Amazonオーディブル『走ることについて語るときに僕の語ること』インタビュー | ~ひだまりのたね~

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何気ない毎日の中で見つけた物、新しい発見や喜び&悲しみ、大好きな人&大切な人達…そんな諸々をここに綴ります。


村上春樹さんのエッセイだからこそできた、等身大の自分でのチャレンジ

仕事柄はもちろん、プライベートで海外に行き来するなど、移動が多い大沢さん。Audibleは初期の頃から会員登録し、利用していたといいます。大沢さん流Audibleの活用法は?

「こういったコンテンツは実は昔からあって、夏目漱石や芥川隆之介の小説を朗読したものをCDで買って聴くという時代がありました。文学の名作が、多かったと思います。それがみんな多忙になり、昔の著名な文学だけでなく、実用書や経済書など、何でもどこでも聴けるようになって。娯楽だけでなく、勉強もできると思って、僕は最初のころすぐ会員になって聴き出したのですが、移動中や日常で車を運転するときも気軽に聴けるので、頻繁に利用させてもらっています。
海外への移動には、本を持って行くことも多いんですけど、例えば9時間とか10時間移動する場合は、文字を追うことに疲れてしまうんですよね。でも、Audibleで聴くと、不思議と長時間でも平気なんですよね。すごく便利な時代になったな、と。今回の作品は、マラソンする方々にもおすすめしたいです。村上春樹さんがマラソンの話をいっぱいしてくれるので、マラソンをしたくなるし、負けちゃいけないという気持ちになるんじゃないかな。励まされる感じもあって」

小説家であると同時にランナーでもある村上春樹さんが走ることについて語り、さらに小説家としての姿勢や思い、村上春樹という一個人を初めて説き明かした画期的なメモワールである『走ることについて語るときに僕の語ること』。今作の朗読には、等身大の自分自身で臨んだという大沢さん。

「何年か前に朗読劇はやったことがあって、ステージの上での朗読に対しては後ろ向きな気持ちはないんですけど、正直、朗読は苦手にしていることの一つだったんです。なるべくやらないように避けてきたところがありましたが、今回思い切って挑戦させてもらいました。作品が小説ではなくエッセイだったことも大きくて、比較的伸び伸び読ませてもらえたという感覚です。村上春樹さんが、ご自身の考えや人生を率直な言葉を紡いで語っているので、僕自身、変にうまくやろうとしないで、飾らない等身大の自分でやらせてもらおうと思いました」

朗読をしながら、改めて村上さんの文章に魅了されたと話します。

「どんな人でもわかる言葉を使ってくれたり、かと思えば難しい例えが出てきたり。何より比喩が素晴らしいと思います。そんな村上さんの文章の連続技を受けて、心の深いところに、彼が本当に言いたいことがストンと落ちる。また、村上さんの人生の一部を自分も追体験しているように読めるようなエッセイなので、朗読という機会をいただいて、彼の文章を体感するという、いい体験ができました。同時に、村上さんの作家になるまでの経歴や走ることへの思いを初めて知って驚いたり。僕にとって村上さんは雲の上の人なので、神宮外苑を走っていたり、ジャズバーを経営していたり、エアコンが壊れたり、日常の中でいろいろ悩んだりしていることを知って、こんなすごい人でもいろいろあるんだなと距離が近くなったというか(笑)。世界的に著名で求められ続けている村上さんが、一人の人間として言葉を紡いでいて、勇気や元気をくれる本だと思います」

村上春樹さんが教えてくれた“いくつになっても懸命に生きること”


今作は村上春樹さんが58歳の時に出版され、50代後半に差し掛かった心境も語っています。

「確かに歳を重ねていくことについての思いも、このエッセイのテーマの一つです。村上さんは後悔しないように懸命に生きていて、命というものに対して突き詰めて考えている人だと思いました。歳を重ねる上で不安になること、懸命に生きる大切さ、時間を無駄にしないこと。当たり前のようでいて通り過ぎてしまうことを、村上さんが素晴らしい文章で語ってくれて、改めて自分も懸命に生きようと思わせてくれます」

