日本の「バイリンガル育児」「マルチリンガル育児」
というカテゴリーのブログや、育児掲示板等を
拝見いたしますと、これらの育児実行中のご家庭は
大まかに申し上げて3つのグループに分かれております。

まず、海外にて、
日本語を含む親の母語と現地語で育てている家庭(1)
そして、日本国内にて
日本語と外国語で育てている家庭で
親が、その外国語を母語とする場合(2)と
親が、その外国語を母語としない場合
この外国語を母語としない場合は、さらに
親が、その外国語に流暢である場合(3)と
親が、その外国語を使えない場合(4)にも分けられるので
全体で、4つと申せますでしょう。

さて、
実は、この4つのグループにとって
「バイリンガル/マルチリンガル」という言葉は
定義から実際から何から何まで
全く異なっている事が多いのでございます。

よって、同じ言葉として話を進めようとすると
誤解が生まれてしまうものなのですが
一般的に
自分が外国語で苦労したから、子供には
同じ苦労をさせたくない、という親心で
早期に複数言語育児を始める親御さんの中には
その親心のあまりに肝心な部分を
見落としていらっしゃる方が少なくありません。

子供の言語習得が「一見、ラクそう」に見えるのは
子供にとって言語習得が、
不可欠な生活技術であるからに他なりません。
大人が趣味でやる語学や学校で習う授業としての語学と
子供の言語習得は、全く性質が異なります。

子供は、この不可欠な生活技術の上に
一生を築いて行かなければなりません。

第一言語の能力は、思考力や
第二、第三..言語の到達できるレベルに直結いたします。

それだけ重要な技術獲得であるからこそ
大人の目には、大人よりも早く習得できると見えるような
「莫大な力」が与えられているのです。
その力は、子供の内面から
泉の様に湧き上がってくるものでございます。

子供には「無駄な時間」など、ありません。
むしろ、無駄な時間があるとしたら
それは、「無駄」という事を理解していない大人が
「無駄な時間の無いようにと埋め尽くす時間」
子供の内面から湧いて来る力を無理矢理
押さえつけるような時間でございましょう。

そして、言語という木を根太く健康に育てるためには
この、一部の大人には「無駄」とうつってしまうような
「余白」の時間が、絶対、不可欠なのでございます。

子供は
複数言語が必要であれば、必死で獲得いたします。
その必要性が無ければ、そうそう必死にはなれないでしょう。
しかし
第一(或は主要)言語を根太く健康に育てるためには
親は、子供の内面から湧いて来る
「表現したい」「考えたい」「知りたい」等という意欲を
尊重し、最大の注意を払いつつ
広い視野で、子供が与えられている力を信用し
大人の「人工的な方法」で損なわないように
見守る必要があるのではないでしょうか?


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