史実とは、異なりますので、初めに忠告させて頂きます






剣が光り輝く、闇夜の月を照らしながら…


「おい、総司」


闇夜の中、俺の名を呼ぶ声が聞こえる。
周りからは、『鬼』と呼ばれ、自らもまた、鬼に徹する男の声が…。


「あれ、土方さん、どうしたんですか?」


目の前には、『鬼』がいる。明るい笑顔のもとに、『戦闘』という甘い獲物を好む仮面を隠した鬼が…。


「局長が呼んでる」
「近藤さんが?」


まだ、幼さの残る鬼は、流れた汗をふくと、軽く首を傾げた。


「あぁ、なんでも、話があるらしい」
「へぇ、じゃあ、行ってきますね」
「あぁ」


年経る鬼は、立ち去ろうとする若き鬼に背を向けたまま、かの名をよぶ。


「総司」
「はい」


この先、何が起きるのか、生か死か…。
善か悪か…。


それは、まだ見えない未来。


でも、見える物が1つだけある。


「いや、何でもない」
「そうですか…。じゃあ、何か用事があったら、いつでも、呼んで下さいね」
「あぁ」




『武士になるぜ、とし』


「あぁ、近藤さん」



『俺たちが、京の町を守る。それが、俺たちだ』


「僕も、そう思います、近藤さん」



自分の信じる道だけが、己にとっての善の道


そして、己の信じる者が進み行く道を照らし出す為に


自分の道を守る為に


俺は…俺たちは、鬼になる。


彼らの間を一陣の風が吹き抜ける。


昔、自分の信じる道を守る為に、戦い抜いた青年たちがいた。
彼らの名は、『新撰組』


後に、名を留める者





【後書き】
拝読頂き、有難うございました。新撰組fanの皆様、お目汚し、すみませんでした。
最後に、『新撰組』の方々への、ご冥福を祈ります。