4月22日。

夕方、芦屋のクリニックの先生から連絡が入る。

先生の同級生が県内の大学病院に教授として赴任しているので、そこを紹介する。

明日23日に予約を取ったので外来で受診するように。

データは全部送ってある。

明日を逃すと次は5月20日以降になる。

との事だった。


実はこのクリニック自由診療である。

初診料も検査料も貧しい我家にとっては目の飛び出る金額だ。

しかし、この先生にしか出来ない動きをマメに素早くしてくれる。

入院まで細かくフォローして下さった。

このクリニックでKさんのようにパパもチャチャッと内視鏡で腫瘍が取れるなら…などと考えていたが、パパの癌はそんなに甘くはなかった。


明日は、こちらの市立総合病院の結果が出る日だ。


パパが大学病院へ、私が市立総合病院へ結果を聞きに行く事になった。


4月23日。

大学病院

紹介された教授とクリニックからのデータを元に問診や今後の検査スケジュールをたてる。

一人で来院した事を訝られたそうだ。


市立総合病院

病理組織検査の結果はやはり食道癌。

内視鏡の映像を見せて貰いながら説明を受ける。

そして、この病院では治療が出来ないので医師はあらかじめ自宅から1時間程の隣市にある病院に紹介状を書いていてくれた。


医師に断りも無くセカンドオピニオンを受診し、そこから既に別の病院を紹介をしてもらい、今日パパがそこの病院を受診している旨を詫びながら話した。


医師からしてみれば、失礼この上ない話だ。 


忙しい中、紹介状を書き、万端整えて待っていたら患者は既に他の病院を紹介されて受診している。


それでも先生は快く

「違う病院の先生宛てだけど、データの中身が変るわけじゃないから。」

といって書類を入れた封筒を持たせてくれた。


4月24日。

昨日、市立総合病院からいただいたデータを持って再び大学病院へ。

またしても、パパ一人で行く。

私が一緒に行くと言っても「いいから」と言って聞かない。


人並み外れて心配性の私に病態を詳しく知られたくないのだろうか。

多分、21日の暗く重い霧の中、酸欠に陥ったかのようなあの空気を再び作りたくないのだろう。


造影CT検査をして帰宅。


4月30日~5月1日。

大学病院に1泊入院して超音波内視鏡他いくつかの検査をする。

またまた一人で出かける。

しかも今回は入院が伴い、病院規定では入院時の駐車を禁止しているというのに…。


この大学病院、県内といっても釣針のように突き出た半島にある我家から車で2時間半もかかる。


送っていくと言う私の言葉など無視して一人で行ってしまった。

私だって、キチンと医師と話がしたいし、ご挨拶もしたい。

病院や病棟の雰囲気も知りたい。


そんな風に思っているとパパから電話がかかってきた。

「先生から家族を呼んで欲しいと言われた。明日の退院時に病院にきてくれ。」


やったー! やっと医師と話ができる。

聞きたい事が山ほどある。

ステージは? 治療方針は? 治療は何時から? 手術は? 転移の有無は? 

それから・・・・・パパと一緒には聞きたくはないけれど、どうしても避けて通れない壁・・・・・予後は?