https://www.moj.go.jp/content/000123135.pdf

 

平成26年司法試験問題 労働法

 

次の事例に関して、法律上の問題点を指摘し、見解を述べます。

まず、Y社の行動について以下の点が問題となります。

  1. 異動命令:

    • Y社は、熟練機械工であるX1ら50名に対して、甲工場で生産中の小型乗用車の塗装等他職種への異動を命じました。しかし、Y社は就業規則の第8条で、異動命令を行う際に従業員の意向を事前に聴取することが必要とされています。しかし、Y社はX1ら50名の意向を一切聴取せずに異動を命じたため、就業規則違反が疑われます。
    • また、機械工としての勤務を希望するX1が異動命令に応じていない点についても、正当な理由なく命令を拒むことはできないという規則に違反している可能性があります。しかし、異動命令自体が就業規則に違反している場合、X1の拒否は正当化される可能性があります。
  2. 早期退職募集と再雇用提案:

    • Y社はX2及びX3に早期退職募集と再雇用の提案を行いましたが、Y社はX2の再雇用の申し出を拒否しました。この提案には研究特別手当の支給がなくなることが含まれ、X2にとって不利な条件です。
    • Y社の行動は、X2及びX3に対する不利益な変更を強いるものであり、特にX2が提案に応じようとした際に拒否したことは、契約上の公平性や労働者の権利に反する可能性があります。
  3. 解雇の問題:

    • Y社は、早期退職募集に応じなかったX3を解雇しました。これは、労働基準法において、解雇が正当な理由がない限り禁止されていることから、解雇の正当性が疑問視されます。
    • また、Y社はX2も解雇しましたが、これについても正当な理由があるかどうかが問題となります。

総合的に考えて、Y社の行動は従業員の意向を尊重せず、契約上の不公平な条件を提示するもので、労働者の権利に反する可能性があります。したがって、X1、X2、X3からの相談に基づき、Y社に対して訴えの提起を行うことは、労働者の権利保護の観点から検討すべき事項です。