豊洲、盛り土なし「認識」 都の前市場トップ
2016/9/30 13:03 [日本経済新聞]
社会
 豊洲市場(東京・江東)の主要施設の地下に盛り土をしていなかった問題で、中央卸売市場の前任のトップが都の内部調査に対し、盛り土がないことを認識していたと説明していることが30日、分かった。小池百合子知事は地下空間が整備された経緯に関する調査結果を同日午後に発表する。

 前任のトップは2012~14年に中央卸売市場長を務めた塚本直之氏。建物の詳細な内容を示した実施設計の期間や、建設工事契約をした時期にあたる。都は塚本氏が「地下空間を認識していたことから、様々な対応を取りうる立場にあった」と指摘。塚本氏の判断の適切性について責任を問う声があがりそうだ。

 一方、内部調査で、盛り土ではなく地下空間を整備することが決まった時期を11年8~9月ごろに絞り込んだことも分かった。

 調査は小池知事の指示を受けて、副知事を中心とする調査チームが歴代の市場部門のトップである中央卸売市場長や市場担当の副知事らにヒアリングを実施。部課長級の技術職、事務職の担当者らにも聞き取りをした。土壌汚染対策を担当する技術職と建物を担当する技術職、事務職を含めた組織全体の情報共有が不十分だったことが原因と総括しているという。

 豊洲市場の建物は、11年10月に工事の実施設計の契約が結ばれ、14年2月に着工。16年5月に完成していた。

 都は地下空間の設置を決めた責任者は特定できていない。小池知事は28日、都議会で「誰が、いつ、どこで何を決めたのか。原因を探求する義務がある」と語っていた。