大宮さんのお話です。
これ…エロくなくてツマンナイ。笑







家のカギ を開け

ここまで 送ってくれた 
大野さんに 向き直る。


「…本当に、こんな所まで  すいません。
ありがとうございました…」


違う。

言いたいのは…こんな事じゃなくて。


「うん。
………あの、さ?」



ワタシを 見つめ

何か 言いたげな 大野さんと
視線が絡まる。



「…手…」

「?   … て ? 」

「うん…
離してくんないと、帰れないよ」


見れば  ワタシの 左手は

大野さんの袖口を シッカリと…掴んでいた。

「あ……スイマセン…」


慌てて  離そうとした
ワタシの手を 取り


「あのさ、寄っていって 良い?」


…クスッと 笑いながら
ワタシに 向けられた 
その  やわらかな 笑顔が

行き場の無い  ワタシの 心を
優しく  包み込んでくれた。


「何も…無いですけど?」

「別に  いいよ、何も いらない」


隙間風が入り込む この部屋は
小さな ストーブ 一つでは
とても 暖まりきらず…


中は  冷え冷えと していた。



「…すいません、寒くて」

「いや、おいらの所も 似たようなもんだよ」


それでも…少しでも 暖まれば、と。

コーヒーを入れ、小さなテーブルに置いた。


んふふっ!

コーヒーに口をつけ…
突然  大野さんが 笑い出す。


「…なんですか?」

「いや、さっきから …謝ってばっかだな、と 思って」

「…すいません…」

「ほら、また…」


ワタシ達は 顔を見合わせて 笑った。




「なんか…いいな」

「はい?…何が、ですか?」


大野さん が  ふにゃっとした笑顔を
ワタシに向ける。


「なんか、ずっと前から  知ってるみたい な 感じ。
にの  といると…落ち着くんだ」


真っ直ぐ  向けられた 笑顔が

なんだか…面映ゆくて。


「…ワタシ も、です けど…」


小さな声で
独り言のように  呟いてみた。

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なんだろう…

ジグソーパズルの  最後のピースが
ピッタリと  はまった ような


そんな   感覚。




その日  ワタシ達は

この部屋に 一つしかない
薄っぺらい  布団に  くるまり ながら


ふたり…時間の過ぎるのを忘れ

朝まで  話し続けた。



つづく


2015.3.17   miu