「寒~」

俺が白い息を吐きながら、家の扉を開くと、中からは、暖かい空気と共に、光が洩れる。

「またかよ」

あいつを拾ってからというもの、いつも、こうだ。それで、どうしても帰りが遅くなる。
未だに、この感覚に慣れないから…。

—暖かい料理—
(お題:おでん)

あれから、暫くして、旅する様になっても、俺は、この感覚に慣れない。嬉しくない。っていう訳じゃない。
ただ、慣れない。
昔から、誰かが、俺の為に、料理を作ってくれる事なんて無かったから、まぁ、当然と言っちゃあ当然…なんだけどよ。
でも…


「なんだよ、悟浄。食わねぇんなら、俺食うかんな」

俺の前を食材が通り過ぎる。

「あ、てめ、馬鹿猿。そりゃ、俺んだろうが」
「だって、食わねぇ悟浄が悪ぃんだろ?」
「やんのか、馬鹿猿」
「おう、かかってこいよ」
「うるせぇ!!!」


そんな2人に見かねて三蔵のハリセンが飛ぶと、三蔵の隣で八戒が静かに笑いながら問いた。


「でも、どうしたんですか、悟浄。何か考え事ですか?」
「ん?あ、あぁ。まぁな」



「おかえりなさい、悟浄」
「ん、あぁ。悪…かったな。作ってくれたんだろ」

俺は、食卓の上に置かれた鍋を指差しながら、未だに慣れぬ言葉に応じた。誰かが、俺の帰りを待っていてくれた事なんか…。
向こうは、俺の気持ちに気づく事も無いのか、ただ穏やかに笑う。


「あぁ、これですか?大丈夫ですよ。どうせこうなるだろうと思っていたので、今日は、おでんにしたんです。おでんなら、日を置いた方が味が染みますし。食べる時には、温めれば良いだけですから」


慣れないから、避けようとしていた。
なのに、どうやら、何処にも逃げ場は残されてなかったみたいだ。


「もらう」
「え、でも…」
「ん?」
「食べて来たんじゃ無いんですか?」
「軽くな」
「じゃあ」
「良いんだよ。丁度、何か食べたい所だったしな」


それから、俺は早く帰る様になった。どうせ無理なら、美味い内に食った方が良いだろ?


「ちょっと昔の事をな」
「どうせ、てむェの事だから、下らん事だろうが」
「あ~ら、俺だって、良い事位あんのよ、三蔵ちゃん」







【後書き】
すみません。
というか、すみません。いや、本当、すみません。普通に文章書いてた筈なのに、なんで、BL風になってるんですか?<聞くな
とりあえず、すみませんでした(置き逃げ)


最近、小説書こうとすると、全て『最遊記』に流れます。本当は『家庭教師ヒットマン』とか『銀魂』とか書きたいんですが…。


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