妄想小説です。
軽くBL含みますので、ご注意下さい。





「あの…お気持ちだけで結構…「遠慮しないで、どうぞ?二宮さん」


ワタシの言葉を遮って
櫻井さんが ドアを開ける。

なんだか 有無を言わせない雰囲気がそこにはあって。

結局、ワタシは断りきれずに…
隣の部屋へと足を踏み入れた。



相葉さんが食事の支度をしている間、色々な話をした。

年齢は、相葉さんが1つ、櫻井さんが2つ上で、このアパートに二人で住んでいること。

相葉さんは千葉の出身だとか…

他愛もない世間話が 
ほとんどだったけれど

普段、あまり人に関わる事を
積極的に しない自分が

二人の雰囲気に 引き込まれたのか
思いの外 楽しくて…

気付けば 自分から 話しかけていた。



そのうちに いい 匂いがしてきて
目の前には久しく食べていない
美味そうな  手料理が 並ぶ。

3人でテーブルを囲み
ほのぼの とした 食事風景…



…の  はずだった。


「二宮くんさ…あ、ニノって呼んでいい?
…俺たちのこと気付いてるよね?」

突然、 櫻井さんが  クスクスと笑う。

…え??


「翔ちゃん…当たり前じゃん。
隣、誰も居ないと思ってたから…オレ、声 我慢しなかったんだもん。

ニノの声が聞こえたくらいだもん。こっちの声なんか…当然 聞こえてるでしょ?
『すごいな、お隣さん』って」

相葉さんもクスクス笑っている。


????

何??

やっぱり…
あの時、壁の向こうから 聞こえてきた声は  目の前の二人の…?


っていうか…ワタシの声が 
こっちにも聞こえてた?

思わず…壁を見る。


大きな声を出してもないのに。


じわり、と
嫌な汗が出てきた。


「あ…あの、じゃあ…ご馳走さまでした。  美味しかったです。
ワタシはこれで…」

帰ろうと 振り向くと

いつの間にか….櫻井さんがドアの前へと立ちはかだって いた。


「もう少し  ゆっくりしていけよ。
ニノ、さ…秘密を守るのに、一番良い方法  知ってる?」


心臓が ドキドキと 早鐘を打つ。

ワタシは
頭をブンブンと振った。


「…共犯にしちゃえばイイんだよ」


血の気が サーっと
引いてゆくのがわかった。

目の前の櫻井さんは…
舐め回すように 視線を絡める。


や、でも。
まさか。


この二人が恋人同士と 言うのなら

今日初めて会ったようなワタシを…どうこう しようなんて思わない、よね?


…そう、思いたいんですけど…


「…あの、櫻井さん…
ワタシ、帰ります…」

「?   なんで?
これからが楽しいのに…」


目が…怖い。

….相葉さんなら、変な事考えないんじゃ?

相葉さんの方を振り返る。


「ん?   オレの方が、いい?  
なら…翔ちゃん、オレ しようか?」


…笑顔で言ってますけど
何をですか?  ナニですか?


「まあ、選択くらいはさせてやる?
…ニノ、俺と雅紀。どっちがイイ?」


どっちも結構です。

間に合ってますから…
勘弁してください。


と    言いたいのだけれど


ワタシの言葉は…声にならなくて

金魚のように
口をパクパクとさせるしかなかった。


つづく

2015.2.2  miu