潤くん視点つづきます( ・∇・)









食べ終わった食器は、和がお礼にと片付けてくれた。俺は先にリビングに戻ると、用意しておいた毛布をソファの脇へと掛けた。

まだ飲み足りない自分用の酒の入ったグラスと、和用の常温のミネラルウォーターをソファの前のローテーブルに置いた。

窓際に置かれたロッキングチェアへと深く腰掛ける。


体を預け目を閉じると、ゆらゆらと…

その揺れに合わせたように、懐かしい記憶が瞼に浮かんだ。


「あの、」少し高い澄んだ声が部屋に響き、俺は慌てて体を起こした。



「晩ご飯、美味しかったです。ありがとうございました」


「こちらこそ、片付けありがとう。風呂入れるけど?」


「いや、そこまでは。風呂入らなくても死なないんで」


「何だよそれ」



毛布を見つけた和は、そこが自分の寝床だと理解したようで、素早くソファに座ると毛布の中に潜り込んだ。

まぁ、そこまで無理強いするつもりはない。

俺はただ、あの時和がどうして消えたのか…

その理由を聞きたいだけだ。


はぁ、と息を吐き出して、和と向き合った。



「雨、上がったな」


「良かったです…明日戻れると良いけど」


「明日の朝、役場に連絡して聞いてみるよ。迂回路の方は水さえ引いてれば通れると思う」


「すいません。お手数を…」


「…で。和、お前7年前何で消えたんだ?」


「…え…」


「別に、今更怒るつもりはもうねぇよ。ただ…知りたいんだ」



和は、無言で…暫くの間何かを考えていたが

やがて、何かを決心したように口を開いた。



「他に…好きな人ができた、から…」


「…へぇ。それで会社まで辞めたのは?」


「あの、それは…

そう!その人が地方に引っ越すって言うから付いて行ったの」


「どこに?」


「…え」


「和?俺はさ、本当のこと聞きたいんだけど」



和が嘘をつく時の…

目が泳ぐ癖も、変わっていない。


俺がじっと見つめると、和は居心地悪そうに視線を逸らした。

ロッキングチェアからおり、ソファの前の床へと座る。こうしないと和の目が見えないからだ。



「……ひとりになりたかったの」



これは、嘘じゃない。

多分…本当。



「それは、俺と一緒じゃダメだった?」


「………うん…」


「嫌いになった…ってこと?」


「違っ、」

動揺したのか、和はテーブルに置いてあったグラスへと手を伸ばした。






つづく



miu