディンスキー「30」と言う作品です。

 

その名の通り、カンヴァスを30に区切っています。

そして、ありとあらゆる直線や曲線が、所狭しと躍動しています。

 

そう、何か躍動感に溢れ、音楽に合わせて動き出しそうな印象さえあります。

 

カンディンスキーは、白と黒のコントラストや微生物の細かな動きを表現したかったようです。

風景画や人物画も多数描いていますが、このような抽象的な作品の方が有名ですね。

 

次の作品は、こちら。

こちらは、フルリ=ジョセフ・クレバンの「寺院」と言う作品です。

1941年に製作されています。

 

この作品の一番の特徴は、下の部分のお寺の建物と上の部分の人の顔でしょうね。

お寺だけに、浮遊霊のようにも見えます。

皆様は、いかがですか?

 

クレバンは、このように想像上の物を多数作品に描いています。

そして宗教的な要素の多い、神秘的な絵画が多数残されているようです。

 

さらに次の作品は、こちらです。

こちらは、1948年製作のアンリ・マティスの「大きな赤い室内」になります。

 

マティスと言えば、フォービズムを代表する画家の一人です。

この絵も「赤」がとても印象的ですよね。

 

そして、この室内をモチーフにした作品は、マティスが一生描き続けた物でもあります。

室内に飾られた絵や、床の敷物、テーブル以外は全て強烈な赤で表現されています。

 

続いては、こちら。

こちらは、シモン・アンタイの「未来の思い出」と言う作品です。

1957年に製作されています。

 

この作品は、まず最初にカンヴァスを一面に真っ黒に塗ります。

そして道具を使って、まだ乾いていない絵の具の一部をはぎ取ります。

 

身体を使った動きを表現した作品になっています。

そして、その身体を使った動きは2度と同じ事が出来ません。

 

つまり、同じ作品を2つ作る事が出来ないんです。

そういう意味では、贋作が不可能な作品と言う事が言えるでしょう。

ポーリングなども、そうですよね。

 

そして、最後はこちらになります。

こちらは、エロの「マダム・ピカビア」と言う作品で、1959年に製作されています。

 

この作品の最大の特徴は、雑誌を切り抜いて、それを貼り合わせている、と言う点にあるでしょう。

今で言うところの、「コラージュ」ですよね。

 

この作品のテーマは「機械と人間の混合」だそうですが、確かにうなずける物があります。

またエロは、機械に対する愛着が強かったとも言われています。

 

 

以上簡単ではありますが、今回の展示についてご紹介させていただきました。

なお、このブログでは絵画がほとんどですが、実際の展示では写真、オブジェなどのアート作品も多数展示されています。

 

また、1年1作品の紹介と言う形式を取っていますが、1945年には作品の展示がなく、代わりにエディット・ピアフの歌が流れていました。

エディット・ピアフと言えば、フランスの代表的なシャンソン歌手ですね。

今でも彼女の歌が頭に残っていますが、こうした絵などよりも、音楽の方があるいは強く印象に残るのかも知れませんねえ・・・。

 

 

さて、今回も長くなってしまいましたが、最後までお読みくださいまして、有難うございました。(^◇^)