今となってはずいぶん昔の話。
ある村に蔵助と、お京という夫婦がいた。
「あんた! よかった! また!子供が出来ただ!」
おおー、めでたいな!
蔵助はこれまでに幼くして亡くなった子供の事を思い出しながら、
また子供が出来たという事に喜んで返事をした。
もう5人目の赤子だった。
―――お京も悲しんでいることだろうに、今度こそは
おぎゃー!おぎゃー!
産婆さんや、おどごか?おなごか!?
障子越しに生まれるのを待っていた蔵助は大きな声で言った。
ちょっと待ってな・・・ああ、男だ!
目のあまり良くない産婆さんは子供を産湯につけながら男の子の顔を見ると、思わず手を離しそうになりながら叫んだ。
ひ、ひぃひ、ひ・・・。
産婆さんの叫びは言葉になっていなかった。
目が、目がひとつしかないだ―――。
蔵助は、障子を思いっきり開き部屋に入ってきた。
そして、生まれてきた子の顔を見た。
おお、おおおう。 その声は泣き声に変わっていた。
うう、うう、ええん。
お京も一緒に泣き始めた。
そんな2人の姿を見て、産婆さんはポツリと言った。
「お寺に預けるしかない」
おわり
昔は今ほど交通手段が無く、血が濃かった・・・。
目がひとつしかない。
足がいっぽんしかない。
そんな風に生まれた子供は、お寺に預けられ、住職さんが育てた。
袈裟を着させ、ひとつ目を隠す為に、覗き穴を開けた唐傘をかぶせた時もあった。
近所の子供たちはそんな奇妙な格好の子供をいじめた事もあった。
やーい、一つ目!
やーい、唐傘!
こんな風に野次ったのかもしれない。
医療の無い時代、奇形児はそんなに長生きはできません。
普通、人間は死ぬと霊体になるのですが、でも、そこに恨みの念が混じると・・・
霊体と恨みの想念が交じり合い合体し、「妖怪」となってしまう。
一つ目小僧、唐傘お化けなどがそうなのです。
他にも、ぬり壁や一反木綿などの妖怪も存在していますが、あれはまた違う経緯で出来上がった妖怪です。
1690年に出された「棄児禁止の布令」や各藩が出した「間引き禁止令」でも分かるように、昔は口減らしとして生まれたばかりの子供を土間に埋めたり、壁に埋めたり、川に流したりしていた。それが当然であったのです。
ただ、ある程度大きくなった子供を壁などに埋めてしまうと、人間としての心が既に形成されているわけですから、恨みを抱いて、そして妖怪化してしまう事もあったのです。
これらの妖怪は、ゲゲゲの鬼太郎の世界とはちょっと違った形で人間に影響を与えながら存在しているのです。
あるさおまえの家のそば~♪
言う事きかない悪い子は~♪
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