つづきです


視点潤くん…( ・∇・)








正直、まだ気持ちの整理はついていない。


あれから…7年?


何も言わずに いなくなったのに

俺の中には、ずっと…和がいた。


なぜ?

どうして?


どんなに考えても、決して正解の出ない

自問自答のループを繰り返す俺の前に


あいつは再び現れた。それも突然に。


どれだけ勝手なんだよ。

どれだけ…俺を振り回すんだよ。


怒りにも似た感情に、俺は頭を抱えてしゃがみ込んだ。



…でも、考えてみたら

自分を解放するチャンスなのかもしれない。


7年間の、重く降り積もった雪塊を

砕き、溶かして…


やがて、消えて思い出せなくなるまで。



ふぅ…

息を吐き出し、顔を上げる。


俺は、過去と向き合う決心をした。



無駄に広い田舎の家。


台所とリビング、そして自分の寝室以外は、あまり手入れをしていなかった。

とりあえず空き部屋の埃を払い、掃除機をかけたが、この家には来客用の布団がないことに気づき、諦めた。

冷たい畳の上に直に寝るよりは、リビングのソファの方がマシだろう。エアコンもあるから、毛布を掛ければ寒くはない。時折そこで寝落ちする俺が言うのだから間違いないだろう。

それと…


普段は一人きりのこの家。

もらった食材を食べきれず冷凍してしまうことが多いのだが、今日は和がいる。以前と代わりなければあまり多く食べる質ではないのだが、一人よりは消費できるはず。

相葉さんに貰った野菜を見つめ、手に取った。

…シチューでも作るか。

冷凍庫から肉を取り出し解凍し、肉と貰い物の野菜たちを鍋にぶち込むと、煮込んだ。


そういえば…

和を一人残したままだったことに気づき、リビングをそっと覗くと、チェックのために置いてきた原稿を一心不乱に読んでいた。


執筆途中で大野さんに見せていたから、もうこの時点での大きな修正は生じないはず。

それでも…一読者のように目をキラキラさせている和の反応がどうにも気になった。


少しして、読み終わった様子に声をかけようかと思ったが、そのまま二周目に突入したらしい。

もはやチェックというより、本気の読書だ。

…書く身としては少しばかり緊張する。


陽の落ちるのが早くなった晩秋


三周目が終わる頃には、辺りはすっかり暗くなり、煮込んでいたシチューが美味そうな匂いを漂わせていた。




つづく



miu