お隣さん 大宮編です。

連投失礼。
移動させてるお話ですから スルーしてね。







コンコン…


ドアをノックする 音が
部屋の中に 響き

返事を待たずに
相葉さんが、ヒョコッと顔をだす。


鍵さえ かかって いなければ

建て付けの悪い このドアは
勝手に開けても良いと

…そう  隣とは 
暗黙の了解に なっていた。

今更…あれ以上
見られて困る事など無いですしね。


雅「ふふっ!こんばんは。
…ねぇ、ご飯食べにおいでよ。

そちらの 彼も一緒に…」

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相葉さんの  人懐っこい笑顔に


さっきまで  

外気と さほど変わらなかった
この部屋の温度が  一気に上がる。


一緒に  春を連れてきたのかな?
…そんな 感覚。


大野さんも
同じ様な事を  思ったのか

キョトン とした顔で
相葉さんを見つめ

家の中でも着たままだった 上着に
手を掛けて 脱ぎかけ…

慌てて 戻した。


せっかくの誘いだけれど

さすがに ふたりで 押しかけるのは
申し訳ないと思い

遠慮しようかと…言葉を探していると


相葉さんは 顔を近づけ  
コソッと言った。


雅「あのね?
翔ちゃんが…心配してるの。

『ニノに 近付くヤツは、ちゃんと
俺が 人となりを確認しないと』
って。

だからさ、彼を 見せて安心させてあげて?」


二「……全く、あのひとも…厄介ですね」


まあ…
薄っぺらい この壁だからね。

話し声も 物音も

多少なりとも
隣には 聞こえているだろうから。


うちに ワタシ以外の誰か

……男が 来ているのは
気付いて いたのだろう。


それを翔さんが心配してくれるというのも…
まぁ  分からなくは…ないのか?


はぁ…

ワタシは  小さな ため息をついた。



隣へ 移動してみると

待ち構えていた 翔さんが
視線を 大野さんへ向ける。

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翔「こんばんは。…どうぞ?」


顔は笑っているけれど
目は 笑っていない。

娘の彼氏を 
品定めするかのような…


そんな  お父さんが、そこにいた。



ワタシと相葉さんは

顔を見合わせ  思わず笑う。


そんな翔さんの 思惑など
気付くはずのない 大野さん。


智「こんばんは!おじゃまします。
わっ!すっげー。
…美味そうだなあ。食べていいの?」


…まあ、普通 チェックされてるなんて
思わないですよね。

ただ…翔さんが 
変な気を起こさないように

そこだけは 気を付けようと
心に誓った。


4人で テーブルを囲み
穏やかな時間が流れてゆく。



智「ところで、二人は….…
恋人、ですよね?」

翔「うん、そうだけど…」


一瞬の 沈黙。


智「やっぱりか!
何か…幸せオーラが でてるから。
そうだと思った」


そう言って  フニャっと  笑うと
空気が やわらかく 動いた。


雅「あの、さ?   どう思う?
…こういうの」

智「??   こういうのって…
あ、男同士って事?それは 別に  いいんじゃない?

だって……好きになるって  理屈じゃないし、ね?」


そう言って…
大野さんは ワタシに視線を預けた。

予想外のパスに驚いて…
思わず 俯く。


自分の耳が  急激に熱を持ち…

このひと
分かって 言ってるワケでは
ないんでしょうけど。


恐らく  真っ赤になっているだろう 
ワタシの顔を 覗き込む。


智「…にの?  どうかした?」


和「何でもないです。
…ほら、大野さん 帰るよ?
ご馳走さまでしたっ!」


何だか  恥ずかしくて…
隣の部屋を 後にした。


つづく


2015.3.22   miu