書くためには体力をつけないといけない。だから走ると決めて、走り続けている。そんな村上さんの姿も印象に残ります。

「僕はその部分に一番共感しましたね。こと僕の仕事に関しては、体力命で、体力がない人は絶対できないですから。病気したらできないですし、健康でないと演技はできません。演技は、不健康な状態でやると限界があるんですよね。不健康な体で考えても、不健康なアイデアしか出てこないから、不健康な表現になってしまう。演劇は人をハッピーにさせる仕事なので、健康な体でいないといけないし、体力勝負なんです。なので、作品のクランクイン前に体力が持つかを考えます。例えば、『キングダム』シリーズは4年くらいやっていますが、王騎という役の体重をどう維持して、何年間やっていけばいいのか。『沈黙の艦隊』という作品では、2ヶ月間、同じ場所に立ち続けないといけない。どうやったら朝から晩までやって、集中力を保てるかな、と。でも、結論的にはどの作品のどの役も体力がないとできないことなので、その前になるべく体力作りをしたいし、栄養もちゃんと取っておこうと意識する。そういうところは、作家の先生も一緒なんだなって思いました」

走り続けている村上さんのように、大沢さんがずっとやり続けていること、継続していることも聞いてみると、意外な回答が。

「プライベートでは全くなくて(笑)。20代、30代と40代と今、ステージが変わるごとに興味を持つことも変わってきています。日本人っぽいけど、仕事を一生懸命やったぐらいかな。でも、それは今の時代に合ってないというか、良くないと思うんですけどね。後輩に相談される時はいつも『絶対俺の真似しない方がいいよ』って話しています(笑)。『仕事は仕事だから、ちゃんと自分の時間を持って遊びなさい』と。でも、僕は仕事に一生懸命になりすぎたかもしれないけれど、それはそれでよかったなと思うことはありますね」

「気を遣ってうまくやる」ことが、大人じゃない。孤独を怖がらずに自分を突き通す大切さ


俳優としてのキャリアも30年、近年では映画作品のプロデュースも手がける大沢たかおさん。そんな大沢さんに、本誌の名前にちなんで、「大人」の定義を最後に伺いました。

「村上さんは、まさに大人だと思うんですよ。自分の価値観を持っていて、自分の行動に責任をとっていますよね。大人を定義づけるとしたら、自分で自分の責任をとれる人だと思います。でも、責任をとれる人は実際少ない。同時に、自分の意見や自分の価値観がない人も多い気がしています。大人になりきれない人が多い、この国の特徴だな、と。周りの人を気遣って、人とうまくやることが“大人”の定義じゃないと思うのですが、日本ではそう考えている人が多いのかな。でも、僕自身も含めて、大人になることは大事だと思うんですよね。若い子たちや子どもたちなど、次の世代に何を残せるのか考えることも、大人の役目だと感じています」

大人になるためには、「孤独になることを怖がらないこと」と、力強く語ります。

「孤独になりたくないから、ついつい人に合わせてしまいますが、人は死ぬ時に一人だと考えるとそもそも孤独な生き物なんです。僕は30年この仕事をやっていますが、20代で自分の事務所を立ち上げて、当時は前例なんてないから、まぁ苦労しました(笑)。最初の10年は疎外感を感じることがありましたが、でも、孤独で寂しいと思ったことは1回もなかったです。なぜなら、自分は間違ってないと思ったし、自分が正しいと思うことを突き通すことが大切だと思ったから。誰かに嫌われても自分のことを貫くこと、やったことに責任をとること、誰かのせいにしないことは、怖いことでもあるけど、大人になるためには大事なことなのかもしれないですね」


PROFILE:大沢たかお
おおさわ・たかお 311日生まれ。東京都出身。1994年、フジテレビ系ドラマ『君といた夏』で俳優デビュー。以来、映画・ドラマ界において幅広い活躍を続けている。2023年の出演作は、映画『キングダム 運命の炎』『沈黙の艦隊』、フジテレビ系「ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~」。

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『走ることについて語るときに僕の語ること』
1982年秋、専業作家としての生活を開始したとき、村上春樹は心を決めて路上を走り始めた。それ以来 25 年にわたって世界各地で、フル・マラソンや、100 キロマラソンや、トライアスロン・レースを休むことなく走り続けてきた。旅行バッグの中にはいつもランニング・シューズがあっ た。走ることは彼自身の生き方をどのように変え、彼の書く小説をどのように変えてきたのだろう? 村上春樹が書きおろす、走る小説家としての、そして小説を書くランナーとしての、メモワール。2023年12月22日(金)配信予定!

今年ラストのblogは、昔から
ずっとブレることなく大好きな
大沢たかおさんのインタビューで締め‼︎
いつもこんな私の拙いblogを
読んでくださっている皆さん。
本当にありがとうございます。
また来年、お会いしましょう‼︎
良いお年を〜👋