転職したわけですが

 

 

漫画家やってると、出版業界は「うちの業界」だったわけです。

今は全然違う業界にいて、ここが「うちの業界」になったわけですが。

 

 

 

出版の世界で仕事してた時、

仕事のネタにいろんな業界の事を勉強します。

かなり徹底して勉強します。

その業界の人たちと取材して話をしても、大体わかるぐらいに研究します。

 

あまりに徹底して勉強するので、

その業界の事をすごく知った気持ちになります。

 

でも、当然その業界の、現場の最前線で、現実と闘いながら仕事をしている人々に比べたら、

知識も経験も追いつかないわけですし、

所詮、素人なのですが、

 

勘違いしてしまいます。

 

私も、かつて、今仕事をしている業界について、マンガにするにあたり、

かなり勉強しました。

この業界の友達もでき、彼らからたくさん話を聞きました。

 

「こういう話をかいてるから、上田さん詳しいでしょ?」

「それほどでもないですけど、まあまあそうですね」

 

みたく言ってしまいました。

 

 

こっぱずかしいです。

 

 

「うちの業界」の事で、うちの業界にいない人に、知った風な意見を言われると、

まあ、誰だっていやな気持になりますよね。

 

マンガを描いてもいないのに、

漫画家の事を知った風に意見する人は、漫画家は嫌いだと思います。

当然ですね。

 

 

転職して、「うちの業界」を変えたせいで、

二つの「うちの業界」をまたがることになり、

なんというか、こうもりのような気持になることがあります。

 

今の業界の人(私が漫画家だったことを知っている人)は、私を「出版の世界を知ってる」と見るし、

出版の世界の人は私を、「サービス業界をよく知る人」と見る。

 

 

 

で、

漫画家という、勉強家の人々は、私に言うわけです。

「あなたがいる会社は〇〇なんだから」

 

確かに世間に名を知られてる会社に、まあ、運よく就職できましたが、

そしてそれゆえにその会社の「イメージ」は伝わりやすいでしょうが、

現場の最前線で、現実と闘いながら仕事をしていると、

そういう「知った風なこと言うな」という目によくあいます。

主に漫画家の人にですね。

いやあな気分になることを言われる場合は。

 

偶然、私は漫画家がどういう人々か、よく知ってるからです。

彼らが「知った風な口をききやすい」ことを。

 

 

私も、いつか、出版業界の現場の最前線を忘れてしまう時がくる。

 

そんな日のために、こっぱずかしい言動をする漫画家っぽい癖を直していきたいと思っています。