【知らない平和】
ブラック職場が辛い、という話から、
今はホワイト職場の離職も増えているらしい。
怒られもせず緩い職場にいると、
「自分は成長できないんじゃないか」
「上司はちゃんと見てくれていないんじゃないか」
と不安になって辞めるらしい。
その不安が現実になることについては、
バブル入社組の僕はよくわかる。
売り手市場をいいことに楽して就職できた僕らの世代は、
40歳になる前くらいから肩を叩かれ始めた。
苦労して就職した後輩に抜かれていく人も多かった。
彼らは自分を高める努力を僕らよりしていたし、
そうせざるを得ない環境で強くなっていた。
今の若い人が不安になるのは、
情報が多いせいだ。
他人の収入や暮らしぶりを覗くことができる今、
どうしても自分と比べて不安になるのだろう。
確かに、自分の同世代が自分より高い給与をもらっていたら、
心穏やかではいられない人もいるだろう。
実力社会がいいのか、年功序列賃金がいいのか。
いや、若いうちは実力勝負というよりは、
環境に左右されることも多いから、運も大きい。
どんな上司につくか、どんな部署に配属されるかで、
学べることも経験できることも変わってくる。
何が良いか悪いかは分からなくても、
なんとなくやばい、そんな雰囲気は感じ取れる。
僕は新人研修の最終日を頼まれると、
そんな若者の気持ちを意識しながら、
この1年の過ごし方を提示する。
余計な不安はいらない。
でもこの1年で差が出ることは事実。
自分の将来のためにどう過ごせばいいか、
ヒントを与えながら考えてもらう。
この「考える」ことをして臨む1年は、
そうしない場合よりもはるかに濃い1年になるだろう。