・・・おたまじゃくしを掬ったあの池は ? ・・・・・・


埋め立てられて運動場になっている。


登れなかったあの大きなクルミの木は・・・・今は無い。


渡れなかったあの丸木橋は・・・・・???


丸木橋どころではなく 川ごと無くなってしまった。


林の中の あの木造の霊安室は ? ・・・・


無くなっている。 病院の玄関は ? ・・・ ?


木造だった入り口は立派なコンクリ-トになっている。


でも玄関前の生け垣はあのときのままだ。


駅舎は ? ・・・・・・・・


横河原駅の駅舎は ああ あの時と同じ 木造だ。


小学校は  ? ・・・・ 


木造校舎は見違えるように鉄筋に そして立派な体育館が。


運動場はずいぶん小さくなってしまった。


でも校門のシュロはあの頃のまま。


思い出の場所を思いつく限り回った。


゛ もう他に なかっただろうか ? ゛


看護婦さんの寄宿舎は ? ・・・・・・


マンションに変わっている。


野獣官舎は ? { インタ-ンの若い医者の独身寮は騒がしいのでこう呼ばれた }


建物はないが あの時のクルミの木だけが今も聳えている。


・・・・・・思い出の場所をすべて回り終えた。


まるで巡礼が札所を回るように ・・・・・・・・


思い出の場所に別れを告げるように。


゛ そろそろ 行かなきゃ ゛


子供の頃 夕方の汽車の汽笛が聞こえると ・・・・


゛ もう帰らなきゃ ゛ と家に帰ったものだ。


夕方のあの物悲しい感覚。


゛ もう 行かなきゃ ゛ ・・・・


・・・・ すると徐々に自分が上昇し始めた。


・・・・つづく